米国内に広がるトランプの「強制解任論」、イランへの「文明抹殺」の脅しで
ドナルド・トランプ大統領は、イランに対して、米国時間4月7日夜(日本時間8日午前9時)の期限までに米国の要求に応じなければ「文明全体」を抹殺すると脅迫した。このトランプの発言を受け、民主党議員やかつての保守派同盟者たちは、J・D・バンス副大統領と閣僚に対し、合衆国憲法修正第25条を発動して大統領を解任するよう求める声を強めている。 トランプは7日午前、イランが東部時間午後8時までにホルムズ海峡を再開しなければ、「今夜、文明全体が死に絶え、二度と元に戻ることはないだろう」と述べた。 これを受け、民主・共和両党の重要人物たちは、トランプがイラン国民に対してジェノサイド(集団殺害)を画策していると批判した。また、バンスと閣僚に対しては、憲法修正第25条によるトランプの強制解任を求めている。 アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員(民主党、ニューヨーク州)、ロー・カンナ下院議員(民主党、カリフォルニア州)、メラニー・スタンスベリー下院議員(民主党、ニューメキシコ州)ら、少なくとも30人以上の民主党議員が、憲法修正第25条の発動が必要だと主張している。 かつてのトランプ支持者であるマージョリー・テイラー・グリーン元下院議員、極右コメンテーターのアレックス・ジョーンズ、保守派作家のキャンディス・オーウェンズらも、同様の要求を行っている。 イリノイ州知事のJ・B・プリツカー(民主党)は7日、トランプを「一国を全滅させると脅す精神錯乱した狂人」と呼び、憲法修正第25条の発動は「とうにすべき時は来ている」と述べた。 また、グリーンはXへの投稿で、「憲法修正第25条を!!! 米国には爆弾1つ落ちていない。文明全体を抹殺することなどできない。これは悪であり狂気だ」と投稿した。
合衆国憲法修正第25条とは?
■合衆国憲法修正第25条とは? これまで1度も発動されたことがない憲法修正第25条第4節は、副大統領と閣僚の過半数、あるいは議会が設置した「その他の機関」の過半数が、大統領が職務遂行不能であると宣言することを認めている。その場合、大統領が職務復帰能力を証明するか、議会の3分の2の賛成で解任が維持されるまで、副大統領が大統領代理に昇格しその任に当たる。第4節は「強制解任メカニズム」とも呼ばれる。 ■「現時点では現実的ではない」との反論 シェルドン・ホワイトハウス上院議員(民主党、ロードアイランド州)は7日、トランプは「深刻な精神的退化に直面している」としつつも、「憲法修正第25条の発動は現時点では現実的ではない」と述べた。閣僚が強制解任に投票するとは考えにくいとの見解だ。ロバート・バーンズ弁護士は今週、先述したジョーンズのポッドキャストに出演し、「弾劾よりも困難だ」と懐疑的な見方を示した。また、ダイアナ・デゲット下院議員(民主党、コロラド州)は、トランプの閣僚は解任に動くには「あまりにも臆病だ」と述べている。 ■トランプの脅しが「ハッタリ」であることを「望み、祈っている」 ロン・ジョンソン上院議員(共和党、ウィスコンシン州)は7日、トランプの脅しが「ハッタリ」であることを「望み、祈っている」と述べ、「民間インフラの爆破は見たくない」「我々はイラン国民と戦争をしているのではない」と語った。ドン・ベーコン下院議員(共和党、ネブラスカ州)は、5日にトランプが投稿した「下品で冒涜的な」言葉遣いは受け入れられないとしつつも、橋や発電所への攻撃が戦争犯罪に当たるかについては「複雑な意見」を持っていると述べた。 ■トランプのイラン脅迫を支持している議員 一方、リック・スコット上院議員(共和党、フロリダ州)は、イランに「責任を取らせる」としてトランプを称賛した。クレイ・ヒギンズ下院議員(共和党、ルイジアナ州)はトランプに対し、「天使たちが感嘆して頷くほど」イランを「激しく叩け」と促した。ランディ・ファイン下院議員(共和党、フロリダ州)は6日に「発電所と橋の前夜祭おめでとう!」と投稿した。リンジー・グラハム上院議員(共和党、サウスカロライナ州)は、「(イラン)政権が2度と戦争をできないように軍事能力を破壊する大規模な攻撃」を支持すると述べた。また、上院共和党のXアカウントは、「イランはトランプ大統領の言葉を信じるのが賢明だ。楽な道か、険しい道か選ぶことができる」とトランプへの支持を表明した。 ■米軍に「命令拒否」を求める声も 米軍はトランプの命令を拒否すべきだとの声も上がっている。退役中将のマーク・ハートリングはMS NOWに対し、軍司令官たちは不法な命令に従わない準備をしていると述べた。サラ・ジェイコブス下院議員(民主党、カリフォルニア州)は統合参謀本部に対し、「連邦法および国際法に違反するいかなる軍事命令も無視する」よう求めた。エド・マーキー上院議員(民主党、マサチューセッツ州)は「軍の諸君、違法な命令に従う必要はないことを忘れないでほしい」と投稿した。
Mary Whitfill Roeloffs