「目の前の人を幸せにしてあげて」――綾瀬はるかの生き方を形作る家族の言葉 #家族とわたし
身近な人を見送った経験は、役との向き合い方にも影響している。綾瀬が主演する新作映画『人はなぜラブレターを書くのか』は、愛する人を亡くすこと、家族を思うことを丁寧に描く作品だ。同作は地下鉄脱線事故にまつわる実話をもとにしている。綾瀬演じるナズナは、今は亡き初恋の人へ20年以上の時を超えてラブレターを書く。 「家族が病気で亡くなる経験をして、亡くなる人はどういう気持ちなのか知りたいというところも大きく、お引き受けしました。脚本を読んで、それぞれの登場人物が誰かを思って懸命に生きている姿が本当に素敵だと思ったんです。石井裕也監督は早くにお母様を亡くされていて、『深夜って、亡くなった人の世界とのつながりを感じる瞬間があるんだよね』とおっしゃっていて。それを深く知りたいと思いました」
大切な人を失う喪失感についてこう語る。 「悲しいけれど、それでもお腹は減るし、日々が続いていく。生活しながら少しずつ受け入れたり、その人の言葉が大事に思い出されたりするなかで、心に空いた大きな穴が埋まっていくものなのかな。埋まってきても、どうしても『話したいな』と思う時はありますよね」 「変えられないことを考えても仕方がない」と思うようにしているという。 「あの時もっとこうできたかもしれないとか、もっと早く検査していれば、と考えたりすると、自分を責めたり、後悔したりすることも出てくると思うんです。でも、起きてしまったことは変えられない。だから、どう未来を生きていくかにつなげるしかなくて。今生きている大事な人がいるのなら、当たり前に明日が続かないと思って、その人に日々ちゃんと愛情や感謝を伝えようと」 その考えは、仕事や日常生活においても同じだ。 「5年くらい前、風邪が悪化して肺炎になってしまったんです。睡眠不足で疲れていることは自分でわかっていたのに、なんで注意しなかったんだろうとすごく反省しました。でも、なんであの時、と思ってもどうしようもない。それをきっかけに、無理しすぎるのはよくない、自分で改善できることは改善しよう、と。どうプラスに変えていくか考えていますね」