インタビュー

「コナン君なら」想像して見つけた無罪の糸口 元官僚の村木厚子さん

御船紗子

 週刊少年サンデー(小学館)で連載中の漫画「名探偵コナン」は、連載30周年を迎えてもなお人気が衰えない。作品に人生を救われたという、元厚生労働省官僚で現全国社会福祉協議会長の村木厚子さん(69)に魅力を聞いた。

娘2人と見たアニメ

 作品と出会ったのは子育てしていたころ。マンガが先かアニメが先か、今となっては思い出せませんが、娘2人と一緒にアニメを見ていた記憶はあります。殺人シーンはあっても、最後に必ず犯人をみつけて事件解決してくれるので、子どもに安心して見せられました。

 元々推理小説が好きで、コナン君が好きな「シャーロック・ホームズ」シリーズ(コナン・ドイル著)も大好き。最初に作品にはまったのは、推理モノとして魅力を感じたからだと思います。

 仕事が忙しくてアニメを毎週追えなくなると、夫が録画してくれました。とりためたものはCMをカットして、DVDに焼いて、どの話が入っているか書かれたラベルを貼ってくれて。ラベルには、コナン君たちのイラストも付いているんですよ。

コナン君まねて考えてみると…

 厚労省官僚だった16年前、無実の罪で逮捕され5カ月間の勾留を経験しました。その時に思いだしたのが、コナン君だったんです。

 検察の取り調べを受けて、この人たちは真相究明はしてくれないんだと悟りました。じゃあ、自分で無実を証明しなきゃいけない。どうしようと考えたときに、ふと、いつも冷静なコナン君ならどうするかなと思ったんです。作中の「不可能な物を除外していって残った物が…たとえどんなに信じられなくても…それが真相なんだ!!」(28巻282話)というコナン君の推理のやり方をまねてみることにしました。

 開示された報告書を読んで、確かな事実とそうでないものとを分けていきました。検察の作り上げたストーリーはきれいなんだけれど、自分はやっていない以上、事実じゃないものがあるはず。無実を証明する証拠は必ずある。

 フロッピーディスクの最終保存日の記述を見つけました。検察側のストーリーとかみ合わず、証拠のでっちあげを指摘する重要な証拠になりました。無罪への突破口を見つけられたので、コナン君には恩がありますね。

 原作は自宅に全巻あります。最新の107巻までで2周はしたかしら。もっと手前の巻までは、もう何周も読み返しています。

 娘を育てていたころは、コナン君や(同級生の)少年探偵団に感情移入していましたが、孫とアニメを見るようになってからは、大人のキャラに共感します。

信じられる大人がいる 作品の魅力

 コナン君を自宅に住まわせている探偵の毛利小五郎は、酒好きで日頃はダメな大人なのですが、いざというときには体を張ってコナン君たちを守ります。コナン君の秘密を知る阿笠博士も、少年探偵団や(同級生の灰原)哀ちゃんを大人の立場からよく守っていますね。

 欠点はあるけれど子どもを守ってくれる、子どもが信じられる大人がいる。それって素敵なことだと、最近は思うようになりました。自分の子育てが終わり、人生経験を重ねて、ものの見方が変わったのかも。

 劇場版を映画館へ見にいくのは、ゴールデンウィークの恒例行事になっています。今年は次女と孫2人といきました。映画館ではいつも「欲しいグッズがあれば買ってあげるよ」と伝えるのですが、結局買うのは私だけ。よく買うのはコナン君と哀ちゃんのグッズ。ちなみに、今持ち歩いているのはコナン君と怪盗キッドが描かれたチケットホルダーです。

 コナン君と周りのキャラたちがこれからどんな物語をつむいでいくのか。この先も楽しみにしています。

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この記事を書いた人
御船紗子
国際報道部
専門・関心分野
国際関係、サイバー
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    高祖常子
    (子育てアドバイザー)
    2025年8月10日16時6分 投稿
    【解説】

    無実の罪の逮捕によって180日以上にわたって拘束された村木厚子さん。 コナン君の推理のやり方をまねることによって、真実への突破口を見つけられたというのは興味深い話です。 彼女の逮捕によって、日本の社会福祉は停滞したとも言われています。疑念が晴れて本当によかったです。

    …続きを読む

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