『夏休み、何してるの?』 高校教員の勤務実態
「教員は夏休みがあっていいよね」そう言われることが多いです。一般の人が想像する先生の夏休みは、旅行や趣味など、自由に過ごす姿かもしれません。しかし、実際は、夏休みも教員は殆ど出勤しています。実は多忙な高校教員の夏休みについてご紹介します。
夏休みはどのくらい?
まず前提として、生徒たちには1か月近くある夏休みでも、その期間は全て教員の出勤日です。休みを取りたい場合には年休や夏季特別休暇(5日間)の取得が必要です。
教員の多くは、夏休みに入っても出勤していて、お盆前後でまとまった休暇を取得しています。期間は人によります。短いと5日、長いと10日程度です。
最近では、お盆の期間は学校閉庁日という設定がされていることが多いです。この期間では管理職より「夏季特別休暇や年休を取得してください」「閉庁日なので出勤や部活動は控えて」とお願いされます。そのため、この期間はまとまった休みをとりやすくなっています。
夏休みにどんな仕事をしている?
では出勤日にはどんな仕事をしているのでしょうか?
教材研究・授業準備
生徒が登校する学期中は、落ち着いて授業準備をする時間は殆どありません。授業のない空きコマは校務分掌の書類づくりや会議、生徒指導案件があればその緊急対応などが優先だからです。夏休みに生徒が登校する頻度が減った時期こそ、2学期以降の授業のアイデアを考えたり、授業のワークシートを作ったりする絶好のチャンスになっています。
補習
進学者向け補習、成績不振者向け補習、など高校では課外授業としての補習を夏休みに行うことが多いです。例えば、大学進学を希望する生徒を対象に、その進路に合わせた入試対策として補習を行います。県内トップの進学校では、夏休みの3〜4週間のうち、お盆を除いて5日間の補習が3回あるなど、学期中と変わらない頻度で生徒が登校し、授業を行っている場合もあります。
部活動指導
夏休みは秋の新人戦に向けて新チームが稼働する時期です。春の高校総体を勝ち上がっていれば夏休みにはインターハイがあります。大会の生徒引率で連日他県へと出かけたり、夏休みの時間を利用して他校と練習試合をしたり、強化合宿をしたりします。
大会運営の役員になっているとさらに大変です。学校に姿が見えない時のほうが、教員は部活動顧問業務によって多忙を極めています。全員が何かしらの部活動顧問を担うのが一般的です。種目によっては夏休みの部活動が勤務の大半を占めることすらあります。
研修・自己研鑽
夏休みは教員にとって研修が集中する時期でもあります。教育委員会によって多種多様な研修が行われています。多くは希望者向けの研修ですが、悉皆研修(受講必須の研修)もあります。全員必須の指導力向上研修で数日間教育センターで研修を受けたり(英語教員に多い)、5年や10年目など教職の節目となる教員向けの研修があったりします。
受講が強制的な研修に加えて、自己研鑽にも励みます。大学入試の過去問を解いたり、一学期の学級経営や生徒指導支援を振り返り知識を補うために書籍を買って読んだりなどします。自己研鑽は教員としての義務であり、夏休みの期間はまとまった時間が取れるので取り組みやすいです。
その他
事務処理や2学期以降の学校行事の立案や下見、保護者面談なども行っています。
夏休みに対する教員の思い
先生たちは夏休みの働き方についてどう思っているのでしょうか。高校教員の意見をいくつか取り上げてみます。
学校に行かない日でも、入試問題作成やその準備の仕事をしているので気が休まらない。進路面談の準備や入試問題作成の書籍探しなど、勤務時間や日数で可視化できない仕事が重い。
高校は長期休業のほうが忙しい。課外と三者面談と部活。普段やれないことを全部詰め込む教員が多い。当然全校体制で就職進学指導にかり出される。探究も始まって、地域に無償の労働力やサクラとしてかり出される。
人によっての差が大きすぎる。部活動の主顧問をしている教員は、ほぼ休めない
大学受験に向けての夏期講習や部活動などの予定で過密になりやすいのが高校教員の夏休みです。世間が想像している姿とは異なるのではないでしょうか。
まとめ
教員の夏休みは、決して「長期休暇」ではありません。むしろ学期中よりも業務が集中することすらあり、外からは見えにくい多忙さもあります。補習・部活動・研修・準備…。この時期にしかできないことを詰め込む構造が、教員の疲弊を一層招くことにもなっているのではないでしょうか。
「夏休み、何してるの?」という問いの裏にある、教員の努力と見えにくい働き方に、少しでも理解が広がることを願っています。



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