工事を発注した県北薩地域振興局=1日、薩摩川内市神田町
鹿児島県北薩地域振興局が2021年に発注した工事を巡り、県技術職員の60代男性が設計金額を漏らしたとされる官製談合事件で、県警が事件の共犯者として、県庁OBの70代男性についても、官製談合防止法違反(入札妨害)の疑いで、今年2月に書類送検していたことが8日、捜査関係者への取材で分かった。
工事を落札した長崎県の造船会社の会社員が工事の入札前、情報を得るために別の会社の取締役だった県庁OBに現金数十万円を渡していた、との一部供述を県警が得ていたことも判明。捜査関係者によると、入札後には県職員に飲食の接待もしていたという。県警は贈収賄容疑も視野に調べたが、この授受についての立件は見送った。
県によると職員は現在、大隅地域振興局建設部の課長補佐級。県の聞き取りに「県庁OBの先輩に頼まれて断れなかった。金銭のやりとりはない」「深く反省している」と話しているという。3月30日付で略式起訴され、同日付で罰金80万円の略式命令を受けた。本人が今月3日に「起訴状と略式命令書が届いている」と県に連絡。県は6、7日に内容を聞き取った。刑事処分の確定後、県としての処分も決めるとしている。
工事は薄井漁港(長島町)の陸地と浮桟橋を結ぶ連絡橋の新設。秘密事項である設計金額を聞いたのは長崎県の造船会社で、21年8月2日に別の造船会社を含めた2社が最低制限価格の1億2230万6272円で応札した。電子くじの結果、長崎の会社が落札した。8月20日に着工し、22年6月30日に完成した。
起訴状などによると、職員は入札の4日前の21年7月29日、県庁OBを介して設計金額を長崎の会社社員に伝え、公正な入札を妨害したとされる。
地検は罰金納付の有無、県庁OBの処分についても明らかにしていない。