生き別れた父が、私の婚約相手の父親だった。
結婚式の前日に気づいた。
彼の実家に挨拶に行った。
玄関を開けた男性を見て、固まった。
写真で何百回も見た顔だった。
3歳の時に家を出た父だった。
向こうも固まった。
「どうしたの。」
彼が言った。
「お父さん、知り合いですか。」
2人とも黙ってた。
「どこかで会いましたか。」
父が口を開いた。
「娘です。」
彼が固まった。
「どういうことですか。」
「昔、家族がいました。」
「お父さん、結婚してたの。」
「していました。」
彼が私を見た。
「知ってたの。」
「知らなかった。」
玄関の前で、3人が黙ってた。
父が言った。
「上がりなさい。」
話を聞かなければいけなかった。
でも聞いたら、明日の結婚式がどうなるかわからなかった。