あぁそうだ、ドラゴンになろう。
初チャビル〜〜〜!!!
チャビルwithドラゴンでお送りいたしますキューピット役はジニーです。かわいい。
捏造のオンパレードですが幸せな赤毛一家が書きたかったので良しとしてください。
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あぁそうだ、ドラゴンになろう。
※ヴォル様討伐後のお話ですが、ビルはフラーとくっついてません。
※フレッドは死んでません。(大怪我をしただけ)
※今作はチャビルです。
クリスマスの時期になると家族みんなが集合し近況報告に勤しむのは、随分前からウィーズリー家withハリーの日課になっていた。そうでなくとも手狭な家に大集結するのは少々圧迫感があるが、それよりも久々に会う兄妹たちの姿に胸躍らせるのが現状だ。
モリーは昨晩からご馳走の準備をし、早めに帰ってきていたビルは彼女を手伝う予定だったけれど、結局はイタズラ好きな双子に手を焼いていた。末の弟のロンがハリーと遊んでいてくれなければ半日のうちにクタクタになっていただろう。
無論ビルだって久々に会う彼らと遊ぶのは楽しいし、ヴォルデモートとの戦いでフレッドは死にかけたのだから彼の元気な姿を見るだけで泣いてしまいそうなくらいだ。けれど1つ。そんな兄弟との親睦会(?)中でもうっかりぼーっとしてしまうほどには、気がかりなことがあった。チャーリー・ウィーズリー。自他共に認めるドラゴン馬鹿で、いつだってドラゴンが最優先。今回のクリスマスだって本当は彼が1番早く戻ってくるはずだったのに、世話をしている一頭が風邪をひいたか何かで帰郷が遅れているのだ。
今日はイブであり明日はクリスマス当日。イブの夜は大人だけで飲み明かすのが恒例で、今年はフレッドとジョージも新たに加わることになっていた。彼らがもう大人だなんて考えられないけれど年月が経つのはあっという間らしい。飲み会メンバーが増えたことでチャーリーと2人になれる時間は少なくなったけれど、深夜だらけてきた頃に2人で抜け出すのはいつものことだ。パーシーを置いていくのを後ろめたく思った時期もあったけれど今年はフレッドたちがいるから心配ないし(むしろ心配だとも思うけれど知らないふりをしておきたい)、なにはともあれ久々にチャーリーと会いたいのだ。それもできるだけ早く、長い時間。
ドラゴンのかっこいい話を期待していたロンがすっかり御機嫌斜めなのもそのはずで、時刻は夕方7時を回っていた。チャーリーの帰りを待とうと夕食はお預けだし、そもそもロンはクリスマスにハーマイオニーとのデートを計画していたのだが、彼女にはあっさり断られたのだ。理由はよく覚えていないけれど、同級生の女の子とパーティーをするか何かだった気がする。
そんなわけでロンの楽しみはハリーと遊ぶこと(これはあまりにもいつも通りすぎて楽しみとは言えないかもしれない)とご馳走とチャーリーのおみやげ話(あわよくばおみやげも)で、そのうち2つがお預けとなればむくれるのも仕方のないことだった。建前上彼をなだめつつも、ビルだって内心はチャーリーへの怒りが募っている。
それからまたしばらく待って。結局モリーの「先に食べちゃいましょう」で夕食はスタートとなった。彼女だってまだ綺麗に盛り付けされているご馳走をチャーリーに見せたかっただろうけれど、ドラゴンが風邪をひいたという連絡以降音沙汰のない彼に少々おかんむりなのかもしれない。
巨大なチキンやパイや揚げ物たちはどれも美味しく、食卓はあっという間に戦場と化した。ほとんどが成人済みとは思えない光景だが、ビルだって自分の取り分を死守することは忘れない。人気のないサラダ類はジニーとモリー、アーサーがもそもそと食べる程度で、いつもはクールなパーシーでさえロンと肉の取り合いをしていた。
「みんな、ただいま。ハリー、我が家へようこそ」
「チャーリー!!!」
つい10分前に食事をスタートしたというのに、絶妙に間が悪いと誰もが思いながら、そんなこととはつゆほども知らないチャーリーはにこにこと笑いながらまだ雪のついている上着を魔法で乾かした。顔に少し傷が増えた気がするのは気のせいだろうか。無論ビルだって人狼の一件で顔には酷い傷ができたけれど、彼の場合は多分日常的な、ドラゴンとのじゃれあいによって生じた傷だろう。
「悪いな遅くなって。良かった、先に食べ始めてたんだな。おいフレッド、ジョージ、それからロン、俺の分のチキンは残しておけよ」
「「早い者勝ちさ」」
「チャーリー!その腕に抱っこしてるのって……!」
「あぁ、こいつが例の風邪っぴき。まだ子供だから連れてきたんだ」
ケロっと言ってのけるチャーリーにロンが歓喜の叫びを上げモリーは部屋を燃やさないでよと眉間にしわを寄せたのだが、ビルはといえば全くドラゴンに気づかなかった自分に驚いていた。いくらなんでもそんな、どれだけチャーリーしか見えていないんだと赤面する。それに気がついたのかチャーリーはにやりと笑い「あいかわらずだなビル」と呟いた。
彼が連れ帰ってきたドラゴンはアルマンディンドラゴンというらしく、その名は宝石からとられているようだ。真っ赤な体や鉱石のようなツノは赤毛ファミリーと呼ばれることもあるウィーズリー家によく馴染み、チャーリーが夕食を食べている間もおとなしく彼の膝上で丸くなっている。時折くしゃみをするので風邪をひいているのは本当らしいが、その都度心配そうに、また、あやすように優しい声で「大丈夫だよパッティー、すぐ良くなるからな」と言うチャーリーに何となく苛立ちを覚えた。
そもそもチャーリーはドラゴンに名前をつけるようなタイプじゃなかったと思う。それこそ犬をイヌと呼ぶタイプだ。それは単に興味がないのも半分、ドラゴン含め動物研究対象としてみているところが大きいからだろう。だから彼の持つドラゴンはみな種名で呼ばれていたし、同じ種が数体いる場合は番号が振られている。それを……パッティー。アルマンディンドラゴンのどこをどう取ったってそんな愛称は出てこない。
「なんでパッティーなんだい」
もうだいぶ食べ尽くされたご馳走の残骸を眺めながら、さもなんてことない質問のように呟いた。チャーリーは一瞬きょとんとしたがすぐに笑うと「気になるか?」なんて聞いてくる。気になるから聞いているんだと言いたくなったけれど、それはロンが代弁してくれた。
「実はこいつ、譲り受けたものなんだよ。前の飼い主がパッティーって呼んでいたし、俺もつられて呼んでたからな。今更変える気にもなれなくて」
「前の飼い主って……でもそれ子供だろ?」
「この種は長寿でね。子供に変わりはないが実はもう15歳なんだ。ドラゴンが飼えなくなる都合ってのはまぁいくらでもあるけど、こいつの場合はいたく愛されてたし、愛玩動物的に飼われていたから。……他のがスネるし特別扱いは良くないんだけどな〜」
他の、のあたりでチラッとこちらを見てきた件については腹立たしくも図星で、シャンパンで色々な言葉を飲み込むと席を立った。ビルがいなくなった後もチャーリーはロンとハリーやフレッド&ジョージと未だ楽しげに雑談しており複雑な気持ちになる。
「わかってるなら追いかけるくらいしろよ」
誰にも気づかれない音量で言ったはずなのに、一足先にテーブルから離れソファでくつろいでいたジニーと目が合ってしまった。気まずさに何か言い話題を探すが浮かばない。彼女は同情するような顔で「チャーリーはそういうタイプだもの」と呟いた。
結局夜の飲み会は散々だった。というのも長旅の疲労からからドラゴンの容体が悪化し、チャーリーは一晩中薬を煎じていたからだ。手伝おうかと声をかけたけれど集中して聞こえていないのか返事は返ってこないし、夜食にとトーストを持っていけば誤って吐かれたドラゴンの炎に消し炭にされてしまった。
クリスマスの朝になってもそれは変わらず、プレゼントはアーサー、モリーそしてビルでセッティングし、いつもなら手伝ってくれるチャーリーはやはり部屋へこもりっきりだ。彼のために買った新しい鞄をプレゼントする暇もなく、けれど両親からのものと並べて渡す気にはなれなくて自分のキャリーケースに仕舞ったままになっている。
朝食が終わった頃にやっと降りてきたチャーリーは、モミの木の下で未開封のまま置かれているプレゼントを掴みモリーらにお礼を言うと、その場で開封もせずにまた自室へ戻ってしまった。それにはモリーもさすがに寂しそうだったが、気の利くパーシーが彼女を慰めたし、早速フレッド&ジョージがアーサーにイタズラを仕掛けたしで湿っぽくはならない。けれど内心モヤモヤが消えないのも事実であり、複雑な表情をしていれば再びジニーに見られてしまった。
「チャーリーはドラゴン馬鹿なのよ」
「わかってはいるけどここまでとはね」
「パッティーには特別思い入れがあるみたいだし」
「エッ」
「アルマンディンドラゴンってすごく珍しいみたい。ドラゴン好きにはたまらないんだと思うわ」
「……そう、だよねぇ」
随分と情けない声が出てしまい、それにはジニーも心配顔だった。無論彼女はビルとチャーリーの関係を知ってはいるが深入りするつもりはないようで、まぁ元気出して、なんてなんの慰めにもならないような言葉を口にする。
好きなものに熱中するのはいいことだと思う。ビルだって呪い破りの仕事はわりと好きだった。無理難題を試行錯誤しつつ解くのが好きと言った方が良いかもしれない。けれどそれはあくまで趣味的な「好き」であり、恋愛感情とはまた違うベクトルだ。チャーリーと両想いだとわかったのは彼がホグワーツを卒業した年で、彼は当時からドラゴン馬鹿ではあったが、彼の1番に自分がなれると知って喜んだ。告白はほぼ同時みたいなものだったけれど互いに幸せにすると誓い合ったのは覚えている。仕事で会えない日が続いてもその誓いと愛しているという気持ちさえあればなんてことなかった。
はずだけれど……。
遠距離恋愛で会えないのと目の前にいて相手をしてもらえないのではワケが違うのではないだろうか。前はもっと……それこそモリーやアーサーにバレるんじゃないかとヒヤヒヤするくらいには熱い抱擁をしてくれたり、夜には色事だってした。当然だ。男2人がにこにこ笑って満足なわけがない。なのに彼は……ドラゴンドラゴンドラゴンと。もしかして会えない間一度も自分のことを考えてくれていないんじゃないかと不安になる。もしそうだとしたら大ごとだ。立ち直れない。こっちはいつだって彼を想い、彼が元気で楽しくやっている様を想像しているのに。
「チャーリーったらドラゴンばっかりで全然僕の相手をしてくれないんだ。ひさびさに会ったんだから遊んで欲しかったのに。僕がドラゴンだったらもっと構ってもらえたかなぁ」
自分の思っていることが口から出てしまったのかと、咄嗟に口元を覆った。が。音の発生源はビルではない。いつの間にか隣に立っていた可愛いロニー坊やだ。
「ロン、それなら俺が遊んでやろうか?」
「ビルは昨日からずーっと心ここに在らずだろ?もういいよ。うちのお兄ちゃんズは弟を可愛がる気がないんだもの」
「そんなことないさ」
「無理しないで。まぁ僕も子供じゃないからね。フレッドたちにイタズラされる前に部屋へ戻るよ。課題もやらなきゃいけないし」
ロンの寂しげな後ろ姿を見送りながら、可愛がる気がないと言われたことに少なからずショックを受けた。鈍いロンでもそう感じたのだから案外目ざといフレッド&ジョージはとっくに対ビルとの楽しいひと時を早々に諦めたことだろう。
……ドラゴンだったらって言ったか???
悶々と反省会を繰り広げつつもロンの言葉を反芻した。そうか。その手があったか。
誰かに話したら馬鹿にされそうな、本当に気が狂ったとしか思えない作戦だけれど、それを実行するくらいにはビルはチャーリーといちゃいちゃしたかったし、それ以前に自分を見て欲しかったのだ。部屋へ駆け戻るともう随分埃を被っている魔法大全集を引っ張り出す。ドラゴンになる魔法は…………。
「えーと、それでね。庭にいたのよ、この子」
ジニーが若干棒読みのセリフを言いつつ、目の前にいる大型犬サイズのドラゴンをチャーリーに紹介した。彼は興味津々といった様子でドラゴンを見つめ、ツノを撫でたり鱗をなぞったりする。
「いきなり現れて、それでお前について来たって?」
「そう。私だってわけわかんないわよ。チャーリーはドラゴンに詳しいでしょ。大人しいみたいだし、しばらく面倒見てあげて」
フレッドとジョージだったらもっと良い筋書きを考えただろうななんて考えつつ、鋭い鉤爪のついた自分の前足をしげしげと眺めた。魔法大全集に載っていただけの聞いたことも使ったこともないような変幻の呪文だったが幸運にも成功し、またジニーの協力を得ることもでき(代わりにハリーとのマグル界旅行代を出すことになった)、トントン拍子でドラゴンとなって現れることクリスマスの日の正午である。
チャーリーはしばらくビルドラゴン(仮名)を舐めるようにして見ていたが「まぁいいだろう」と言ってあっさり受け入れてくれた。絶対断られるわよと言っていたジニーは拍子抜けした顔をし、けれど面倒ごとから解放されるならとそそくさとその場を離れる。
「初めて見る種だなぁ。うちの庭にどんな用事があったんだ?」
優しい笑みを浮かべながら頭を撫でてくれるチャーリーの手はとても暖かく、ひさびさに見る深い青色の瞳は穏やかだ。袖をまくった腕は相変わらず傷だらけで、真新しいものもあるからパッティーにでも傷つけられたのだろう。もっと撫でて欲しいと頭を擦り付ければカラカラと軽い笑い声をこぼす。昨日から一緒の家にいるのに彼の笑い声を聞いたのは初めてな気がした。
「人懐っこいなぁお前。……この頬の傷、ビルとお揃いだな。種もわからないし名前もないんじゃ仕方がない。お前は……ウィリアムにしようか。ビルとお揃いだぞ」
自分の名前が出てきて心臓が飛び上がったが、彼にそう呼ばれたのが嬉しくていっそう頭を押し付けた。この姿だとビルの方が力持ちらしい。押されたチャーリーは尻餅をついたが、それでも笑顔で甘えん坊めと呟く。
それから夕食まではずっとチャーリーと共にいた。パッティーもいるから正確には2人きりじゃなかったけれど、お子様ドラゴンなんていないも同じだろう。無論彼はパッティーを終始抱いて温めてやっていたし、そうなると少なくとも彼の片腕はパッティーのものだったが、優しい声でウィリアムと呼ばれるのに悪い気はしなかった。彼の投げたペンを取りに行ったり、言われた通り翼を広げてみたり。なんだかペットになった気分だったけれど、褒める時におでこにしてくれるキスは甘い。
あっという間に時間が経ち、夕食だとみんなを呼ぶモリーの声でやっと時計をみた。時間は6時過ぎ。つまり6時間ばかしチャーリーとドラゴン姿で遊んだわけだ。
彼はパッティーを抱いたまま部屋を出ようと立ち上がり、ウィリアムに「いい子に待ってろよ」とだけ行って下へ降りて行ってしまった。それにはなんだかガッカリしたが、そろそろビル姿を見せなければ家族の誰かしらにバレてしまう。
手早く魔法を解くと音が鳴らないよう慎重に扉を開け、何食わぬ顔でリビングへ向かった。チャーリーはこちらを見てもいつも通り(というか素っ気ないくらい)で今夜はシチューらしいぞ、なんてどうだっていいことを教えてくる。
夕食の席ではフレッドとジョージに日中どこへいたんだと問い詰められたけれど、部屋でだらだらしたり街を散歩したといえば一応は信じてくれた。なんでも新商品の開発が成功したらしく、また、クリスマスということもあって店は大忙しだったようだ。結局ビルの代わりにロンとハリーが臨時スタッフとして駆り出され、ピーク時にはパーシーも売り子をやったらしい。またしても弟の相手をしてやれなかったことを後ろめたく思いつつ、デザートの半分を要求してきたジニーに満腹だと言って皿ごとわけてやり、明日の店番を免れた。
チャーリーが真っ直ぐ部屋に帰ったので、ビルも急いでウィリアムに変身すると彼の部屋の扉をツノでノックした。彼は焦った風もなく迎い入れる。普通部屋で待つように言ったドラゴンが行方不明だったら探すだろうと思ったけれど、それを読んだみたくチャーリーは笑って「利口だから戻ると思った」なんて呟いたものだから面食らってしまった。どうやらチャーリーは本気でドラゴンが好きで、そこに人間とかドラゴンとか、そういう種の壁はないようだ。だから昨日からビルでなくパッティーを優先するのかな、なんて悲しい想像が頭をよぎる。だとしたら浮気じゃないか?なんて馬鹿げたことも。
招き入れられれば断ることもできず、未だパッティーを抱きかかえ駒込ピペットなんかを使って餌を与える彼に寄り添った。なにやらドロドロした、お世辞にも美味しそうとはいえない代物だったけれど、チャーリーがああやって与えてくれるならいいなと思う。同時に自分が随分気が狂っていることにも気づいた。
彼はおもむろに立ち上がるとキャリーケースの中からビスケットを取り出し、手をお皿にしてウィリアムの前に差し出した。羨ましいとは思っていたもののこんな偶然あるか?と訝しみつつ、また、実際に手から食べるってなかなか勇気がいるなと踏み出せない。
「恥ずかしがってるのか?昼間の熱烈なタックルはどうしたよ」
からかうような口調に人間の姿だったら顔が真っ赤になっていたと思う。遠くではロンとハリーの笑い声やパーシーの怒鳴り声なんかが聞こえるのに、それをかき消すほど自分の心音が大きい気がする。チャーリーに聞こえていたらどうしよう。そんなことばかり考えて、けれどいつまで経っても手を引っ込めない彼に根負けしてビスケットを1つ掠め取った。
歯の感じがいつもと違うからか、ぼろぼろとこぼしてしまったのが恥ずかしい。チャーリーは食べかすをゴミ箱に捨てると再びおでこにキスをする。えらいぞウィリアム。なんて。ドラゴンになった途端べたべたされても複雑な心境だ。
彼がウィリアムの体を撫でたり寄り添って座らせてくれるのは嬉しかったけれど、同時に、微塵もビルを気にしないところが悲しかった。だって本来ならビルと一緒にいる時間だ。明日だってパッティーはまだ回復しないにしろドラゴンを抱えたままフレッドたちの店を手伝うことはできないから一日暇なわけだし、だとしたらデートにくらい誘ったっていいと思う。それとも何か。やっぱりビルよりウィリアムやパッティーといったドラゴン連中が好きなのか。
「っふ、あはは」
もやもやと考えていれば突然チャーリーが笑い出した。びっくりして翼を開いてしまう。彼の背中を叩いたような形になり、けれどチャーリーは笑い転げたままだ。
どうしたんだよとか何がおかしいんだとか、言いたいことはたくさんあったが術を解くのは癪で、責めるように彼を睨むと鉤爪で彼の腕を掴んだ。
「あはは、痛いよウィリアム」
「……」
「降参だ。悪かったって。からかいすぎたから怒ってんだろ、ビル」
「は??????」
驚きすぎて人間に戻ってしまったことはこの際どうでもいいにして、涙目になって笑い続けるチャーリーに一発パンチをお見舞いしたい気分だった。反射的に立ち上がると彼を見下ろす。チャーリーは未だ笑っている。
急に人間に変わったビルに(ウィリアムに?)パッティーは驚き暴れたが、チャーリーがゆらゆらと揺すってやれば大人しくなった。いやまて。お前そいつをなだめる前にもっとやるべき事もしくは言うべきことがあるだろう。
「お前、いつから」
「最初。ったくドラゴン研究のパイオニアをなめたらダメだろ。どんな術を使ったんだか知らねぇけど骨格から間違ってるぞ」
「そんなこと俺が知るわけ……いやいい、なんだって。じゃあ何で言わないんだよ。馬鹿にしてたのか?俺がどんな気持ちで……」
「わーるかったって!仕方ないだろ?恋人がドラゴンにヤキモチやいてドラゴン擬きになったんだ。可愛くて仕方なかったんだよ」
「可愛い!???」
「見た目の話じゃないって。……ごめんな。昨日の夜、お前との時間を作るべきだった」
反省してるんだぜ、なんて言いながらお得意の上目遣いをキメるあたり全然本気でないことはわかっていたけれど、結局自分はチャーリーに甘いらしい。惚れた弱みというやつだなぁとため息を吐きつつ彼の横に座りなおす。チャーリーはビルの手を握ると指と指を絡めてきた。
「ちょっと、許したわけじゃないんだけど」
「機嫌なおせよ?2人っきりだぜ?」
「本当ならもっと早くそうなってたはずだけどね」
「調合中にお喋りできるお前ほど器用じゃないもんで」
「朝は?」
「ドラゴンに薬を飲ませるのは大変なんだぞ?」
なんでちょっと強気なんだよとイライラしつつ、彼の無骨で傷だらけの温かい手に絆されるのに時間はかからなかった。だって仕方がない。愛しているのだ。彼がドラゴン馬鹿だからってドラゴンに化けるくらいには。
「ビル、頼むから笑ってくれよ」
切なげに、そして懇願するようにそう言われれば彼の唇を塞ぎたい衝動に駆られ、結局行動に移していた。あいかわらず優しいキスはビルの気持ちよくなるツボをしっかり覚えており、むかついて噛み付こうとすれば歯茎をなぞられる。
「っ、キスだけで許してもらうつもり?」
「どうかな」
「ちょっと本気で言ってるわけ!?」
「ただほらパッティーが……なーんで冗談だよ。パッティー、そろそろ寝る時間だし。いい子だからハウスでお眠り」
案外聞き分けのいいパッティーは移動用カゴに自ら入るとくるりと丸くなった。これで邪魔はなくなったなとチャーリーが笑う。待ちくたびれたと言おうとすれば、今度は彼の方から唇を塞がれた。
たくさんキスをして、いつのまにか服は床に落ちて。ベッドに転がり込むと互いの胸板やら背中、お腹なんかを触って確かめた。彼は今ここにいる。それが嬉しくて心臓が高鳴る。さらに逞しくなったチャーリーの体は彼の動きに合わせて筋肉が浮き沈みした。
ズボンから杖を探し出すと部屋に防音処置をして、それから扉に鍵をかけた。なんども使ったその術はもう唱えずともできる。チャーリーはもうすっかりスイッチが入っていて、ビルの身体中にキスを落とした。
情事を終えまどろみの中のピロートークは案外早く切り上げられた。というのもパッティーがくしゃみと同時に火を吹き、床に落ちていたビルとチャーリーの服を燃やしたからだ。
幸い消化作業は迅速に行われ、ビルのズボンとチャーリーのシャツが一着ずつお釈迦になっただけだったけれど、すっかりムードはぶち壊しだ。けれどイライラなんかはしない。むしろ付き合いたての頃、まだ準備にも慣れていなくて度々中断になった初々しい頃を思い出す。
「明日なんだけどさ、ピクニックにでも行かないか」
ボロ切れと化した服をかき集めながらチャーリーが呟いた。それが生粋のデートではなくパッティーの餌探しを兼ねていることにはすぐ気づいたが、仕方がないから知らんぷりをする。「いいね」と言えば彼の顔がほころぶ。プレゼントの鞄はその時にでも渡せばいいだろう。
チャーリーを独り占めにするドラゴンたちには、というか日々彼と過ごす彼らには正直嫉妬するし、今後もドラゴン優先な行動を彼がすることは目に見えているけれど、そこが逆に良いところな気もした。ビルが愛したチャーリーは確かにビルのことも愛しているけれどそれだけじゃない。ドラゴン馬鹿でちょっぴり意地悪な、それでいて優しいチャーリーなのだ。
END
※アルマンディンドラゴンや魔法大全集は完全捏造であり創作です。
読んでいただきありがとうございました!
とっっっっっても大好きな作品です!!!! 一昨年からずっと見ていてもう本当に毎日拝見しています!! 素敵なチャビルをありがとうございます😘😘