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デジタル庁GCASガイド

1. はじめに

2026/02/12 公開

1.1 本書の背景、目的

ガバメントクラウド移行後、クラウド利用料・運用保守作業費を含む運用経費の増加が報告されている。その主な要因は、実際のコスト上昇によるものというよりも、従来のオンプレミス型の運用方式をクラウド環境に持ち込んでいることにある。クラウドの特性を活かした運用への転換が不十分なまま移行した場合、コスト増加を招く可能性がある。

クラウドはオンプレミスと異なり、契約時ではなく本番稼働後の実績に基づいて課金される従量課金制を採用している。そのため、契約時の見積額がそのまま支払額になるわけではなく、運用状況によってコストは変動する。裏を返せば、本番稼働後の運用改善によってコストを下げられる余地が大きく、クラウド利用料だけでなく運用保守作業費についても、運用作業の見直しやクラウド標準機能の活用を通じた最適化が期待できる。

本文書は、こうした背景を踏まえ、クラウド利用料・運用保守作業費を含む移行後のランニングコストを継続的に最適化することを目的とする。具体的には、コストの可視化、最適化計画の検討、最適化の実践を通じて、予算執行額や次年度予算要求額の最適化を目指すと共に、ガバメントクラウドの利用者が、継続的運用経費最適化(FinOps)に取り組む際のアプローチを提供する。

[FinOpsとは]

一般的に、「Finance(財務)」と「DevOps(開発・運用)」を組み合わせた概念であり、システム運用開始後に、IT部門・実務部門・財務部門が連携して運用経費の継続的な管理と最適化を目指す取り組みを指す。

1.2 本書の位置づけ

本書は、国の行政機関及び地方公共団体の情報システムをガバメントクラウドへ移行した本番運用において、継続的運用経費最適化(FinOps)の実現を図るための役割を担うものである。
システムをガバメントクラウドに移行する際の見積り等に関するガイドは「コスト最適化アプローチガイド」を参照すること。

1.3 想定する読者

  • 国の行政機関におけるPMO、PJMO
  • 国の行政機関以外の行政機関におけるPMO、PJMO
  • 地方公共団体の情報政策担当課長、情報システム担当職員、標準準拠システムの担当課の職員、ガバメントクラウドの運用に関わるすべての職員
  • ガバメントクラウド上の情報システムを管理(支援・補助)する立場にある事業者

1.4 想定するシステム構成

本文書では、ガバメントクラウドで想定する移行パターンのうちR2(Rebuild)未満の段階にある利用システムを対象としている。
モダンアプリケーションに相当するR2(Rebuild)への移行を実現できている利用システムでは、FinOpsの取組と合わせて「運用モダン化実践ガイド」に詳述する運用保守作業のモダン化も検討すること。 

1.5 想定する経費区分

本文書では、費用をソフトウェア、インフラ、回線のそれぞれについて「モノ」「コト」に係るコストとして以下の通り分類する。

区分経費分類名説明
ソフトウェア関連費用ソフトウェア利用料パッケージ利用料、ソフトウェア利用料・借料、ミドルウェアライセンス費用 等
ソフトウェア運用管理補助委託料 ソフトウェアに係る運用保守・管理等に要する費用(アプリケーション運用作業、SEサポート保守、ミドルウェア保守、問合せ対応、ソフトウェア保守、セキュリティアップデート、障害一時対応(応急対応)、障害二次対応によるソフトウェア改修、運用レポート作成 等)
インフラ関連費用ハードウェア利用料 ハードウェア(サーバー、ネットワーク機器等)賃借料・保守料、クラウド利用料(ガバメントクラウド利用料は除く)、データセンター利用料 等
ハードウェア運用管理補助委託料 ハードウェアに係る運用保守・管理等に要する費用(データセンター現地対応担当者の人件費(立ち会い、機器交換など)、運用計画策定、リソース容量管理、障害対応、問合せ対応、バックアップ作業 等)
ガバメントクラウド利用料ガバメントクラウド上の各CSPが提供するサービスの利用料
ガバメントクラウド運用管理補助委託料 ガバメントクラウドに係る運用保守・管理等に要する費用 (運用計画策定、リソース容量管理、障害対応、問合せ対応 等)
回線関連費用業務用回線利用料 ユーザーがガバメントクラウド上にある業務システムを利用する際に利用する回線の費用
運用管理用回線利用料 運用管理補助者がガバメントクラウド上のシステムを運用保守・管理する際に利用する回線の費用
回線運用管理補助委託料 ガバメントクラウドへの接続回線の管理業務を委託する際の費用(回線の運用保守・管理等の人件費)