「にじさんじ」のANYCOLOR、売上の7割以上を物販が占め配信収入は1割未満に、今後の経営戦略は?
売れ筋は「ボイス」から「ぬいぐるみ」へ
ANYCOLORの2025年11月~2026年1月における物販の売上は107億円で、全体のおよそ7割を占めています。VTuberの主戦場とも言える配信収入は14億円ほど。1割にも達していません。売上構成比率上も小売店に近いものでした。 「にじさんじ」はもともと、デジタルコンテンツの販売に強みを持っていました。上場したばかりの2022年6月に公開した「事業計画及び成長可能性に関する事項」(https://ssl4.eir-parts.net/doc/5032/tdnet/2140336/00.pdf)の「コマース(コンテンツ)領域」のページでは、「ボイス」と呼ばれる声を記録したデジタルコンテンツの紹介に多くを割いています。 デジタルコンテンツは在庫リスクが低く、原価も安いために運営会社にとっては力を入れて販売したい商品。しかし、ファン層に厚みがついてくると、特別感のあるグッズを販売してVTuberを取り巻く人々の熱量を高めなければなりません。 田角陸CEOは2026年3月の説明会にてファン数拡大について問われ、「施策の中ではぬいぐるみ商材や新しい展開などの反響が良く」と回答しました。ANYCOLORは2025年4月に初のリアル常設店舗「にじさんじ ぬいストア」を横浜ビブレにオープンするなど、すでにぬいぐるみの販売に力を入れていました。今年2月には8周年を記念した「にじまるっと」というぬいぐるみシリーズの販売も開始しています。 ANYCOLORの主力商品は、デジタルコンテンツからぬいぐるみへと着実に変化しているのです。それは一方で在庫リスクを抱えることを意味しており、事業の実態もより一般的な小売業に近づいていると言えるでしょう。
UUUMと同じ道を辿るのか?
小売業としての性格が強まった場合、在庫管理が欠かせなくなります。品切れと過剰在庫を防ぐため、高い精度で需要予測をしなければなりません。 かつてYouTuberマネジメント事務所のUUUMが7億円あまりの棚卸損を計上し、大赤字になりました。UUUMはショート動画の台頭によって収益性が落ちたため、急いでP2Cへと舵を切りました。P2Cとはインフルエンサーがその発信力を武器にオリジナルブランドの商品などを直接販売する手法です。UUUMはこれに大失敗しました。 ANYCOLORは物販のノウハウを長い時間かけて構築してきたため、UUUMと同じ轍を踏むとは思えません。しかし、在庫リスクがこれまで以上に高まったのは事実。 小売業を突き詰めると、ニトリやユニクロなどの企画から製造、物流、販売までを一貫して扱うモデルへと行きつきます。 「にじさんじ」の人気タレントが増え、大量の商品を扱うようになれば、ANYCOLORが自社工場を持つようになる日が来るかもしれません。 文/不破聡
@DIME編集部