三重県立高2年の男子生徒=当時=が令和4年2月に自死した事案を巡り、県いじめ調査委員会(6人)は8日、再調査の結果を県に答申した。いじめを裏付ける証言がなかったことなどから「いじめの事実は認定できず、自死をいじめと関連付けて判断することは困難」と結論づけた。
事案を巡っては、県いじめ対策審議会が令和5年11月にまとめた調査報告書に対し、保護者が「調査が十分ではない」として再調査を要望。県は6年11月、調査委に再調査を諮問していた。
調査委は昨年の3月から9月にかけ、教員や部活動の下級生、クラスの同級生ら24人に聴取を依頼し、20人から回答を得た。うち10人ほどは部活動の下級生らで、審議会は聴取していなかった。
報告書は、男子生徒が「死ね」や「くさい」と言われたと家族に話していたことについて「担任やクラスの同級生、部活動の顧問や下級生らは認識しておらず、事実と認められない」とした。
また、家族の訴えに基づき「男子生徒がトイレで昼食を食べていた」とされる事実関係も新たに調べたが、目撃情報が得られなかったことなどから「事実を認めるに足りる資料はない」とした。
一方、報告書は「男子生徒が自死するほど追い込まれていたことに周囲が気づけていなかった」などと指摘。教育相談体制の充実▽事案発生後の組織的対応▽人権教育の推進―を提言した。
この日、庄山哲也委員長(弁護士)が県庁を訪れ、一見勝之知事に調査結果を報告。「自死を選択されたことは痛恨の極み。二度と繰り返されないよう、教訓を生かす必要がある」と述べた。
一見知事は「提言を重く受け止め、対応を考える。子どもたちに命の大切さを伝えていく」と返答。事案を受けて始めた取り組みを検証し、必要に応じて新たな対策を検討する考えを示した。
男子生徒は2年度に入学。3年7月から運動部のキャプテンを務めた。同年11―12月ごろ、家族に「生きていてもしょうがない」と発言。亡くなる1週間ほど前から授業を欠席していた。