オーガニックとリスクの総量、談。
例えば家庭で全てオーガニック食品にしたとして、当然割高にはなるけど残留農薬や硝酸態窒素とかのリスクは確かに下げられるかもしれない。
けれど日本の慣行農産物はもとよりしっかりした法制度のもと安全性が確保され流通しているので、オーガニック化によって低減できるリスクの量があまりに小さい。全く変わりないという場合だってある。
そうなると、オーガニック化によって増えた金銭的コストと、消費者が得られる功利とのバランスが取れない。割に合わない。余分にかけたそのお金で、もう一品食材を増やしより彩りを豊かにしたり、デザートを買ったりできる。オーガニック化を続けていくと仮定すると、その積み重ねで好きなものを買ったり、家族旅行に行けるかもしれない。これは見えない損失。
翻って、健康や安全性を謳って有機を勧めるのは、それに感化されて買う消費者を半ば欺いていることになりかねない。他方、農業における限りある資源、利用すべき資源をオーガニックという栽培方法によって使用の適正化を企図する時、その価格差を消費者に課すというのは無理がある。
資源はいつかなくなる、循環型社会を…という大きくて長い話で消費者に義務感を持たせるのは酷というもの。人々は今日を必死に生き、明日のためにあらゆる選択をしていく。人はゆるやかな変化に対応できるように設計されていないから。
今、オーガニックは「詐欺の温床」や「金持ちの道楽」と揶揄されるまでに至っている。しかし有機農業の社会的意義は決して小さくないはず。これからの制度設計をどうするかで今後の在り方は如何様にも変わっていくと思っています。