日記 鳩
空きコマにコンビニで買ったおにぎりを食べていたら、ベンチのすぐそばに鳩が降り立ってきた。
ずいぶん近くに寄ってくるものだなと思って見ていると、左足が本来、指に分かれるところで切れている。
動物に襲われたのか人にやられたのか。
体幹を揺らしながら歩くさまは、他の鳩に比べてややぎこちないが、健康状態が悪いわけではなさそうだ。
だがこの鳩のすごいのは、他の健常な鳩と、人との距離感の取り方が明らかに違うところだった。
普通の鳩より明らかに近づいてくる。
目を合わせたら大抵は数秒で引き下がっていくが、むしろこいつは、意図的にこちらを見てきたりする。
かといって近づきすぎるわけでもなく、微妙な場所で引いていく。自分のベンチを周るようにしながら、いったん遠ざかったりまた近づいてくる。
一目見て、この鳩は物乞いをしているのだとわかった。こぼれた食べ屑を拾うだけの足が同族に比べてない彼は、自分に直接恵んでもらう術を学んだらしい。
おにぎりを食べ終わると、鳩はすぐに消え去った。
障害のある動物は、簡単に淘汰されるものと思い込んでいたが、鳩が都会の少し特異な生態にあるとはいえ、そうではないことを知った。
人間はどうするべきなのかと考える。
プライドを捨てて、憐れみを乞い、社会的弱者として生きるのか。
それとも屹然と立ち、社会の一員として当然に肯定されて生きるのか。
鳩は足が無くとも翼で飛ぶことはできるが、人間は欠けた心身と頭で、どう生きるか考えなければならない。
