生き別れた父が、私の婚約相手の父親だった。
結婚式の前日に気づいた。
彼の実家に挨拶に行った。
玄関を開けた男性を見て、固まった。
写真で何百回も見た顔だった。
3歳の時に家を出た父だった。
向こうも固まった。
「どうしたの。」
彼が言った。
「お父さん、知り合いですか。」
2人とも黙ってた。
「どこかで会いましたか。」
父が口を開いた。
「娘です。」
彼が固まった。
「どういうことですか。」
「昔、家族がいました。」
「お父さん、結婚してたの。」
「していました。」
彼が私を見た。
「知ってたの。」
「知らなかった。」
玄関の前で、3人が黙ってた。
父が言った。
「上がりなさい。」
話を聞かなければいけなかった。
でも聞いたら、明日の結婚式がどうなるかわからなかった。
Apr 8, 2026 · 10:01 AM UTC
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リビングに通された。
お茶が出た。
誰も飲まなかった。
「なんで出て行ったの。」
「お母さんとうまくいかなくて。」
「それだけ?」
「それだけじゃなかった。」
少し間があった。
「仕事で失敗して、お前たちを養えなくなって。」
「だから出て行ったの。」
「顔を見ていられなかった。」
「25年間、どこにいたの。」
「ここにいた。」
彼が黙ってた。
「お父さん、俺に娘がいたこと、一度も言わなかった。」
「言えなかった。」
「なんでですか。」
「お前に話したら、会いに行けと言われると思って。」
「会いに行けばよかったじゃないですか。」
父が黙った。
「ずっと調べてた。」
「何をですか。」
「娘が元気かどうか。」
「調べてたの。」
「元気そうだった。」
「だから会いに行かなかったの。」
「元気そうだったから、俺がいなくてよかったと思って。」
彼が私を見た。
私が父を見た。
「明日、結婚式に来てください。」
父が固まった。
「なんで。」
「25年分、見ててください。」
父がうつむいた。
長い沈黙があった。
「行っていいのか。」
「来てください。」
翌日、父が来た。
式場の一番後ろに座った。
誰にも紹介しなかった。
でも式が終わった後、父に言った。
「見ててくれてありがとう。」
父が泣いた。
結婚相手の父親が、私の父親だったらしかった。
25年間の遠回りが、同じ家族になることで終わった。
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