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【ふぇみん無料公開】鈴木なりささん(FIFTYS PROJECT)に聞く「参院選 分断や対立を乗りこえるには」

もうすぐ参院選!
ふぇみんでは、7月5日号2面で参院選に向けて、トランス女性を20代・30代の女性やノンバイナリー、Xジェンダー等の候補者を支援する「FIFTYS PROJECT」運営メンバーの鈴木なりささんにインタビュー!
「日本人ファースト」「高齢者にかける税金が高すぎる」・・・分断や対立のなりささん流乗りこえ方とは?その記事を無料公開!

いつだっていつからだって手遅れなんてことはない!

選挙は「民主主義の筋トレ」 圧倒的リアルな場をつくる


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鈴木なりさ  1997年千葉県生まれ。大学在学中に東京・武蔵野市に地域密着喫茶店「喫茶おおねこ」を開店(現在閉店)。「FIFTYS PROJECT」運営メンバー。

 私が政治活動を始めるきっかけは、2023年の統一地方選挙です。
 当時私は、住んでいた東京都武蔵野市で地域密着喫茶店「喫茶おおねこ」の店主をしていました。ある日、「FIFTYS PROJECT」の支援を受けて武蔵野市議選に立候補した、さこうもみさんが店に来て「私選挙に出るんだけど、手伝ってくれない?」って。その時の私は、忙しい時は選挙に行けないこともある普通の市民。店にチラシを置いてほしいと言われたのですが、政治的すぎるのではないか、お客さんが減るのではないかと悩んでしまいました。
 そこで日本の政治の状況を調べると、女性の政治家が少ないし、若者になるともっと少ない。私たちの声を代弁する人がいない危機的な状況に何を迷っているんだろうとその時気づいたんです。もみさんのチラシにはジェンダー平等や気候危機の問題も入っていて、これって私たちの問題じゃん!って初めて政治を取り戻しました。
 そして店でチラシを配り始めたら、お客さんが増えたんです。「ジェンダー平等や気候危機についてずっと話したかった」って人たちが来てくれて。意思表明した場所に人は集まるんですね。

地味で面倒だけど

 私は中学生の頃からスマホを持ってSNSをやっている世代なので、SNS上の意見衝突も見ていたし、同じような意見の人たちの「フィルターバブル」の中にいるような感覚があったので、意見の違う人とは分かり合えないと思ってたんです。
 でも、もみさんの選挙ボランティアを通じて、それまで言葉だけだった「民主主義」がだんだん血肉になっていく感覚がありました。民主主義って地味で地道で、面倒くさくて、意見も合わないこともたくさんあるし、こんなに考えの違う人が同じ地域にいるんだってげんなりすることもある。
 けれどどんなに衝突する相手でも、実際に会って話せば同じ食べ物が好きとか、同じコーヒーを飲んだことがあるとか、どこかしら共通点やいいところがあって相手を憎んだりできない。それが私にとって明るい発見、希望でした。
 いろんな世代の、いろんな人の人生が交わりながら、みんなが暮らしの一部を使って選挙を作っていく。この壮大な共同作業がかなり楽しかった。選挙は「民主主義の筋トレ」だと思います。
 もみさんが当選した8カ月後、実はもみさんに誘われて市議補選に立候補しました。私にとっては役回りが少し違うだけでボランティアの延長線。もみさんが昼休みに昼寝をする等無理のない選挙戦をしていたことも大きかったです。

それ若者のせい?

 22年の参議院議員選挙では、全体の投票率が52・05%に対して、10代は35・42%、20代は33・99%と若い世代の投票率が低いです。でも22年の連合の調査によれば、若者の約9割は社会課題に関心があり、今年の「JAPAN CLIMIATE ALLIANCE」の調査だと3人に1人が「気候変動」に興味があり投票すると回答しています。
 つまり、若い世代が投票したいと思う候補者がいない、私たちに関わる政策を言ってくれる人がいないのです。ジェンダー平等、気候危機、選択的夫婦別姓、同性婚、性と生殖に関する健康と権利(SRHR)を政策に入れてくれる候補者がどれだけいるのでしょうか。
 参議院選挙投票日も、3連休の中日。投票率を上げる工夫もしないで、若者に投票してほしくないんでしょうか。
 私がよく行く銭湯に相談事をみんなが書ける掲示板があるんですけど、26歳の女性が「東京で暮らすのが本当に苦しくて貯金ができない。おススメの貯蓄、節約、投資方法を教えてほしい」と書いていました。本当は政治のせいなのに、若い世代は自分たちの声を聞かれていないという感覚があるから、自分だけが助かる投資方法や「手取りを増やす」、「自分たちの税金が高齢者に使われている」といった政府や政治家が作り出す「共通の敵=高齢者」に飛びついてしまう。
 国民民主党等は「世代間分断」が票になると思っているし、実際なりました。この流れは参院選にも引き継がれるでしょうし、「高齢者」がダメになったら、次の敵、次の分断を作り出して票を取りにくるでしょう。

見たいと思う世界の変化にあなた自身がなりなさい

 それに対抗するには、会って話すという圧倒的なリアルな場を自分たちで作っていくことが一番だと思います。
 実はFIFTYS PROJECTの週に1回のミーティングは対面でするのを大事にしています。志を同じくして活動していますが、各自のSNSには「見たい情報」だけが延々と流れてくるので、どんな人でも悪気なく誰かの足を踏んでしまうような視点を得てしまうことがあるんです。リアルはとても面倒くさいですが、1人では修正しきれない視点を「違うと思う」ってカットインして修正できる。オンラインは議事進行が混乱するのでそれはできないんですね。
 身近な人と選挙について話すのも「民主主義の筋トレ」です。意見が正反対の人とでも、話をすることで自分の信じる正義を深めるきっかけになります。自分の推し候補者以外の街頭演説を聞きに行くのも大事です。
 FIFTYS PROJECTは27年の統一地方選挙に向けたプロジェクトを進めていますが、参院選に向けては、各党のジェンダー政策比較を発表して、私たちがここに注目して監視していることを示したいと思います。
 「見たいと思う世界の変化にあなた自身がなりなさい」というガンジーの言葉を大事にしています。立候補でもボランティアでも隣人と腹を割って話すことでも、誰かがやってくれるのを待つのではなく、自分が手足を動かしていく。それが私の選挙の姿勢です。

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「喫茶おおねこ」のポップアップ出店にて、カウンターの内側から見た様子。奥にいる70代の人と、居合わせた20代の人との間で会話が弾んでいる(提供 鈴木なりさ)

(ふぇみん2025年7月5日号2面)
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