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ハリウッド式脚本術「三幕構成」解説①

April 22nd, 2020 17:18・All users
今回は「三幕構成」というストーリー構成の技術について紹介します。昔からちょこちょこ勉強していたんですが、最近ようやく使えるレベルまで飲み込めてきたのと、同時に新しく疑問ができてしまい、備忘録としてここらでいったんまとめとこうかなという感じです。

「最大限わかりやすく、なおかつ自分の言葉にする」をコンセプトにやっていきたいのでだいぶ独自の解釈が入ってると思います。ご意見ご指摘大歓迎です。


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★目次
1. 概要
2. 三幕構成全体図
3. 各項目の解説
4.「バックトゥザフューチャー 」を三幕構成で分析してみる(次回)

1. 概要

「三幕構成」というのは、シド・フィールドというアメリカの脚本家によって理論化されたストーリー構成の基本です。日本で言う所の「起承転結」みたいなもんです。ただ起承転結って漠然としてて実際ストーリーを作る時には案外使いづらいんですよね。個人的には特に「承」がわからんです。

起承転結に比べて、三幕構成は各項目の目的がハッキリしているので実際にストーリーを作る時にもっと実用的です。神話の分析が根底にあったり映画業界全体でどんどん理論が更新されているみたいなので、より科学的と言えるんじゃ無いでしょうか。

2. 三幕構成全体図

それぞれの項目の名前は人によってかなり呼び方が違うので、ここではウィキペディアで採用されている名称を基準にします。黒字がウィキペディアやシド・フィールドの教本で示されている項目、赤字が僕が抜粋・補足した物になります↓
とりあえず今は「ミッドポイント」と幕の間にある2つの「ターニングポイント」を覚えておいてください。この3つがストーリーの中で最も重要なシーンと言われています。

第2幕の面積が広いのは単純に長さが2倍だからです。2時間映画なら第1幕が30分、第2幕が60分、第3幕が30分、といった感じです。第2幕の真ん中には「ミッドポイント」と呼ばれる最大の事件があり、全体は均等に四分割されてると考えることができます。だいたいこのへんが「人が気持ちよく感じるバランス」らしいです。(近年は第3幕を短めにするのが流行りという話もある)

物語を「主人公が旅に出かけ、帰還する」までのもの、と捉えるのが三幕構成の根っこの考え方です。「日常」で主人公や世界観の説明を行い、そこに何か事件が起こり「非日常」の世界が始まり、何かオチがついて「新しい日常」が始まる、という流れです。



ここまで聞くと「これじゃ型通りの話しかできないんじゃ無いの?」と思う人もいると思いますが、少し踏み込んで理解していくとどのジャンルでも通用する話だと分かります。

ピンとこない方は「主人公が旅に出かけ、帰還する」という言葉を「主人公に何かが起こり、その何かが終わる(オチがつく)」と拡大解釈するといいです。こうするとほとんどの物語が同じ構造になっているのが分かると思います。

「日常」と「非日常」をどう捉えるかがポイントです。例えば女子高生がファミレスでダベるだけの漫画があったとして、これには一見「非日常」が無いように見えますが、小さくて見えづらいだけで実はちゃんと存在しています。「日常」が「友達が集まってダベってる所」だとして、「非日常」は「面白いゲーム見つけたからみんなでやろうぜ!と誰かが言い出す」とか「そういえばさ〜・・・と誰かが今日あったことをグチり出す」とかです。「日常」と「非日常」が無いとそもそも「物語」にならないことが伝わるでしょうか。



3. 各項目の解説
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注.ここでいっぱいいっぱいという方は一旦ここでやめて次回のバックトゥザフューチャー の回を読んじゃった方が良いと思います。この後の解説も実例のイメージがないと頭に入りづらい気がします。大丈夫な人はここからは自分なりにあのシーンのことかな?と思い浮かべながら読むのをオススメします。
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細かく見ていきます。ハリウッド映画(特にディズニーピクサー映画など)ではそれぞれの項目に”黄金比”となる時間配分があるらしく、各項目の( )内にその目安を入れておきます。2時間映画(120分)の場合です。


★第1幕
第1幕ではメインキャラクターと世界観の「設定」をします。これがどんな物語で、どこへ向かうのか、ということを観客に伝える役割があります。

○オープニング(開始0分(当たり前ですが)、セットアップとまとめられることも)
 その名の通り物語の始まりのシーン。物語の第一印象を決め、客に「どんな作品なのか」を伝える。

○セットアップ(第1幕前半。)
 主人公、状況の説明。誰が(Who)どんな状況で(Where)何をする(What)物語なのか、事前知識を伝える。

○インサイティング・インシデント(第1幕の中間。開始10〜15分。全体の1/8。)
 ツカミとなるイベント。ストーリーが動き始めるきっかけ。「非日常」の世界が始まるための前フリ。というとちょっと難しく聞こえますが、要するに「日常」の説明が終わったので本題スタートします、という始まりとなるイベントのことです。

主人公のセントラル・クエスチョン(※)を設定する。

【補足】セントラル・クエスチョン:主人公が解決しなければいけない問題。(主人公は)この問題を解決できるのか?というクエスチョン。これが物語を進める原動力になります。超重要です。主人公の目的や欲求と大きく関わっており、この後訪れる状況に対して主人公がとるリアクションを決める指針にもなります。セントラルクエスチョンの設定はこのタイミングに限る必要はなく第一幕終了時までに示されればどこに入れても良い、と言うのが僕の個人的な意見です【補足終わり】


○ファースト・ターニングポイント(第1幕ラスト。開始30分。全体の1/4。)
 「非日常」の始まり。主人公は決断をし非日常の世界へと足を踏み入れる。新しい世界に対する主人公の目的を再定義する。(←新たな状況に置かれることでセントラル・クエスチョンがより具体的な目的に変化します)
 

【補足】最初ぼくはインサイティング・インシデントとファースト・ターニングポイントを分ける必要が分かりませんでした。「非日常」が始まるならすぐに第2幕が始まってもいいんじゃ無いの?という疑問です。ですが、この2つの間に主人公の迷ったり決意したりするシーンが描かれないと「これから新しい世界へ飛び込むんだぞ」という心構えが出来ないことに気づきました。新しい世界への抵抗が全く無いと、その時点でその世界はただの「日常」になってしまいます。(主人公にとって、という意味です)【補足終わり】


★第2幕
第2幕は「非日常」の世界です。「対立」と名付けられているのは「物語とは葛藤を描く物」という考えに基づいています。主人公は新しい世界で出会う障害に立ち向かい克服していきます。多くの場合第2幕の前半で何らかのミッションや試練が描かれます。バトル物ならアクション、ラブストーリーなら恋の駆け引き、ミステリーなら事件の証拠集め、などです。ミッドポイントで物語は折り返し、第2幕後半から主人公は最大の危機に陥ります。

○ピンチ1(第2幕前半の中間。開始45分ごろ。)
 第2幕前半の中心となるできごと。「危機」という意味ではなく「挟む」という意味のピンチです。第2幕で一番重要なのはミッドポイントなのですが、そのミッドポイントを挟むように配置されるのでピンチと呼ばれています。ピンチ2でまとめて説明します。

○ミッドポイント(第2幕中間。開始60分ごろ。全体の1/2。)
 第2幕の中間で起こる非常に重要なイベント。ここで作中で一番大きい事件が起き、物語(主人公)の目的がガラリと変わります。主人公はここまで順調に困難を克服しますが、ここから一気に最大の危機に陥ります。
 物語の目的が変わるというのは、三幕構成の元となる「主人公が旅に出かけ、帰還する」という理屈を思い出せば分かると思います。第2幕の前半は「行き」の物語で、後半が「帰り」の物語になるということです。
 これは最初イメージしづらい人も多いと思います。とりあえずここでは、「第2幕前半はミッションを順調にこなしていくが、ミッドポイントを境に第2幕後半では最大の危機に落ちいる」という山型のグラフのイメージを覚えておいてください。「君の名は」の新海誠監督も使ってる感情グラフとかキャラクターアークって呼ばれてるやつです。

○ピンチ2(第2幕後半の中間。開始75分ごろ。)
 ピンチ1とピンチ2はミッドポイントで分けられた第2幕前半と後半の中心となるイベントです。
 これも少し難しい概念です。僕の解釈で話しますが、第二幕前半と後半をそれぞれ小さなストーリーと捉えているんだと思います。その小さなストーリーの中心となるイベント=ピンチです。「小さなストーリーのミッドポイント」と考えるといいかもしれません。

○セカンド・ターニングポイント(第2幕ラスト。開始90分ごろ。全体の3/4。)
 主人公が大きな決断をし、第3幕へと向かう分かれ目となるシーンです。多くの場合ミッドポイント以後に主人公に最大の危機が訪れますが、その危機を主人公が克服し、最後の戦いのための新しい舞台へ向かうシーンです。
 ここがまたややこしいんですが、セカンド・ターニングポイントはクライマックスとは違います。クライマックスは第3幕に訪れます。物語上で重要なのは「主人公が変化する瞬間」であり、「クライマックス」つまり「最終決戦に勝利する瞬間」はその変化を証明する儀式に過ぎないという考え方です。第3幕でも説明します。


★第3幕

 第3幕はクライマックスです。最終決戦に勝利し(または敗北し)、問題を「解決」し、主人公に「新たな日常」が始まります。

 シド・フィールドは第3幕に関してあまり決まった項目を設けてはいないんですが、第3幕まで来るとこれまでと比べてやるべきことがある程度決まってしまうからだと思います。(個人的にはもっと細かく指定して欲しかったという気持ちもありますが・・・w)

 名前のついた項目としては設定されていないものの第3幕でやることははっきりしていて、主人公が最後の戦いに挑み、これまで得てきたものの証明をする、ということです。多くの物語でここがクライマックスであり一番盛り上がるシーンです。
 
【補足】僕は最初、第3幕を「解決」「非日常」とするなら第3幕は「クライマックス」の後じゃないの?、と思いました。解決した後に「新たな日常」が始まるという風にした方が自然な気がします。しかし、三幕構成は「見た目に起こっているイベント」ではなく、「主人公の変化」に注目しています。主人公が最終決戦に臨む決断をした時点で「主人公の変化」は終わっており、主人公にとっての「新たな日常」はその瞬間(セカンド・ターニングポイント)から始まっている、という考えです。やってみると分かりますが最終決戦が始まってからもう一回主人公の変化を描いてしまうと何を言いたいのかよくわからないストーリーになってしまいます。【補足終わり】

○エンディング(第3幕ラスト。開始115分ごろ。)
 映画の最後を飾るシーンです。オープニングと対比させる、これまでの積み重ねの結果を見せる、今後の未来を予想させる、など色々ありますが、正直けっこう自由なんじゃないかな?と思います。というか、ここまでちゃんと積み上げていればたぶんもう作者の中でエンディングは自然と決まってくるような気がします。それか最初からエンディングを決めてそれに向かって積み上げているパターンでしょうか。もちろん最後の最後でエンディングを書き換えるということもあると思いますが・・・・最後で感覚的な話になってしまいすいません。もうちょっとうまく言語化できるようになりたいです。

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という感じでこれで三幕構成の説明終わりです。長々と読んで頂いてありがとうございました。

と言ってもこれだけだと感覚的にわからないし覚えきれないと思うので、言った通り次回は僕の練習も兼ねてバックトゥザフューチャー を題材にしてどう三幕構成が活かされてるかを分析していこうと思います。


つづく


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参考文献・サイト
この記事はだいたい以下の本とサイトで言ってることを自分用に短くまとめただけなんで、もっと詳しく知りたいという方は是非見てみてください。特に「イルカとウマの文学村」はシド・フィールドの本を読んでもさっぱりだった部分がすごく分かりやすく原理から解説してありとても助かりました。


映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術
シド・フィールド (著), 安藤 紘平 (翻訳), 加藤 正人 (翻訳)

イルカとウマの文学村

ウィキペディア・三幕構成
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