北海道新幹線開業10年!「青函圏」の変化と可能性

テレビ北海道(TVh)で4月11日に放送した「けいざいナビ」では、北海道新幹線開業から10年を迎え、新幹線がもたらした効果、そして「青函圏」という新たな経済圏の可能性を特集した。

北海道新幹線の開業に合わせ、北斗市は新函館北斗駅周辺に約28億円を投じて13.5ヘクタールの土地を整理し、そのうち5.3ヘクタールを商業用地として造成した。しかし、現在売却済みなのはホテルやレンタカー、道営住宅が立ち並ぶ3ヘクタールにとどまり、残りの2.3ヘクタールは空き地のままだ。北斗市の池田達雄市長は「残念なことに札幌延伸が延びてしまった」と、2038年度末までずれ込む見通しとなった延伸延期の影響を口にするが、一方で駅前に首都圏企業のサテライトオフィスが開設されるなどの明るい兆しもあり、「新幹線の魅力を実感する人が増え、需要は伸びてくる」と期待を寄せる。

対照的に、道南最大の観光地・函館は好調を維持している。2024年度の観光客数は、開業初年度を上回る過去最高の602万人を記録した。函館市の担当者は、市内の年間観光消費額は約2046億円にのぼり、製造業や医療福祉を上回る重要な基幹産業となっていると話す。市は、観光客が使ったお金がさらに地元の産業へと循環する「経済波及効果」を高めるため、地産地消の多様化に期待を寄せる。

その象徴的な一例が、湯の川温泉の老舗割烹旅館「若松」だ。青森県出身の成田正吾料理長は、青森の正月料理「けの汁」に着想を得て、具材をさいの目に切った函館伝統の「くじら汁」を考案した。器には、蓋に五稜郭を描いた「津軽塗」を使用している。成田さんは「青森からここまで1時間。青森と函館はもうひとまとめというイメージ」と語り、料理を通じて青函圏の結びつきを表現している。

交通網の整備は、大きな都市がヒト・モノ・カネを吸い寄せる「ストロー効果」を生む懸念もある。地域観光に詳しい北海道教育大学函館校の奥平理准教授は、宿泊客の減少や深刻な人材不足を共通の課題として挙げ、「青函で人材の融通をしながら経済交流をしていくべき」と指摘する。

この課題に対し、医療分野では県境を超えた連携が進んでいる。医療法人「雄心会」は、新幹線開業翌年の2017年に、新青森駅から徒歩3分の場所に「青森新都市病院」を開院した。脳血管治療で道内トップクラスの実績を持つ函館新都市病院の原口浩一院長は、月に1〜2回、新幹線で青森へ向かい手術を執刀している。
青森県は脳血管疾患の死亡率が全国的に高い一方で専門医が不足しており、函館の技術が青森に届けられる形となった。雄心会の金子達也専務理事は、「札幌に依存しない形で、ここを一つの経済圏域として発展させていきたい」と、自立した青函圏の未来を見据えている。

※番組は公式YouTubeチャンネル「TVh北海道ニュース」で配信中(2026年4月11日放送 テレビ北海道「けいざいナビ」より)

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