市職員が撮影した公務写真、市長が個人SNSに投稿するのは是か非か

富田祥広

 京都府舞鶴市の鴨田秋津市長が、市の職員に撮影させた公務での写真を市長個人のSNSに繰り返し投稿している。専門家は「公務員を私的に使っていると考えられる行為で不適切だ」と指摘する。

 鴨田市長はインスタグラム、フェイスブック、X(旧ツイッター)の個人アカウントで、公務に随行した職員に撮影させた自分が写っている記念写真などを投稿している。

「個人の思いも書いている」

 鴨田市長は9月24日、朝日新聞の取材に「市長がどんなことをしているかを発信したい。個人アカウントなので『市として』とは言いにくいが、『僕個人としてはこう思います』というコメントも入れるようにしている」と答えた。職員から写真のデータをもらっているという。

 市の主催行事や市政の情報は市の複数のSNS公式アカウントで担当職員らが発信している。鴨田市長は「公式アカウントで発信したもの以外を僕の個人アカウントで出すように心がけているが、特段すみ分けをしているわけではない」と話した。

市の職員に撮影させた公務の写真を、市長のプライベートなアカウントに投稿する是非について専門家に取材しました。その内容を紙面で報じたところ、市長は…

専門家が指摘する問題点は

 市長個人のSNSへの投稿について、自治体のSNS活用に詳しい情報文化総合研究所(横浜市)の代表取締役で武蔵野大名誉教授の佐藤佳弘さんは「市長の活動の発信は、市の公式アカウントで市長が使うものを作って行うのが本来のあり方。自身のPRや政治活動の発信に使う個人アカウントとは区別する必要がある」と指摘する。

 その上で、「職員が公務で撮影した写真を市長の個人アカウントに流用するのはモラル的に不適切。公私混同と言わざるを得ない」とし、「自分で撮影していない写真を出典を明記せずに個人アカウントに投稿するのは著作権上の問題も生じる」と言及する。

専門家の指摘を報じると、市長は…

 朝日新聞は9月28日付朝刊で、鴨田市長が職員に撮影させた写真を市長個人のSNSに繰り返し投稿していることや専門家が指摘する内容を報じた。

 これを受け、鴨田市長は28日、定例記者会見の場で「市長だからと特別な取り扱いをしているものではない」とする市の見解を読み上げた。

 職員から写真データをもらっていることについて、鴨田市長は「市では業務上撮影した写真で写っている本人がほしいと言う場合は提供している。私も写っている一人として市から写真の提供を受けているものだ」と述べ、「(提供した写真は)被写体である本人の使用まで制限していない」とした。

市の公式アカウント、なぜ使わない?

 「なぜ公式アカウントで発信しないのか」との朝日新聞記者の質問に対しては、「所管の広報広聴課の仕事が増える。今後の戦略的な広報の中で公式として市長の活動記録を作るのは排除するものではないし、検討の一つ」とした上で、「仮にそうなっても個人アカウントでの投稿をやめるという考えはない」と話した。

 鴨田市長は元市議で、今年2月の市長選で日本維新の会府総支部の推薦を受けて初当選した。SNSの個人アカウントでは市議時代や市長選時、維新の政治活動などに関する投稿のほか、プライベートな話題も投稿している。

「デジタル版を試してみたい!」というお客様にまずは1カ月間無料体験

この記事を書いた人
富田祥広
鳥取総局
専門・関心分野
国内社会、ルポルタージュ

関連トピック・ジャンル

ジャンル