【HD-2D版「ドラクエⅡ」 遊びやすいがストーリーや演出に難があるリメイク】
HD-2D版Ⅰが面白すぎたので期待してⅡを始めた。公式からはスタッフロールが2回ある事が発表されており、ロトシリーズがどのような終わり方をするのか楽しみだった。ゲームの部分は面白くて最後まで楽しく遊べたが、ストーリーや演出に関しては「なんか変」と感じる部分が多かったり、HD-2D版Ⅲほどではないが辛い部分もあった。
戦闘はⅠに比べて難易度が低めに設定されており気軽に遊べるバランスになっていた。これに関しては人によって好みが分かれそうではある。個人的にはⅠの方が好き。
【遊びやすい難易度】
今の時代にファミコン版のあの難易度を再現するのはさすがに無理だろう。原作のらしさは消えてしまったが、遊びやすいレベルまで難易度が下げられている。
序盤の強敵だったマンドリルやドラゴンフライが脅威ではなくなっていたり、難関ダンジョンの大灯台、海底火山の洞窟、ロンダルキアへの洞窟もそれほど苦労せずにクリアできた。
難易度の上昇も1回目のベリアル戦がピークで、ここからどんどん下がる、ラスボスに近づくほど下がる。ロンダルキアへの洞窟に到着するころには無双状態になっていた。
そして超絶技がボス戦の難易度を大きく下げている。Ⅰは超絶技を使ってちょうどいい難易度だった。しかしⅡは1ターンで4人が超絶技を使えるし、強すぎたり便利すぎる技もありボス戦が楽だった。使う技が決まってくるので、ボス戦がワンパターンな展開になりやすい点は少し残念だったが。
ゲームの部分だけで言うと、Ⅰとは真逆の万人受けな遊びやすい内容になっていた。Ⅰが難しくて投げ出してしまった人は、ソフトを手放す前にⅡを遊んでみよう。
遊びやすく調整されたドラクエⅡではあったが、ストーリーや演出の部分では「なんか変」と感じる部分が多かった。
~以下ネタバレあり~
【難があるストーリー、演出】
①ローレ王子の扱いが雑。
②ムーンブルクの危機を知らせる兵士の不自然さ。
③「いやー さがしましたよ」の不自然さ。
④勇者用の呪文や特技をサマル王子が独り占め。
⑤サマル王女が勝手な行動をする。
⑥なぜあんな人魚が女王なのか。
⑦鍵が手に入るタイミングが遅すぎる。
⑧いなずまの剣の扱いが雑。
⑨シドーに関する掘り下げが無かった。
⑩クリア後のダンジョンはマップの使い回しばかり。
⑪ラストが説明不足。
これだけの量が軽く出てしまった。
1つずつ見て行こう。
①ローレ王子の扱いが雑
呪文が使えない事をいじられる。
たしかに呪文は使えないが、サマルやムーンには無い圧倒的な攻撃力で敵を倒してくれる。「呪文が使えない役立たずだな」とか思いながら遊んだ人いる?
しかもローレはプレイヤーの分身のポジションであるため、このようないじりはプレイヤーをただ不快にさせるだけ。
いじるなら、ローレが呪文を使えない理由をゲームの進行に合わせて明かすべきだがそれも無い。不愉快かつ面白くないだけの要素になっている。
今回は仲間に大量のセリフが用意されたがローレには無い。これが大問題でローレが蚊帳の外、空気になっている。
イベント等で仲間とNPCが会話をしている時に、ローレは無言で近くに立っているだけ。
船をもらうシーンでは、お礼も言わずに少し離れた場所に立っているだけ。
仲間と馴染めていなかったり、コミュニケーション能力がゼロのように見えてしまう。
主人公がしゃべらないのはドラクエの伝統ではあるが、ここまで仲間にセリフを用意したならローレにも大量のセリフを用意しないと無理がある。
②ムーンブルクの危機を知らせる兵士の不自然さ
なぜサマルトリアではなく、わざわざローレシアに行ったのか?
これに説得力を持たせるためか、今回はこの兵士の弟がローレシアにいる。
しかしこれだけで説得力を持たせるのは難しい。ムーンブルクの兵士が最優先でするべき事は、ムーンブルクの状況を急いで他国に知らせることであり、弟に会うことではない。よって以下のような追加の描写が必要になる。
・ルーラかキメラの翼でローレシアに飛ぶ
・もう1人の兵士がサマルトリアに向かったが到着できなかった
この時、ローラの門にいるサマルトリア兵が何をしていたのかも疑問。
③「いやー さがしましたよ」の不自然さ
サマルの代表的なセリフのため、外すことが出来なくて無理やり入れたように見えた。今回の展開でこのセリフは不自然すぎる。
今回の展開で違和感が無い形でこのセリフを使うなら、勇者の泉の洞窟からローレシアに到着までの道中で、ローレが探している事を誰かがサマルに伝える描写が必要になる。
④勇者用の呪文や特技をサマル王子が独り占め
ギガデイン、ギガスラッシュ、ベホマズンが使えるのはサマルだけ。全員がロトの血を引いているのだから、勇者用の呪文や特技は分け合うべき。
ローレ:ギガスラッシュ
サマル:ギガデイン
ムーン:ベホマズン
こんな感じで勇者用の呪文や特技は1人1個にするべき。
⑤サマル王女が勝手な行動をする
あれほど役に立ちたいと言ってパーティに入ったのに足を引っ張ってくる。
サマル王女がこちらの命令とは全く別の専用の行動をとる場合がある(遊び人のような感じ)。攻略サイトによるとレベルが上がるほど命令を無視する確率が下がり、レベル40で指示に完全に従うらしい。
この専用の行動はメリットになる場合もあればデメリットになる場合もある。こちら側にダメージを与えてきたり、ボスをバイキルト状態にする場合もある。
Ⅲのようにパーティを自由に編成できるゲームなら許される要素だが、強制加入のキャラでこれをするべきではない。そしてサマル王女のイメージを悪くするだけ。
⑥なぜあんな人魚が女王なのか
マーメイドハープを強化するための人魚の耳かざりを人間の男に貢ぐという、追放レベルの過去が人魚の女王にはある。
好きな人間の男から「人魚の世界で最も貴重な物が欲しい」とねだられ、人魚の耳かざりを渡してしまう。そして、その男が人魚を見世物にしようと考えていることを知り会わなくなった。その後、その男が乗った船が沈んだという話を聞く。そこに人魚の耳かざりがあると思っているが、男を思い出して辛いから行けない。
その人魚の耳かざりを取りに行けと?
呆れて物も言えない状況だが、なぜかパーティは人魚の女王に対して同情的。どう考えてもおかしい。
⑦鍵が手に入るタイミングが遅すぎる
新たな鍵を手に入れて過去に行ったエリアの扉を開けてアイテムを回収する要素が今回もあるが、新たな鍵が出るタイミングが遅すぎる。「えっ? まだ新しい鍵が出ないの?」と思いながらゲームを進めていた。
ゲームが進むほど行動範囲が広がるので、鍵の入手が遅いほどアイテムの回収が大変になる。
⑧いなずまの剣の扱いが雑
いなずまの剣はファミコン版では呪われていない武器の中では最強だった。しかし今回は取った時点で魅力を感じない能力になっている。しかも、いなずまの剣が隠されている部屋に通じる穴が最初から開いており隠す気も無い様子。
リメイクで新たな強力な武器が追加されるのも理解できるが、せめてロンダルキアへの洞窟を抜けるくらいまでは最強の武器にして欲しかった。この部分はファミコン版へのリスペクトが無いように感じた。
⑨シドーに関する掘り下げが無かった
ファミコン版ではゲーム中にシドーに関する情報は出てこなかった。最後に突然現れて特に会話もなく倒されてしまう。
ハーゴンに突然呼び出されて、何も悪いことをしていないのに、目の前にいたロトの子孫に倒されるという可哀そうなキャラだった。
そして今回も特に会話もなく倒され、さらに闇の意思によりマガシドーにされたと思われる。より可哀そうなキャラになっただけで、シドーが何者なのか見えてこなかった。
⑩クリア後のダンジョンはマップの使い回しばかり
クリア後にゲームを再開すると面白い導入で始まる。少し時間を戻したけど、ハーゴンとシドーを倒した事実は薄っすらと残っているような状態。少し前からやり直しをするような感じで真エンドを目指すことになる。
Ⅲのクリア後の要素は世界の平和やゾーマを無視して勇者が遊んでいるような印象だったが、Ⅱのクリア後の要素は本編をそのまま使っている。個人的にはⅡのような展開が好きで、どんな終わり方をするのかも楽しみだった。
しかしクリア後に挑戦する2つのダンジョンがどちらも残念すぎた。全てのフロアが使い回しのマップで構成されていた。
・無限の回廊
マップは全て使い回しだが順番には意味がある。Ⅰ~Ⅲをプレイ済みの人なら、ある程度進むとそれに気づくはず。最後のフロアが画面に表示された瞬間は「あぁ、ここか・・・」と感嘆する。
問題なのは、このダンジョンの最奥(オチ)を知って初めて面白いと思えること。何も知らない初見での攻略は苦行でしかない。
初見のプレイヤーには下記の5点が突きつけられる。素晴らしいオチが待っているなんて情報は無い。
1.ダンジョンが非常に長い。
2.全フロアが使い回しのマップでうんざりする。
3.特定のフロアでしか脱出ができない。
4.脱出すると最初のフロアからやり直し。
5.複数の階段や落とし穴があるフロアでは、正解の階段や落とし穴を使わないと次のフロアに進めない。間違った場合は、そのフロアのスタート地点に戻される。
知っているマップを淡々と進むだけ、総当たりで正解の階段や落とし穴を探すだけ。もはや作業でしかなかった。
レアなアイテムが手に入るというメリットもあるが、ダンジョン探索の面倒な要素を詰め込んだだけの内容で面白くない。
・謎の塔
HD-2D版Ⅲの謎の塔と同じ構成だった。
⑪ラストが説明不足
これは一番楽しみだった要素。しかし最後のイベントが始まると会話が無いし、状況の詳しい説明も無い。何が起きているかプレイヤーのご想像にお任せしますなエンディングだった。
何か具体的な結末や答えを期待していたのだが「えっ? これで終わり?」と声が出そうな内容で残念だった。
会話や説明が無いため、ここで何を感じるかはプレイヤーによって違うはず。自分にとっては、怖い、気持ち悪い、そんな終わり方だった。
あのローレが、なぜかここでは率先して前に出る。Ⅲの勇者に乗っ取られたのか? そして画面が白くなりゲームが終わる。あの人に連れて行かれたのか? パーティはローレシアに帰れたのか?
ロトシリーズを完結させるどころか、新たな謎を残して終わってしまう。
そしてこのエンディングをやったからには、Ⅲの勇者が帰れなかった理由を明かすべきだがそれも無かった。
【最後に】
命令を無視するサマル王女やクリア後のダンジョンは別として、ゲームの部分は面白かった。最後まで楽しく攻略ができた。しかし遊んでいて「ん?」と違和感を覚えるストーリーや演出が目立った。ここさえキッチリ作っていれば良いゲームになっていたはず。実にもったいないリメイクだった。