自分を犠牲にしてでも両親に尽くす
幼い少女を働きに出すのは親だ。彼らはなぜ自分の子どもたちを犠牲にするのだろうか。そんな疑問を持ちながらX村の集落を眺めると、竹造りの簡易的な家と、しっかりしたレンガ造りの家が並んでいるのに気がついた。
村民はこう語った。
「竹の家に住んでいる者はみな、レンガ造りの立派な家を建てることを夢見ている。農業だけで生計を立てるのは苦しい。そのために男の子は建設作業、女の子は売春をして親のために働くこともある」
こうした話は、ラオスだけにとどまらない。隣国タイでも売春している女性の多くは地方出身者で、彼女らは故郷の両親に立派な家を建てるために若くして身体を売っていた。東南アジアの、特に地方では家族の結びつきが非常に強いとされ、自分を犠牲にして両親のために尽くす子らの存在は決して珍しくない。
東南アジアの児童買春は、タイやカンボジアなどで深刻だった。近年は経済発展や取り締まりの強化を受けて改善し、その結果、法制度が未整備なラオスに小児性愛者が流れてきた経緯がある。一方、ラオスでも国際的な圧力の強まりを受けて、児童買春の取り締まりは強化されてきている。日本人2名の逮捕からもわかるように、その流れは地方の村にも押し寄せていた。
前述したようにX村には複数の日本人が訪れていたが、2名の逮捕者が出たいま、彼らはどこにいるのだろうか。
「逮捕は公になっていませんが、買春コミュニティの間では情報が出回っていました。すでにラオスの別の場所や、他の国に逃げている人もいるようです」(ラオスの買春事情に詳しい日本人)
そしてこの原稿を執筆時の3月半ば、X村で逮捕歴のある日本人が、別の場所でまた児童買春をし、現地警察に拘束されたとの情報が入ってきた。現在は取り調べが行われているという。取材に応じた在ラオス日本大使館の担当者は、邦人逮捕に関する一連の情報について、「事実関係を確認中」と回答した。
海外での児童買春は、国外犯として日本の法律でも処罰の対象となるが、摘発はまったく追いついていないのが現状だ。法の下で適切に裁かれない限り、彼らはいまもどこかで蛮行を繰り返しているのだろう。
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取材・文:泰梨沙子(はた・りさこ)/'15〜'21年、アジアの経済情報を配信する共同通信グループ系メディアで記者を務める。タイ駐在5年を経て、'21年10月に独立。主に東南アジアの人道問題について執筆している
「週刊現代」2026年4月13日号より