廣岡達朗コラム「竹丸和幸はエースの顔をしていない。あれでは相手に怖がられない」
見どころは金曜日に使い続けるかどうか
一方、DeNAの前身である大洋は、目時春雄という捕手が最初から巨人には勝てないと思ってマスクをかぶっていた。その後、正捕手になった土井淳はマスク越しによく囁きかけてきた。状態のいい打者を迎えると、「アンタ、調子がいいな。次はカーブが来るぞ」と言って真っすぐを投げさせるなど策を巡らせた。どうやって巨人に勝てるかを考えていたが、その上を巨人は行った。 今の時代は12分の1だから巨人は特別ではない? 冗談ではない。巨人は違うんだというプライドを、巨人ファンも持つべきである。そうして本気にならなければ巨人軍の復権はないと私は思っている。 今後の見どころは、竹丸をローテーションどおり金曜日に使い続けるかどうかである。 私はロッテのGM時代、監督の江尻亮が先発投手を相性のいいチームに優先的に投げさせようとしたため「それは違う。本人に責任を持たせることが勉強になるのだ」と教えた。それと同じで竹丸が開幕戦で勝ったからといって「くみしやすし」と思って阪神戦を中心に投げさせるのは邪道。それは本当のローテーションではない。 いずれにしても阿部慎之助監督が良いと思い一番手で使ったのだから、最後まで使い続けるべきだ。結果が出ないからと言って二軍に落とすのは簡単。それでは人間は育たない。 巨人の監督から東映を経て中日で指揮を執った水原茂さんは、新人の三塁手・島谷金二を使った。私は当時、広島のコーチで「こんなヘタクソをよく使うな」と思っていたが、使い続けた結果、一人前にさせた。あの人には根気があった。阿部監督もああしろ、こうしろと一緒に悩まなければ竹丸は大成しない。 ●廣岡達朗(ひろおか・たつろう) 1932年2月9日生まれ。広島県出身。呉三津田高、早大を経て54年に巨人入団。大型遊撃手として新人王に輝くなど活躍。66年に引退。広島、ヤクルトのコーチを経て76年シーズン途中にヤクルト監督に就任。78年、球団初のリーグ制覇、日本一に導く。82年の西武監督就任1年目から2年連続日本一。4年間で3度優勝という偉業を残し85年限りで退団。92年野球殿堂入り。 『週刊ベースボール』2026年4月20日号(4月8日発売)より 写真=BBM
週刊ベースボール