「無理やり謝りに来させている」誤解広がり…佐賀・鳥栖市のいじめ、学校側が対応誤り二次被害招く 今も続く嫌がらせ
佐賀県鳥栖市で起きたいじめを巡る調査報告書は、学校や教育委員会の不適切な対応が深刻な二次被害を招いたと厳しく非難した。いじめ防止対策推進法ができて13年がたっても、認識の甘さから学校側が対応を誤り、不登校や自殺につながる例は後を絶たない。識者は「鳥栖市の事案は過去の出来事ではなく、教育現場が今も抱える問題をはらんでいる」と指摘する。(笠原和香子) ■鳥栖市立中学校いじめ問題の経緯【図解】 「学校がちゃんと動いてくれていたら、僕も家族もここまでひどく、つらくはならなかった」。3月下旬、市役所で記者会見した佐藤和威さん(26)は胸をさすり、深呼吸を挟みながら言葉を絞り出した。
佐藤さんが現金を加害生徒に渡していることを学校側が把握したのは、いじめを受け始めてから約半年が経過していた2012年10月。佐藤さんが被害を伝えても、学校は「おごり合い」などと矮小(わいしょう)化してまともに取り合わなかった。登校できなくなり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。 学校は十分な調査を行わないまま、加害生徒たちを謝罪に行かせた。「自宅に来ることは恐怖でしかなかった」と佐藤さんは振り返る。さらに複数の加害生徒が連日、訪問したことで、佐藤さん側が「無理やり謝りに来させている」との誤解が地域に広がった。自宅のポストを壊されたり、庭に動物の死骸が投げ込まれたりする嫌がらせに発展。今も無言電話などに苦しみ、「鳥栖の恥」「死ね」などの誹謗(ひぼう)中傷も続いているという。
調査報告書は、学校や市教委の「不適切」「不誠実」な対応がこうした深刻な被害を招き、佐藤さんは日常生活に支障が出るほど重い精神症状に苦しめられていると明確に認定した。 学校側に速やかな調査を行うよう定めたいじめ防止対策推進法は、13年9月に施行された。「生命・心身・財産に重大な被害が生じた疑い」などがある時は重大事態と認定し、調査組織を設けて調べることも義務付けている。