任期満了に伴う東京・練馬区長選は12日、投開票され、前回区長選で現職の前川燿男(あきお)区長(80)に約2000票差まで迫った幼稚園理事長の吉田健一氏(59)が、リベンジで初当選を確実にした。

今期限りで退く前川氏に「あなたしかいない」と後継指名を受けた都民ファーストの会の元東京都議で、小池百合子都知事に近い尾島紘平氏(37)は12日深夜、支援者らが集まった練馬区内のホテルで敗戦の弁を述べ「ひとえに、私の力不足。不徳の致すところです。大変申し訳ありません」と謝罪の言葉を口にした。周囲には、「ここから出直します」と伝えたという。会社経営の三上恭平氏(43)も、及ばなかった。

今回の選挙戦は、吉田氏と尾島氏の事実上の一騎打ちとなった。吉田氏は、初めて立候補した前回の区長選で、現職にあと1歩にまで迫った経験を生かし、今回は「完全無所属」で戦い、幅広い支持獲得を目指した。共産、社民両党などが自主的に支援。吉田氏は「区長はどの区民にも公正公平でなければいけない。区民の声を聴いて予算付けをするのが区長の役割」と訴え、「いる必要がない」として区長室の廃止などを主張。「区民1人1人の声を聴くような区長になりたい」と訴えた。前川区政で進み争点の1つになった区立美術館の建て替え計画では、中止を訴えた。

一方の尾島氏は、早大時代、当時衆院議員だった小池百合子都知事の秘書となり、「育ての母」の小池氏と、これまで計20年近く行動をともにしてきた。小池都政で重視される子育てや教育政策を第一に掲げ、防災・危機管理や福祉・医療政策、練馬が誇るアニメコンテンツや、音楽、アートを通じた文化芸術の街づくり、若者支援、交通インフラ整備などを主要政策に掲げ、「この選挙で勝たなければ仕事をすることができない」と、支持を訴えた。

無所属で立候補したが、都民ファのほか自民、東京維新の会、国民民主党が推薦。2月の衆院選で東京の30小選挙区で全勝した自民党の国会議員が全面支援。小池氏が選挙期間中2度、応援に入ったほか、片山さつき財務相や、国民民主党の玉木雄一郎代表らも応援演説に駆けつけた。高市早苗首相も、自民党総裁として必勝の「為(ため)書き」を送った。

人口約75万人の練馬区は東京都内の中核区の1つ。先月の石川県知事選や東京・清瀬市長選で推薦した現職が敗北した自民は、今回の区長選を重視していたが、衆院選の「高市人気」を生かすことができなかった。高市政権の前には、東京の首長選で自民の連敗が続いた期間もあったが、今回は衆院選では圧勝したはずの東京で、清瀬市長選に続いて連敗を喫した。

この日行われた自民党大会では、高市首相が総裁演説で「私が目指すのは、国でも地方でも選挙に勝ち続けること。私が先頭に立つ。どこまでも自民党を強くしましょう」と訴えたばかり。清瀬に続く「練馬ショック」となった自民党にとって、来年の統一地方選にも不安を残しかねない結果だ。