外国人住民が増加、四つの集合住宅の自治会・町内会が解散 西尾市と豊田市で2024年以降
2026年4月11日 05時10分 (4月11日 09時43分更新)
愛知県西尾市と豊田市で2024年以降、外国人住民の増加を背景に、少なくとも四つの集合住宅の自治会・町内会が相次ぎ解散したことが分かった。全国的に外国人住民が増える中、他の地域でも同様の問題に直面する可能性がある。
自治会・町内会は地域の住民でつくる自治組織で、住民同士の交流促進やごみステーションの管理、防犯・防災・交通安全など暮らしに関わる活動を担う。
西尾市では24年3月末に「治明(じめい)団地町内会」、25年3月末に「新在家(しんざいけ)新町町内会」が解散した。いずれも低価格賃貸住宅を展開する「ビレッジハウス・マネジメント」(東京)が運営・管理する集合住宅の住民で組織されていた。この二つの集合住宅の外国人比率は、今年2月時点で6割を超えている。
治明団地町内会は市に提出した「解散届」で「外国人比率が増加し、意思疎通が極めて困難な状況に陥っている」と説明。団地内清掃への参加率は10%、資源ごみの回収協力への参加は5%にとどまり、町内会費の未納率は4割に上った。
同様の理由で解散した新在家新町町内会は、事前に町内会存続の意向を多言語で189世帯に質問した。147世帯が「いいえ」と回答し、「はい」は4世帯にとどまった。38世帯は白紙・未提出だった。
町内会長を務めた日本人住民の男性(68)は「ごみ分別が守られない状況が続き、役員をやる人も不足していた」と語り、解散で「災害時に各階や各棟で行う住民の安否確認が難しくなる」と懸念を示した。
豊田市でも今年3月末で、「田中第二自治区」と「永覚宿舎自治区」が解散した。市によると、日本人住民の高齢化で役員のなり手が不足したほか、外国人住民の比率が高まりコミュニケーションが取りにくくなったという。市は、集合住宅の運営・管理会社を明らかにしていない。
ビレッジハウス・マネジメントの岩元龍彦社長は取材に、自治会・町内会は外国人住民にとってなじみが薄いと指摘。「自治会に代わる機能をわれわれで持ちたい」と述べた。25年度から外国人住民向けにごみ分別のルールや防災対策を周知する取り組みに力を入れているという。
西尾、豊田両市にはベトナム人やネパール人、ブラジル人ら多国籍の住民が暮らす。外国人比率は西尾市が4月1日時点で7・7%、豊田市は3月1日時点で5・7%に上り、全国平均の約3%を上回っている。
難しい意思疎通、自治体も苦悩
愛知県内の集合住宅で明らかになった自治会・町内会の解散。本紙が在住外国人の多い各地の自治体に取材したところ、多くが町内会等の解散に至らずとも意思疎通などに悩んでいた。安心して暮らせる環境づくりへ新たな取り組みを導入する自治体もあった。
静岡県で最も外国人比率が高い菊川市も最近、ビレッジハウス・マネジメントから「集合住宅の一つで自治会活動が難しくなっている」と相談を受けた。外国人住民の多さや入居者の少なさが理由。市担当者はごみステーションの管理や回覧板など最低限の自治会活動を助言し、解散は見送られたという。
外国人住民が多いことで知られる埼玉県川口市や群馬県伊勢崎市、静岡県湖西市によると、解散した事例はない。ただ、川口市自治振興課は「外国人が多く住む地域の場合、ごみ出しのルールなどで苦慮している話は聞こえてくる」と説明する。伊勢崎市は同様の問題を念頭に、住民トラブルなどが一元的に相談できる「市多文化共生センター」を昨年11月に設立した。
湖西市によると、外国人従業員が多い企業が集合住宅を借り上げ、そもそも自治会活動に関与しない場合もある。同市は以前から外国人住民が多く「地域住民として働き暮らしている場合もあり、解散につながっていないのかもしれない」と分析した。
全国自治会連合会によると、高齢化などを背景に全国的な自治会の加入率は低下している。「地域のつながりに関心を持たない若者が加入しない面はあるが、外国人住民の増加も加入率低下に影響している可能性はある」と指摘。防災や地域美化活動の意義を伝えていく必要性を強調した。(西山輝一、藤川大樹)
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