「卑屈な奈良県民bot」の“中の人” 自虐の裏にある郷土愛
「31年間ずっと奈良に住んでるワイのあだ名↓『奈良漬け』」「近鉄奈良線が開通したのは紀元前3世紀なので平城京は近鉄の後です」――。強い地元愛を感じさせるユーモアたっぷりの投稿で話題を呼び、X(ツイッター)でフォロワー約9万8000人を誇るアカウント「卑屈な奈良県民bot」(@nntnarabot)の「中の人」の一人。作家でもあり、奈良の名所や古くからの言い伝えを古典や都市伝説、童話などと融合させた作品のほか、奈良を舞台にしたインターネットゲームなどを発表してきた。 【写真で見る】奈良から迷子?のシカやん 2013年、県内の高校を卒業してすぐに友人とともにアカウントを開設。初めは県内の「高校あるある」ネタなどを投稿していたが、「ネタ切れ気味」になり、「変わった取り上げ方で興味を持ってもらおう」と自虐やユーモアを交えた投稿を行うようになった。21年、奈良が舞台のロールプレーイングゲーム「ファイ奈良ファンタジー」を製作し投稿したところ話題に。最近では「卑屈な奈良県民bot」に影響を受けた京都出身のフォロワーが立ち上げた「みえっぱりな京都人bot」(@kyotojìn_bot)と互いの県民性を取り上げる“プロレス”も演じ、更に注目を集める。 竹取物語をネット用語やギャル用語を交えてつづったウェブ小説「ファンキー竹取物語」が21年に「はてなインターネット文学賞」で大賞を受賞し、その後作家デビュー。「県民の生活感覚に根ざした物語」を意識している。 奈良の魅力を発信する活動への根源は深い郷土愛だ。県内で生まれ育ち、自身は地元での就職を選んだ中で、周りの友人が「みんな県外に出て行ってしまう」現状を目の当たりに。みるみる人口が減って「このままでは地方が滅びる」と危機感を覚えた。奈良は「静かで住みやすくいい場所」。自身の投稿や作品を通し「地元のことを愛して、地元に残ってくれる人が増えたら」という強い思いを持つ。 交流サイト(SNS)や小説以外の発信方法も模索。「常に新しいコンテンツに目を向け、地元・奈良の魅力を幅広い世代に伝えたい」。その姿勢は“卑屈”さにはほど遠い。【喜多瑞輝】 ◇あをにまる 旧奈良県立平城高校、大阪府内の大学を卒業。県内の市職員を経て、2021年より現職。26年2月には新作短編集「奈良千夜一夜物語」(KADOKAWA、1760円)を発表した。