目が驚く:写真の部屋
2年ぶりのヨーロッパロケ。やはり知らない場所に行って写真を撮るのは格別な楽しさがある。
ここ2年間、外国に行くことができなくなり、国内ロケさえ減った。自分のハードディスクに溜まっていく写真は渋谷の風景しかなくなり、モデルを呼んで個人的な撮影をするのも憚られた。
10日間ヨーロッパに行ってみると、飛行機や鉄道では義務づけられているものの、人々は屋外でほとんどマスクをしていない。久しぶりに楽な呼吸に感謝する。
まず、フランクフルトまで行くのだがロシア上空を飛べないために遠回りをする。15時間半。普段より3時間ほど長い。フランクフルトからケプラヴィークというアイスランドの街へ。自分の中であまり意識することがなかった国、アイスランド。この国について何も知らない。
Stykkisholmskirkja by John Haraldson
ホテルの目の前には美しい教会があった。扉には鍵がかかっていた。アイスランドは白夜の時期なのでこれでももう夜なのだ。中から聞こえてくるパイプオルガンの音。深夜になってもほとんど明るさは変わらない。夏のヨーロッパで夜10時くらいまで明るいのは何度も体験しているけど、光の強さが違う。
ここから漁船程度のボートで小さな島に渡る。現地の人に「この島の人口は何人か」と聞く。英語がたどたどしく、こちらの質問が伝わっていないのだと思った。「7人」いやいや、そうではなくて、人口のことだ。populationを聞きたいんだよ、と言っても「だから、7人だ」と言う。wikipediaで調べてみると、そこには「人口は6人」と記載されていた。本当だった。どこかの家に子供が生まれたのかもしれない。
いつもそうなんだけど、自分がその島に生まれ、育ったとしたら、という妄想をする。人口7人の世界。「目が驚く」経験をしたらそれは写真を撮る衝動になる。
世界の広さは自分が決めるものだ。老眼が進んで遠くのモノがよく見えるようになったことはいい傾向かもしれない。これからもさらに遠くを見続け、視野を広げていきたいと2年ぶりの飛行機の中で思う。アイスランドでの撮影が終わり、次はオーストリアに向かった。
多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。



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