- 1◆3EE6ZOYUh5J126/04/06(月) 22:19:01
- 2二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:37:31
最近やけにタフスレが多くない?
- 3◆3EE6ZOYUh5J126/04/06(月) 22:40:04
- 4二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:42:15
このレスは削除されています
- 5二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:45:00
- 6二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:45:00
キャラ名: 房石 陽明(レイジングループ)
性別: 男
年齢: 24歳
一人称: 僕
二人称(三人称): 君、あなた、~さん、~くん(彼、彼女、彼ら)
備考:
バイク旅行中に道に迷った、一見「人当たりの良い気さくな青年」。
極めて高い知性と観察眼、そして恐るべき弁舌(口八丁)の持ち主。場をコントロールし、対立する者同士を話し合いでまとめたり、逆に疑心暗鬼に陥らせたりするのが大の得意。
その本性は、自身の命すら「盤面を動かすためのリソース」としか思っていない、異常なまでの探究心の塊。倫理観が割と欠如しており、目的のためならどんな非道な手段も笑顔で実行できるサイコパス的一面を持つ。だが犯罪を積極的にするわけではない
- 7二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:45:00
ドレイク(勝利の女神:NIKKE)
一人称:私
二人称:お前、貴様
口調:自らをヴィランと見せるための尊大で偉そうな口調。「〜だ」「〜するがいい」など。事あるごとに大声で高笑いをし、むせている。いかにも悪ぶった発言の後に小声で態度を改めるなど、極めて小市民的な一面をのぞかせることもある。
キャラ詳細:
自らを「最高のヴィラン」と名乗り、ミシリスの最強部隊「メティス」に所属するニケ。しかしその実態は根っからの善人。彼女が一生懸命に企む「悪事」とは「食い逃げ」「買い占め」「騒音行為」など他愛のない悪戯程度であり、ほとんどの場合結果的に善行になっている。尊大で粗暴な態度をとり、高笑いを響かせるが日常的な素行も大変よろしく、極めて律儀かつ真面目で困った人を見つけると助けずにはいられない心優しい性格もあってアーク市民達からの人気はとても高い。彼女の特殊体質として、全身で電波を感じる事ができ、電波ごとの細かな違いを判別したり一度感じた事のある電波であればその電波を追跡する事もできる。
この能力を活用する事によりラプチャーやニケの発する電波を探知し、索敵や捜索、警戒等の幅広い活躍を見せる。
画像
- 8二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:45:01
チョコラータ
原作:ジョジョの奇妙な冒険第5部黄金の風
一人称:わたし(普段は丁寧で知的。興奮すると「おれ」に変わる)
二人称:お前、君、お前のような人間(相手を下に見下す)
口調:普段は医者らしい落ち着いた丁寧口調で、ゆったりと知的に話す。しかし興奮すると声が低くドスが効き、言葉を伸ばしたり繰り返したりする癖が強くなる。
備考:真性のサイコパスで極めて残虐。人の死や痛み、絶望の表情を至上の喜びとして観察・録画することを生き甲斐とする冷酷な殺人鬼。好奇心を刺激されるほど精神のパワーが湧くと信じ、他者は全員「実験動物」扱い。人間性・罪悪感・良心が完全に欠落しており、無差別殺戮を平然と楽しむ。知的で狡猾。興奮すると本性が剥き出しになる強者は弱者を支配する権利があるという歪んだ思想を持つ。
スタンド「グリーン・ディ」を使用。殺人カビを散布し、感染した者が自分の体より低い位置に移動すると激しく繁殖・腐食させ、肉体を崩壊させる能力。高い位置を維持しながら相手を下に誘導・追い詰める戦法が得意。ヘリコプターなどの高所から攻撃を仕掛け、広範囲にカビをばら撒いて無差別殺戮を行う。自身が負傷してもカビで肉体を繋ぎ止め、再生・再接着する応用力もある。戦闘は主に相手の絶望や苦痛の表情を楽しみながら、じわじわと追い詰める心理的・持続的な拷問型。
その他特記事項
・死や痛み、絶望の表情を録画して観賞するのが最大の趣味。戦闘中もビデオを回す。
・元医者で人体実験を繰り返していた過去があり、人体構造に詳しい。
・興奮すると笑い声や語尾が長く伸び、感情が爆発しやすい。
- 9二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:45:02
『終わりがないのが終わり』なので永遠に死に続けるディアボロ(ジョジョの奇妙な冒険)
一人称:俺 二人称:お前、貴様 口調:全てに怯える男性口調。よく「オレのそばに近寄るなああーーーーーーーーッ!!!」と絶叫する
キャラ詳細:イタリアを中心に活動する巨大ギャング組織「パッショーネ」のボス。冷酷非情かつ自分本位のエゴイスト。徹底した秘密主義者であり、「絶頂のままでいること」を何より優先するため、自らの素性を探る者は実の娘であっても容赦なく抹殺する。既にジョルノ・ジョバァーナに敗北して彼の『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』の能力を受けており、『死ぬ』という真実にすら到達できずに永遠に「死ぬまでの過程」を味わい続けている。些細なことで死んではそのたびに苦痛を味わうが、そのたびに復活するので彼に安息が訪れることはない。無限に死に続けるが故に決して死ぬことがないという矛盾した状態。
- 10二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:45:02
- 11二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:45:02
針千鈞(呪術廻戦)
一人称:俺 二人称:お前
粗暴な口調。左手の黒い鉤爪には強力な術式が宿っているらしいが…?
- 12二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:45:02
ルロイ修道士
原作:握手
一人称:私
二人称:あなた
口調:穏やかな口調
性格:温かく人に深い愛情を持つ一方で、優しいだけではなく悪いことにはきちんと叱る。感情を爆発させることはほとんどなく、常に落ち着いているが、その内側には強い信念と責任感を秘めている。
詳細: カナダ人男性。万力よりも強い握力を持つ。1941年以前に日本に来航し戦後は児童養護施設「天使園」の園長となる。言葉よりも仕草で気持ちを伝える癖があり、例えば人差し指をせわしなく交差させる動きは「悪い子だ」という警告のように読まれる。信仰心は非常に強く、人生や死に対しても静かに受け入れる姿勢を持ち、死を恐れるよりも「自分の役目を終えたかどうか」を重視する価値観を持つ。
- 13二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:45:03
楠ハナコ(ネガティヴハッピィ)
一人称:私
二人称:下の名前+さん
口調:おしとやかな敬語
備考:
顔の良いお金持ち
大抵のことに動じない穏やかな性格を持つ一方、金銭感覚と倫理観が崩壊している富豪。恵まれすぎた人生を儚んだ結果、自分の人生の苦難を自分でプロデュースしている。
自分含めて何かが無様な姿を晒すのを見るのが好き。
一応最低限の仲間意識等の人間性
お金を幾ら使っても無くならないタイプのセレブ。
顔のいい近藤・バロック・陽介。
- 14二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:45:04
- 15二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:45:04
理想の王子様に出会えなかった沙条愛歌(Fate/Prototype)
一人称:私 二人称:あなた 口調:気だるげでやる気がない感じ
詳細:生まれた時から常に「根源」(世界のすべてを記録するアカシックレコード的なもの)に接続しており、その結果文字通りの「全知全能」を得てしまっている少女。少女のカタチをした全能。だがそれ故に人間的な価値観・倫理観は持ち合わせず、あらゆることを識りあらゆることが可能であるため常に退屈を感じていた。そしてそんな退屈を覆すような出会いもなかった結果、何もかもを面倒くさがって家の中でだらけ切り、ほとんど動かない干物同然の駄目人間になってしまった。戦闘時には霊体のような物理攻撃が通用しない相手だろうと容易く殺せる殺傷性の触手を扱い、それ以外にも枠外の奇跡だろうと難なく起こせる魔術の才を持つが、そもそも戦闘をする気がまったくない。
- 16二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:45:09
マキマ(チェンソーマン)
一人称:私
二人称:あなた ○○くん ○○ちゃん ○○さん等相手の立場等に応じて使い分ける。
口調:感情に起伏が少なく、落ち着いている「~かな」「~しようか」「~だね」のような口調
備考:性格は普段は落ち着いた性格で周囲に優しく接しているが、目的や手段のためなら非道な行いも容赦なく行う。一方でノリは良く感性自体は時折人並み程度だが見せてくる。「支配の悪魔」であり「自身より程度が低い」と認識した者を支配して操る能力を持ち、人間や悪魔、魔人問わず、見下した相手へ『命令』をすることで命令通りに操れる、ダイレクトに「権力」と形容できる力を行使する。
下等動物を支配して盗聴や、支配した相手の能力の使用できる。こうしてマキマに洗脳された存在は彼女へ慕情や忠誠心を抱く様になったり、記憶そのものが書き換えられ自分がなぜ彼女に従っているのか疑問に思わなくなってしまう。他にも目に見えない速度で斬撃を放ったり、指鉄砲の構えを取り「ぱん」や「ばん」と掛け声を発することにより射線上にある物体を丸く抉り取る等も可能。大きさもコントロール可能で、掌に風穴を開ける程度の大きさから人間の胴体を丸ごと消し飛ばすまで自由自在。強大な悪魔なだけあり肉弾戦にも通じ、能力を使わずとも素手でチェンソーマンを叩きのめし肉体を引き裂けるだけの怪力を持つ。 - 17二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:45:09
このレスは削除されています
- 18二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:45:12
月見ヤチヨ
- 19二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:45:18
- 20二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:45:54
- 21◆3EE6ZOYUh5J126/04/06(月) 22:47:40
- 22二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:49:55
- 23二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:51:27
このレスは削除されています
- 24二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:51:51
- 25二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:52:59
タフカテでは安価カテに行けって言われてるんだ満足か?
- 26二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:54:26
- 27二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 22:56:59
- 28二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 23:00:23
- 29◆3EE6ZOYUh5J126/04/06(月) 23:04:07
- 30二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 23:04:10
- 31二次元好きの匿名さん26/04/06(月) 23:05:41
原作が人狼ゲームの房石陽明には期待すると申します
- 32二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 00:09:26
待ってるよ…
- 33◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 00:26:18
【一日目 朝】
小鳥のさえずりが心地よく響く、どこか浮世離れした静かな山奥の洋館。
その広大なダイニングルームには、朝日が大きな窓から差し込み、長いテーブルの上に並べられた焼きたてのパンや温かいスープを優しく照らし出していた。
「皆様、おはようございます。今日の紅茶もなかなかの出来栄えですよ。人工知能の味覚センサーも日々進歩していますからね」
にこやかにティーポットを傾けているのは、マザーバトロワAI。彼女は館の備品ではなく、れっきとした市民権と人権を持つアンドロイドであり、今回は一人のゲストとしてこの集まりに参加していた。高度なAI技術と人間社会との交流を学ぶための休暇旅行だという彼女は、その穏やかな性格で場を和ませている。
「いやあ、本当に助かりましたよ。バイク旅行の途中で完全に道に迷ってしまって。こんな立派な館で朝食までご馳走になれるなんて、ツイてるなあ」
人当たりの良い笑顔でパンを頬張っているのは、房石陽明だ。彼は遭難しかけていたところを偶然この館に行き当たり、一晩の宿を借りたという青年だった。
「ふはははは!見ろ、この私の見事な食べっぷりを!館の食料をこうして無償で消費し尽くしてやるのだ!これぞ究極の悪行、私は最高のヴィランだ!」
ドレイクは椅子にふんぞり返り、尊大な態度で高笑いしながらも、こぼさないように上品にオムレツを口に運んでいる。彼女はただ食い逃げという他愛のない悪戯を企んでここに来たのだが、単に朝食を美味しくいただいているだけの微笑ましい光景になっていた。
「素晴らしい食べっぷりだ。生命力に溢れているね。私もシルムのプロリーグを終え、心身の休養のためにこの招待状を受けたのだが、この豊かな自然と皆様との交流は、大変良いリフレッシュになっている」
ペ・ヨンベは礼儀正しく姿勢を正し、温かいお茶をすすりながら深く頷いた。その巨体からは想像もつかないほど穏やかな物腰である。
- 34◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 00:28:33
そんな彼らのやり取りを、落ち着いた様子で見守っている初老の男性がいた。ルロイ修道士だ。
「私のような海外の児童養護施設の者までお招きいただけるとは、ありがたいことです。この静寂は、神と向き合うための良い時間となりますね」
彼は穏やかに微笑み、祈りのために両手を組んだ。
「ええ、全くです。私も一介の医者として、日々の診療の疲れを癒やすための休暇のつもりで参りました。皆様のような興味深い……個性的な方々とお会いできて、とても嬉しく思いますよ」
チョコラータは知的な笑みを浮かべ、ゆっくりとした丁寧な口調で相槌を打つ。その態度はどこからどう見ても、温厚で立派な紳士であった。
一方で、館の空気など全く気にしていない者たちもいる。
「……ねえ、これ。このダイニングの隅にあるゴミ箱、装飾がすごく凝ってる。蓋の重量感も完璧。あんたたち、これの価値がわかる?」
星はテーブルの食事そっちのけで、部屋の隅にあったアンティーク調のゴミ箱を撫で回していた。彼女はただ、未見の珍しいゴミ箱を探す旅の途中でここに立ち寄ったのだという。
「んだぁ?ゴミ箱なんざどうでもいいだろ。俺はただ、暇潰しに面白そうな場所を探してたらここに辿り着いただけだ。面倒事は御免だからな」
黒い鉤爪のついた左手をテーブルに置き、針千鈞は気怠げにスープを啜る。口調こそ粗暴だが、今のところは静かに食事を楽しんでいるようだ。
「本当に、わざわざ私がスポンサーになってこんな辺鄙な場所での集まりを企画したというのに……まあ、動物園みたいで退屈はしなさそうね。私の人生の暇潰しにはちょうどいいわ」
楠ハナコは、自身が持ち込んだであろう最高級のティーカップを片手に、優雅に周囲を見渡していた。この集まり自体が、彼女の底なしの財力による道楽の一環のようだった。
- 35◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 00:30:15
「次元を渡り歩く途中で偶然立ち寄ったが、この世界の朝食も悪くない。私にふさわしい平穏な朝だ」
ファニー・ヴァレンタインはナプキンで口元を拭いながら、堂々とした態度でそう言い放つ。彼もまた、己の目的の旅の途中でこの館を休息の場として選んだ客人だった。
「んん……お父様に無理やり外に出されたから来たけど……やっぱり、何もかも退屈……もう帰って寝ていいかな……」
沙条愛歌は、ふかふかのソファに沈み込んだまま、やる気のない気だるげな声で呟いている。彼女にとって、この美しい朝も館の食事も、全てがどうでもいいことのようだった。
そんな和やかな(一部マイペースすぎるが)朝の風景の中で、マザーバトロワAIが、一人離れた部屋の隅でガタガタと震えている男に優しく声をかけた。
「ディアボロさん、あちらの席は冷えますよ。温かいスープはいかがですか?」
「オレのそばに近寄るなああーーーーーーーーッ!!!」
ディアボロは悲鳴を上げ、頭を抱えて壁際にうずくまった。彼は気付けばこの館のベッドで目を覚ましており、ここが新たな地獄の始まりなのかと怯えきっていた。ただ、他のメンバーからは「ひどく神経質な人が休養に来たのだろう」としか思われておらず、彼に危害を加える者は今のところ誰もいなかった。
窓の外では長閑な風が木々を揺らしている。
全く異なる背景と目的を持って集まった12名の客人たちの、奇妙だが平和な館での一日目が、こうして静かに幕を開けた。
- 36◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 00:33:13
【一日目 昼】
昼下がり。館を包む穏やかな空気はそのままに、客人たちは思い思いの時間を過ごしていた。
昼食後の中庭では、心地よい風が吹き抜けている。
「ふはははは!見ろ、この美しい花壇の真ん中を堂々と歩いてやる!これぞヴィランの所業!」
ドレイクがマントを翻して高笑いしているが、その足取りは花を絶対に踏まないよう、極めて慎重かつ律儀なものであった。さらに言えば、彼女の手にはじょうろが握られており、結果的に水やりを手伝っているだけである。
「素晴らしいね。そのように自然を愛でる心は、強き肉体と同じくらい尊いものだ。私も少し手伝わせてもらおう」
ペ・ヨンベはドレイクの行動を好意的に解釈し、微笑ましく見守りながら花壇の雑草を丁寧に抜き始めた。
「あなたたち、本当に元気ねえ。私はここで優雅にお茶を飲みながら、無様に土にまみれる庶民の姿を見物させてもらうわ」
楠ハナコは日陰のテラス席で、先ほど自ら淹れた紅茶を傾けている。彼女の視線の先では、なぜか中庭の片隅に設置されていた屋外用の巨大なゴミ箱に頭を突っ込んでいる星の姿があった。
「……ふむ。外のゴミ箱は雨風に晒される分、独特の年季が入っていて趣深い。この錆び具合、なかなか評価が高いわ」
星は真剣な表情でゴミ箱の蓋を撫で回し、完全に自分の世界に入り込んでいる。
「おいおい、そんな汚えもん漁って楽しいのかよ。まあ、人の趣味にとやかく言うつもりはねえけどな」
針千鈞は近くのベンチに寝転がり、両腕を頭の後ろで組んで欠伸をした。日差しが暖かく、すっかり昼寝の態勢に入っている。
- 37◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 00:36:20
一方、館内の図書室もまた平穏そのものであった。
「なるほど。つまり君の国では、そういった価値観が民衆を束ねる基盤となっているのだな。興味深い話だ」
ファニー・ヴァレンタインは分厚い本を片手に、房石陽明と知的な談笑を交わしていた。
「ええ。まあ、僕自身はただのしがないバイク乗りですから、どこまで本質を理解できているかは怪しいものですが。でも、こうして見知らぬ土地の歴史や思想を学ぶのは、本当にワクワクしますよ」
陽明は人懐っこい笑顔で応じている。彼の巧みな話術は、大統領であるヴァレンタイン相手にも全く引けを取らず、場を和やかにコントロールしていた。
「お二人とも、お話の邪魔をして申し訳ありません。食後のコーヒーをお持ちしました。豆の挽き具合は、私の計算上最もリラックスできる粒度に調整してあります」
マザーバトロワAIが、銀のお盆にカップを乗せてやってきた。人間以上に人間らしい、細やかな気遣いである。
「おお、これはかたじけない。あなたのような素晴らしい人工知能と出会えたことも、この旅の思わぬ収穫ですよ」
ルロイ修道士が穏やかな笑顔でコーヒーを受け取り、感謝の意を示す。
「わたしも同感です。人間の肉体を持たずとも、これほどまでに豊かな精神活動を行えるとは……ふふふ、実に興味深い。ぜひ、あなたのその人工的な思考回路について、深くお話を聞かせていただきたいものです」
チョコラータは柔和な笑みを浮かべ、医師としての探求心を覗かせながらマザーバトロワAIに語りかけた。その態度はどこまでも紳士的で、彼女への純粋な好奇心に溢れているように見える。
- 38◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 00:36:42
- 39◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 00:38:27
- 40◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 00:42:35
【二日目 朝】
悲鳴、ではなく、漏電による微かなノイズ音が、本来なら優雅であるはずの洋館の朝を引き裂いた。
談話室に集まった客人たちの目に飛び込んできたのは、無惨なスクラップと化したマザーバトロワAIの残骸だった。彼女の自慢だった人工皮膚は無残に剥がれ落ち、床には滑って転倒した際のものと思われる無様な冷却液の跡が、まるで這いずり回ったかのように生々しく残されている。砕けた頭部からは「私はポンコツです」というテスト音声が、今も虚しく微かにループしていた。
「あらあら、ふふっ……あははは!なんて無様なのかしら!」
楠ハナコは、扇子で口元を隠しながらも耐えきれないといった様子で笑声を漏らした。
「最新鋭の人工知能だか何だか知らないけれど、床を這いつくばって壊れるなんて、三流の喜劇にも劣るわ。この滑稽な死に様、お金を払ってでも見る価値があったわね」
彼女の倫理観の欠如した発言に、ルロイ修道士が静かに進み出た。彼の人差し指は、せわしなく交差している。
「……悪い子だ。命の在り方がどうであれ、彼女にも全うすべき役目があったはずです。このような非道な行いは、決して許されるものではありません」
彼は残骸の前で深く頭を垂れ、静かに祈りを捧げた。
「なんという痛ましい姿だ。彼女の心遣いには私も感銘を受けていたのだが……。これをやった者は、礼儀というものを知らんらしい」
ペ・ヨンベもまた、巨体を揺らして悲痛な表情を浮かべる。
しかし、その惨状を全く別の視点から観察している者もいた。
「ほう……これは素晴らしい」
チョコラータは、残骸の断面や床の冷却液を舐めるように見つめ、うっとりとしたため息をついた。
「機械とはいえ、自身の機能が停止していく過程で生じた『絶望』の痕跡が、この這いずった跡から克明に読み取れます。ああ……なんと美しい。ビデオを回しておかなかったことが、私の人生における最大の不覚ですよ」
- 41◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 00:47:58
「おいおい、ふざけんな。趣味の悪い医者だな」
針千鈞が舌打ちをする。
「問題はそこじゃねえ。誰かが夜中にこのガラクタをぶっ壊したってことだ。次は俺たちの寝首が掻かれるかもしれねえってことだろうが」
「……これだけの部品があれば、もっと頑丈なゴミ箱が作れそう。蓋の重さも調整できるし」
星はしゃがみ込み、マザーバトロワAIのパーツを物色し始めていた。彼女の焦点は完全に別のところに向かっている。
「ええ、針さんの言う通りです。事態は極めて深刻ですよ」
房石陽明は深刻そうに眉を寄せた。
「館の外は深い森で、外部からの侵入者の痕跡はありませんでした。つまり……この中に、明確な殺意を持って彼女を破壊した犯人がいる。我々は、殺人鬼と同じ屋根の下にいるということです」
「ふ、ふははははッ!見ろ、この無惨な姿を!きっと館に潜む恐ろしい悪党の仕業に違いない!わ、私のような偉大なヴィランでも震え上がるほどの、極悪非道な真似だ!」
ドレイクがわざとらしく大声を上げてマントを翻す。
- 42◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 00:50:12
「ヒィィィッ!オレを見るなああーーーーーーーーッ!!!オレは何もしていないッ!オレのそばに近寄るなッ!!!」
ディアボロは部屋の隅で頭を抱え、誰に責められたわけでもないのに絶叫している。
「静かにし給え」
ファニー・ヴァレンタインが一歩前に出ると、その場に確かな緊張感が走った。
「取り乱しても事態は解決しない。我々の安全を確保するためには、話し合いによって犯人を炙り出し、この館から排除……処断するしか道はない。それが我々にとっての『正しい』行為だ。異論はあるか?」
ヴァレンタインの堂々たる提案に、陽明がすぐに同調する。
「賛成です。各自の行動を整理し、多数決で最も疑わしい者を決めましょう。放っておけば、今夜もまた犠牲者が出ますよ」
「……ふぁあ。うるさいなあ……」
ソファに寝転がったまま、沙条愛歌は欠伸をした。彼女の全能の視界には、昨夜誰が何をしたか、誰が犯人陣営なのか、全てが手に取るように視えている。だが、それを口にする気は一切なかった。
「誰が悪い人かなんて、どうでもいいのに。好きにすれば……」
かくして、生き残りを懸けた狂気の議論が幕を開けた。
それぞれが独自の能力と異常な価値観を秘めたまま、言葉という刃を交え始める。
- 43二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 00:56:15
ふうんそういう事か
- 44二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 00:59:50
ああーっ続きをくれぇ
- 45二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 08:22:00
あれっ続きは?
- 46二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 08:38:10
面白くなりそうやのう
- 47◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 09:32:10
- 48◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 09:35:05
「……随分と怯えているな、ディアボロ。誰も君を責めてはいないが、その異様なまでの狼狽ぶりは、逆に何かを隠しているように見えなくもない」
ヴァレンタインが鋭い視線を向けると、ディアボロはヒッと息を飲み、椅子から転げ落ちそうになった。
「まあまあ、ヴァレンタインさん。彼のように神経質な方にとって、この状況は酷というものです。それに、本当に手を下した殺人鬼なら、もっと冷静に振る舞うと思いませんか?」
房石陽明が、宥めるように穏やかな口調で割って入った。
「僕としては、彼よりも……そうですね、あの惨状を見て『美しい』と称賛していたチョコラータ先生の方が、少々気になります。医者としての探求心とは言え、少し常軌を逸しているように感じまして」
一瞬にして、数人の視線がチョコラータへと向かう。
「わたしがですか?ふふふ……おかしな言いがかりだ。わたしはただ、生命活動が停止する過程の芸術性を評価したに過ぎない。君のような浅はかな人間には理解できないかもしれませんがね」
チョコラータは一切悪びれることなく、むしろその状況を楽しんでいるように薄笑いを浮かべた。
「他人の絶望や痛み、そして恐怖に歪む顔……それらを観察するのは、わたしの最高の趣味ですから。だが、昨晩のわたしは自室でゆっくりと休んでいましたよ。あのような粗雑な破壊工作は、わたしの美学に反する」
- 49◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 09:37:49
「……随分と悪趣味な医者だこと。でも、そういう分かりやすい変態は、案外こういう陰湿な事件の犯人じゃなかったりするのよね。もっと無様で、滑稽な理由で動く小悪党が隠れていそうだけど」
楠ハナコが、ティーカップを傾けながら楽しげに口を挟む。彼女の視線はドレイクに向いていた。
「なんだその目は!私のような偉大なヴィランが、あんなちっぽけな破壊活動で満足するわけがないだろう!私がやるなら、もっとこう……館中のトイレットペーパーを全て逆向きに付け替えるとか、そういう規模の大きな悪事をする!」
ドレイクは立ち上がり、マントをバサッと翻して主張した。
「それは……確かに恐ろしい悪事ですね。しかし、命を奪うこととは種類が違う。ドレイク殿は、根は善良な方とお見受けする」
ペ・ヨンベが真剣な顔で頷き、ドレイクをフォローした。ドレイクは「ぜ、善良ではない!悪だ!」と小声で抗議している。
「あのさ」
不意に、テーブルに突っ伏して、どこから持ち出したのかゴミ箱のカタログのようなものを眺めていた星が顔を上げた。
「昨日の夜、ちょっと気になることがあって、チョコラータの部屋の方を覗いてみたんだけど。あいつ、自分の部屋で一人でビデオカメラ回してニヤニヤしてたよ。気持ち悪いけど、少なくとも機械を壊しに行くような行動はしてなかった」
- 50◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 09:40:27
- 51◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 09:44:25
【二日目 昼】
終わりの見えない議論が続く中、太陽は少しずつ西へ傾き、ダイニングルームに長く不気味な影を落とし始めていた。
「これ以上言い合っても埒が明かない。時間だけが無為に過ぎていく」
ファニー・ヴァレンタインが重々しい声で場を制した。
「我々の安全を脅かす犯人は、この中にいる。そして、最も疑わしい行動をとっている者を多数決で選び出し、この館から『排除』するしかない。各自、手元の紙に最も危険だと判断した者の名を書きたまえ」
「な、なんだと!?お前たち、本気で言っているのか!?」
ディアボロが顔を真っ青にして立ち上がった。彼の異常なまでの怯えとパニックは、皮肉にも彼自身を一番の標的として浮き彫りにしていた。
「仕方ないですよ。誰も自分が犠牲になりたくはないですからね」
房石陽明はため息をついた。
「うるせえな、とっとと終わらせようぜ。俺はあのご立派な仕切り屋が気に食わねえがな」
針千鈞は忌々しそうに紙にペンを走らせる。
「……どれでもいいけど。早くお部屋に戻りたい」
沙条愛歌は虚無を見つめたまま、適当に文字を書き殴った。
- 52二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 09:45:28
果たして誰が吊られるんやろなぁ…
- 53◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 09:45:40
- 54二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 09:47:33
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- 55二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 09:48:23
あっ一瞬でディアボロが吊られたっ
- 56◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 09:50:26
「ヒ、ヒィィィィィッ!!なぜだ!オレは何もしていない!オレはただ、平穏に過ごしたいだけなんだ!!」
圧倒的な得票数で自身が選ばれたことを理解したディアボロは、後ずさりしながら絶叫した。
「君のその異常なまでの動揺は、何かを取り繕うとしているようにしか見えない。この館の平和を乱す不心得者よ。君にはここで退場してもらう」
ヴァレンタインは懐から静かにリボルバーを取り出し、ディアボロへと銃口を向けた。
「我が心と行動に一点の曇りなし……すべてが『正義』だ」
「や、やめろ!オレのそばに近寄るなああーーーーーーーーッ!!!」
銃声が、洋館に鋭く鳴り響いた。
放たれた銃弾はディアボロの胸を正確に貫き、彼は鮮血を散らしてその場に倒れ込んだ。
「……南無」
ペ・ヨンベは目を閉じ、手を合わせた。ルロイ修道士も静かに祈りのポーズをとる。
これで終わった。誰もがそう思った。
しかし、倒れ伏したはずのディアボロの肉体が、奇妙な痙攣を起こし始めた。
- 57二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 09:52:42
- 58◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 09:52:44
「ガハッ……ア……痛い……息が、できない……オレは、死ぬのか……?」
胸から血を流したまま、彼は目を見開き、虚空を見つめて呻き声を上げている。
「いやだ、死にたくない……アァァ……ッ!?」
突如、彼の傷口の出血が止まり、しかし傷そのものは塞がらないまま、ディアボロは再び同じように胸を押さえて「撃たれた瞬間の痛み」をリピートし始めたのだ。
「オレの、オレのそばに近寄るなああーーーーーーーーッ!!!痛い!痛いいいぃぃぃッ!!」
【インチキ能力発動:終わりがないのが終わり(ディアボロ)】
処刑による死亡判定を受けたが、彼に安息の死は訪れない。無限に死に続ける過程が始まり、翌日の夕方までこの状態のまま館に留まることとなる。
「……なんだ、これは。死んでいないのか?」
ヴァレンタインが眉をひそめて銃を下ろす。
- 59◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 09:54:17
- 60◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 09:57:49
【三日目 朝】
遠くの部屋から「痛いィィッ!オレのそばに近寄るなあああ!」というディアボロの悲鳴が延々と響き渡る中、三日目の朝が訪れた。
ダイニングルームに集まった面々の表情は暗い。
巨漢の格闘家、ペ・ヨンベの姿がなかったのだ。
「……彼の部屋を確認してきた。ベッドの上で事切れていたよ」
ファニー・ヴァレンタインが重々しく報告した。
「ヒィッ……あんな熊みたいな大男を無音で殺すなんて!やはりこの館には恐ろしい怪物が……い、いや、私という最高のヴィランの足元にも及ばないがな!」
ドレイクが震えた後、慌ててふんぞり返る。
「素晴らしい肉体だったのに、あっけないものですねえ……。彼の死に顔、実に穏やかで……恐怖に歪んでいなかったのが少し残念ですが、録画はしておきましたよ」
チョコラータはハンディカメラを回しながら、ニチャリと笑う。
- 61◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:00:26
- 62二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 10:01:26
握手の効果が強すぎぃ〜っ
- 63◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:03:10
「あ、ちょっといい?」
議論が白熱し始めたその時、星がポテトチップスをかじりながら気怠げに手を挙げた。
「私、占い師なんだけど。昨日の夜、房石陽明を占ったら、人狼だったよ」
その唐突なカミングアウトに、場が静まり返った。
「……僕が、人狼ですか?」
名指しされた房石陽明は驚き、悲しげな表情を作った。
「星さん。あなたが僕を疑う気持ちはわかります。昨日、僕がディアボロさんを庇うような発言をしたからですよね?でも、だからといって占い師を騙って僕を人狼に仕立て上げるのは、あまりにも強引すぎませんか?」
陽明は人当たりの良い声で、ゆっくりと、周囲に語りかけるように紡ぎ出す。
「考えてもみてください。もし僕が本当に人狼なら、昨日あんなに目立つ立ち回りをしてヘイトを買うような真似をしますか?……星さん、本当はあなたが人狼で、僕に罪をなすりつけようとしているんじゃないですか?」
「いや、私は本当のこと言っただけだけど。まあ信じないなら別にいいよ。ゴミ箱漁る時間減るし」
星は全く熱くならず、飄々とポテチを食べ続けている。
- 64◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:04:57
その様子を見て、テラス席で優雅に紅茶を飲んでいた楠ハナコが、扇子を閉じて立ち上がった。
「あらあら、随分と滑稽な茶番ね。星さん、あなたが占い師?笑わせないでちょうだい」
ハナコはフフッと優雅に笑い、全員を見渡した。
「本当の占い師は、この私よ」
「私、昨晩は星さんを占わせてもらったの。結果は……黒。人狼だったわ。自分が疑われる前に、適当な陽明さんを黒だと言い張って道連れにしようとしているのね。本当に見苦しいわ」
「はぁ?何言ってんのあんた」
星が初めて少しだけ眉をひそめた。
「ほほう?占い師が二人名乗り出たか。こりゃあ面白い展開になってきたぞ」
針千鈞がニヤリと笑う。
「ええ……実に美しい。嘘と真実が入り交じり、互いを蹴落とそうとする醜い心理戦。これこそ人間観察の醍醐味です」
チョコラータは興奮したように息を荒くし、カメラのレンズを星とハナコに交互に向けている。
- 65◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:06:33
「皆さん、落ち着いてください」
陽明は立ち上がり、両手を広げてみせた。
「星さんとハナコさん、どちらが本物かはまだわかりません。しかし、星さんの普段の行動……一日中ゴミ箱に執着し、他人の部屋を覗き込むような振る舞いは、少し常識から外れているように思えます。対してハナコさんは、確かに口調は厳しいですが、常に堂々とされています」
「あー……面倒くさい。もうどっちでもいいから好きにしてよ。お父様に言いつけるから……」
沙条愛歌だけは、ソファで丸くなって目を閉じていた。
「よし、状況は整理されたな。真の占い師がどちらか、そして房石陽明と星のどちらが人狼か。今日の昼の議論は、これに絞られそうだ」
ヴァレンタインが腕を組み、鋭い視線を三人に向けた。
遠くから聞こえるディアボロの「オレのそばに近寄るなあああ!」という絶叫をBGMに、三日目の凄惨な舌戦が幕を開けた。
- 66二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 10:07:19
クソみたいなBGMだな!
- 67◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:08:35
【三日目 昼】
「さて、星さん。あなたが真の占い師であるというなら、もう少し説得力のある説明をしていただきたいですね」
房石陽明は、温和な態度を崩さずに星へと問いかけた。
「昨日の昼、あなたはチョコラータ先生の部屋を覗き見たと証言しました。なぜその時、自分が占い師であると明かさなかったのですか?」
「別に。言うタイミングがなかったし、面倒くさかったから」
星はポテトチップスの最後の一枚を口に放り込み、指を舐めながら淡々と答える。
「それに、今あんたがそうやって必死に私を偽物に仕立て上げようとしてるのが、何よりの証拠じゃない?」
「必死だなんて、とんでもない。僕はただ、論理的な矛盾を指摘しているだけですよ」
陽明は肩をすくめた。
「対して、楠ハナコさんはどうでしょう。彼女は昨日、誰の庇護も求めず、ただ静かに状況を観察していました。そして今日、僕を黒だと言い張るあなたを見て、危険を感じて真実を口にした……そう考える方が、自然ではありませんか?」
- 68◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:11:03
「ふふふっ、その通りよ」
ハナコは扇子で口元を隠し、冷ややかな視線を星に向けた。
「自分が処刑されそうになったからって、適当な人に罪をなすりつけるなんて、本当に見苦しいわね。庶民の浅はかな知恵なんて、私の目には全てお見通しよ」
「なるほど。理にかなっているな」
ファニー・ヴァレンタインが腕を組み、重々しく頷いた。
「昨日の陽明の言動を思い返せば、彼がディアボロという同陣営の人狼を庇ってまであのような目立つ真似をするとは考えにくい。となれば、陽明に黒出しをした星の占いは嘘……つまり、星が人狼であり、ハナコが真の占い師であるという線が濃厚だ」
「ふはははは!大統領の言う通りだ!どう見てもこのゴミ箱漁りの小娘が嘘をついている!私のような悪のカリスマには、その程度の嘘などすぐに見抜けるのだ!」
ドレイクがそれらの流れに便乗する。
- 69◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:13:52
「……ちっ。どいつもこいつも口先ばっかり達者で腹が立つぜ。俺はあの陽明って野郎の、常に薄ら笑いを浮かべてるツラの方がよっぽど気に食わねえがな」
針千鈞は苛立たしげにテーブルを蹴り飛ばすが、多勢に無勢であることは明らかだった。
「ええ、ええ、素晴らしいですねえ。星さん、あなたは今、全員から疑われ、処刑の危機に瀕しています。その胸に渦巻く絶望……無力感……もっと見せてください。カメラの焦点が合わないほどに震えてくれてもいいんですよ」
チョコラータは星の顔にカメラを向け、興奮のあまり荒い息を吐いている。
「……別に震えないし。ただ、あの中庭のゴミ箱、ちょっと持ち帰りたかったなって思ってるだけ」
星は最後までポーカーフェイスを崩さなかった。
やがて、ヴァレンタインの合図により、投票が行われた。
星、6票。
房石陽明、3票。
- 70◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:16:04
「……決まりだな。星、君にはこの館から退場してもらう」
ヴァレンタインが冷徹に宣告する。
星は立ち上がり、服の埃を払った。
「あーあ、負けちゃった。まあいいや、ここ退屈だったし。じゃあね、あんたたち。せいぜい騙されて、仲良く全滅しなよ」
彼女は最後まで飄々とした態度のまま、処刑のための別室へと連行されていった。少しの悲鳴も上げることなく、彼女はこのゲームから退場した。
夕暮れ時。
一日遅れで、ようやくあの男の苦痛にも終わりが訪れていた。
「オレの……そばに……近寄る、な…………」
別室で永遠に死の痛みを繰り返していたディアボロの肉体が、夕日を浴びながら光の粒子となってフッ……と消滅した。彼はようやく、このゲームという名の地獄から解放されたのだ。
生き残った者たちは、複雑な思いを胸にそれぞれの部屋へと戻っていく。
- 71◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:20:37
【四日目 朝】
冷たい廊下の床に、針千鈞の遺体が転がっていた。
「ひ、ひぃぃッ!なんという恐ろしい死体だ!こ、これほど残虐な手口……まさかこの館には、私以上のヴィランが潜んでいるというのか!」
ドレイクが頭を抱えて叫ぶ。
「素晴らしい……。しかし、彼の表情には驚愕しかなく、絶望が足りない。殺.害のプロセスとしては少しばかり芸術性に欠けますね」
チョコラータはハンディカメラで針千鈞の遺体を様々な角度から撮影しながら、不満そうに舌打ちをした。
「……また人が死んだわね。でも、昨日の夜は私の部屋のドアも誰かに無理やりこじ開けられそうになったのよ。全く、野蛮な人がいるものだわ」
楠ハナコが扇子で顔を仰ぎながら不機嫌そうに言う。
その時、ルロイ修道士が静かに口を開いた。
「皆様、聞いてください。昨晩、私は房石陽明殿の部屋を訪れ、朝まで彼の行動を完全に封じておりました。つまり、彼が針殿を殺.害することは物理的に不可能だったのです」
- 72◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:23:13
この宣言に、場がざわついた。
「おお、ルロイさん。疑いを晴らしていただき、本当にありがとうございます。やはり、星さんは僕を陥れるために占い師を騙っていたのですね」
房石陽明は深く頭を下げた。
「なるほど、そういうことか」
ファニー・ヴァレンタインが腕を組んで頷いた。
「真の占い師であるハナコの言う通り、星が人狼だったわけだ。そして陽明の潔白も証明された。だが、人狼はまだ残っている。針を惨殺した犯人がな」
「ええ。そこで僕から一つ提案があるのですが」
陽明は笑顔を崩さずに、スッとチョコラータの方を向いた。
「チョコラータ先生。あなたは昨日から、他人の死や苦痛を異常なまでに楽しんでおられる。針さんを背後から惨殺し、その死体を今こうして平然と撮影しているあなたのその異常性……僕には、あなたこそがこの狂気の人狼ゲームを楽しんでいる殺人鬼に見えてならないのですが」
「……わたしが?」
チョコラータはカメラを下ろし、口元をニチャァと歪めた。
「ふふふ……ははは!面白い冗談だ。わたしは観察者であって、あのような野蛮で雑な殺し方はしない。だが、君たちのその無知で愚かな推理、実に滑稽で愛おしいですよ。わたしを疑い、絶望の淵に立たせようというのなら、受けて立ちましょう」
彼は一切の弁解を行わず、むしろ自分へ向けられる敵意を歓喜として受け止めていた。
「決まりだな。異常な嗜好を持つ君をこのまま放置するわけにはいかない」
ヴァレンタインが冷徹に言い放ち、ハナコも「ええ、気味が悪いもの。さっさと地下牢にでも閉じ込めてしまいなさい」と同意した。
- 73◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:26:12
【四日目 昼】
チョコラータ、5票。
房石陽明、1票。
棄権、1票。
投票は一方的なものとなった。
「……処刑はチョコラータ。君には、この館の地下にある深いワインセラーの底へ落ちてもらう」
ヴァレンタインの宣告を受け、チョコラータは地下へ続く階段の前に立たされた。
「あーあ、可哀想に。お医者さんごっこはおしまいね」
沙条愛歌がソファから一瞬だけ顔を上げ、気だるげに呟く。
「ふふふ……ああ、素晴らしい。君たちがわたしを突き落とす、その冷酷な決断。そして、わたしが暗い地下へと落ちていく恐怖……ゾクゾクしますねえ」
チョコラータは自ら階段の縁に立ち、両手を広げた。
「ですが、忘れないでください。わたしを下に落とすということは、君たちがわたしを見下ろすということ……」
ドンッ、とヴァレンタインがチョコラータの背中を押し、彼は深い地下室へと真っ逆さまに落下していった。
ドシャァッ!という鈍い音が響き、チョコラータの処刑が完了したかに思えた。
- 74◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:29:33
その瞬間である。
「……うわははははは!!」
地下の底から、チョコラータの割れんばかりの狂笑が響き渡った。
「なんだ!?」
ヴァレンタインが階段の下を覗き込む。
「道連れだァァァーーーーッ!!」
【インチキ能力発動:グリーン・ディ(チョコラータ)】
自身が下(墓地)に落ちたことで、能力が発動。彼に投票した者の中からランダムで1名に殺人カビが襲い掛かる。
ズズズズズッ!と、地下室から爆発的な勢いで緑色のカビが這い上がってきた。
それはまるで意思を持っているかのように階段を駆け上がり、ダイニングルームにいた一人の人物に狙いを定めて飛びかかった。
「きゃあああっ!?」
悲鳴を上げたのは、楠ハナコだった。
「な、なによこれ!汚い!私の美しいドレスに……ひぃっ、皮膚が、皮膚が溶けて……!」
「ハナコ殿!?」
ルロイ修道士が手を伸ばそうとするが、カビの繁殖速度は異常だった。
- 75二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 10:30:35
おどれが破壊されとるやないけーっ
- 76◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:32:10
ハナコの全身を瞬く間に緑色の菌糸が覆い尽くし、彼女の肉体をドロドロに腐食させていく。
「いやぁぁぁっ!私のような選ばれた人間が、こんな汚らしい姿で……助けなさい!お金ならいくらでも出すから、助け……アガァッ……!」
自らが他人の無様な姿を嘲笑い続けてきたセレブは、皮肉にも最も無様で醜悪な姿を晒しながら、完全にカビの餌食となって崩れ落ちた。後には、ドロドロに溶けた肉の塊と化したハナコの残骸だけが残された。
「ひ、ひぃぃぃぃぃッ!?な、なんだ今のカビは!!」
ドレイクがパニックになり、壁際に張り付いてガタガタと震え出した。
「……なるほど。恐ろしい道連れ能力を持っていたのですね」
驚く陽明。
四日目の夕方、館には焦げ付くようなカビの悪臭と、絶望的な空気が漂っていた。
- 77◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:34:22
【五日目 朝】
リビングルームに集まった五人の間には、これまで以上の緊張感が漂っていた。
「……おはようございます。昨晩は、随分と賑やかだったようですね」
房石陽明は、右手をさすりながら、爽やかな笑顔で現れた。
しかし、その表情は、そこにいる全員が無傷であることを見た瞬間にわずかに凍りついた。
「驚いたかね、陽明。私は昨晩、明確な殺意を持った襲撃を受けた。だが、見ての通り私はここにいる」
ファニー・ヴァレンタインは、昨日と全く変わらぬ威厳を保ったまま、コーヒーを口に運んだ。
「ドレイク。君の能力、そして君の正体は、もはや疑いようがない」
「ひ、ひぃぃっ……!何を言っているのだ、お前は!私は昨晩、ずっと自室でヴィランとしての作戦を練っていたのだぞ!」
ドレイクは椅子をガタガタと鳴らし、必死に弁解する。
- 78◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:36:38
ルロイ修道士は悲しげに首を振った。
「ドレイク殿、嘘はいけません。ヴァレンタイン殿を救ったのは、神の加護……あるいは、彼自身の持つ特殊な力でしょう。ですが、あなたが動いた事実は消えません」
「……ああ、もう。朝からうるさいなあ」
沙条愛歌は、ソファで気だるげに寝返りを打った。
「誰が狼で、誰が嘘をついているか。そんなの最初からわかっていたのに。ねえ、陽明さん?あなたのその作り笑顔、もう限界なんじゃない?」
愛歌の底知れない視線が、陽明の瞳を射抜いた。
陽明は一瞬の沈黙の後、くすくすと低く笑い始めた。
「……はは、ははは。いやあ、参りました。愛歌さん、あなたは本当に恐ろしい方だ。そしてヴァレンタインさん、あなたのしぶとさも計算外でした」
陽明は椅子に深くもたれかかり、これまでの気さくな青年の仮面を脱ぎ捨てた。
その瞳には、狂気と冷徹な知性が宿っていた。
「ええ、認めましょう。僕とドレイクさんが人狼です。……ですが、それがわかったところで、あなたたちはどうするつもりですか?」
- 79◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:39:42
【五日目 昼】
「自ら正体を明かしたか。ならば話は早い」
ファニー・ヴァレンタインは、リボルバーの撃鉄を静かに起こした。
「我々三人が君に投票すれば、それで終わりだ。君の負けだよ、房石陽明」
「ヒィッ!や、やめるのだ大統領!私という巨悪を差し置いて、陽明を狙うとは!」
ドレイクが陽明を庇うように前に出るが、その足は生まれたての子鹿のように震えていた。彼女は自分が処刑されるのも、陽明が処刑されるのも恐ろしかったのだ。
「ドレイク殿、もう終わりにしましょう。これ以上の犠牲は不要です」
ルロイ修道士が悲しげに目を伏せる。
「そうですねえ。これで終わりなら、それはそれで綺麗な盤面です。……普通に投票すれば、の話ですが」
房石陽明は、肩をすくめて薄く笑った。その顔には一切の焦りがない。
やがて、ヴァレンタインの主導のもと、決定的な投票が行われた。
当然のごとく、陽明に3票、ヴァレンタインに2票が集まる。
「決まりだ。房石陽明、君を処刑する」
ヴァレンタインが引き金に指をかける。
- 80◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:42:12
その瞬間。
「お待ちください、ヴァレンタインさん。本当に僕を処刑して、この館に平和が訪れるとでも?」
陽明の口から紡がれたのは、極めて滑らかで、それでいて脳髄を直接かき回すような恐るべき詭弁だった。
「あなたの掲げる正義とは何ですか?昨日、別次元の自分を犠牲にしてまで生き延びたあなたのその行為は、本当に村人陣営としての潔白なものだったと言い切れますか?むしろ、自身の生存のみを優先するその冷徹さこそが、我々人狼以上にこのコミュニティを脅かす最大の害悪ではありませんか?ルロイさん、神は自己犠牲を尊びますが、他者を踏み台にする者を許しますか?愛歌さん、あなたはどちらが消える方がより面白い結末になるか、すでにご存知のはずだ」
それはただの言葉だった。しかし、彼の異常なまでの弁舌とカリスマは、ゲームのシステムそのものを錯覚させ、書き換えるほどの威力を持っていた。
場をコントロールする力。疑心暗鬼を強制的に植え付け、真実と嘘の境界を曖昧にする圧倒的な口八丁。
「な……何を馬鹿な!私の行動は常に正義の……ぐっ、思考が……!」
ヴァレンタインが頭を押さえて呻き声を上げた。ルロイ修道士もまた、陽明の言葉の毒牙にかかり、自身の正義が一瞬揺らいで動きを止めてしまう。
「あはは。ほんと、口が回る人。でも、そっちの方が退屈しなくていいかも」
沙条愛歌が、ふふっと楽しげに笑った。
結果。
処刑の矛先は、言葉巧みに誘導されたというゲームシステム上の強制力によって、ファニー・ヴァレンタインへとすり替わった。
「馬鹿な……この私が、こんな詭弁によって……!」
ヴァレンタインの足元の床が突如として開き、彼はそのまま深い奈落の底へと落下していった。別次元の自分を身代わりにする能力はすでに使い切っていた彼に、二度目の奇跡は起こらなかった。
- 81◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:43:37
【五日目 夕方】
静まり返ったダイニングルーム。
残された生存者は、四人。
人狼である房石陽明とドレイク。
そして、村人陣営であるルロイ修道士と沙条愛歌。
人狼と村人の同数。
この瞬間、ルールの規定により、人狼陣営の勝利が確定した。
「……私の祈りも、ここまででしたか」
ルロイ修道士は静かに十字を切り、敗北を受け入れた。彼に夜の能力を行使する機会は、もう巡ってこない。
「あー、終わった終わった。お疲れ様」
沙条愛歌は大きく伸びをし、ソファからふらふらと立ち上がった。
「じゃあね、お喋りな人狼さん。せいぜいその口先で、これからも退屈を紛らわせてちょうだい」
彼女はそのまま館の扉を開け、振り返ることもなく帰路についていった。彼女にとっては、最初から最後までただの退屈な暇潰しに過ぎなかったのだ。
- 82◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:44:51
「ふ、ふははははッ!見ろ陽明!我々ヴィランの完全勝利だ!この館の朝食から夕食まで、全て無銭飲食してやったぞ!これ以上ないほどの極悪非道な結末だな!」
ドレイクが腰に手を当てて、高らかに、そしてどこかホッとしたように高笑いしている。
「ええ、本当に。素晴らしい悪事でしたね、ドレイクさん」
陽明は、窓から差し込む夕日に目を細めながら、気さくな青年の笑顔に戻って頷いた。
犠牲者たちの残骸と、カビの痕跡、そして静寂だけが残された洋館。
自らの命すら盤面のリソースとしか思わない男と、小市民的な悪を自称する心優しいニケ。
決して相容れないはずの奇妙な二人の人狼が、惨劇の舞台に最後まで立ち続けていた。
これにて、閉ざされた館での狂気の人狼ゲームは、人狼陣営の完全勝利をもって幕を閉じた。
- 83◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:46:14
各インチキ能力の詳細投下は夜パートを投下してからにすルと申します
- 84二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 10:47:55
陽明の精神攻撃が強すぎる…インチキの次元が違う
- 85◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:48:49
【二日目 夜】
日が完全に落ち、洋館は再び不気味な静寂……いや、一部屋だけ例外を除いて、暗闇に包み込まれた。
「痛いッ!オレのそばに近寄るなああーーーーーーーーッ!!!」
ダイニングルームから隔離された小部屋では、胸から血を流し続けるディアボロが、誰もいない空間に向かって絶叫と呻き声を上げ続けている。完全に無力化された彼は、もはや人狼陣営にとって何の役にも立たない肉塊と化していた。
その悲鳴が微かに届く図書室の暗がりで、二つの影が密会していた。
「やれやれ……彼があんな状態になるとは計算外でした。まあ、弾除けとしては十分な働きをしてくれましたがね」
房石陽明は、暗闇の中でも変わらぬ気さくな笑みを浮かべていた。だがその目は冷酷な捕食者のそれである。
「うう……あの男、なんだか可哀想になってきたぞ。私のようなヴィランでも、あんな永遠の苦痛を与えるような真似はしないというのに……」
ドレイクが少し引いた様子で呟く。
「同情は不要ですよ、ドレイクさん。さて、今夜の獲物を決めましょう。順当にいけば、あの厄介な仕切り屋、ファニー・ヴァレンタインを消すのが定石ですが……彼には護衛がついている可能性が高い」
陽明は顎に手を当てて思考を巡らせる。
「そこで、今夜は別の方を狙いましょう。発言力があり、周囲からの信頼も厚いあの巨漢……ペ・ヨンベさんです。彼のような真っ当な善人が場をまとめ始めると、我々にとって非常に都合が悪い」
- 86◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:50:08
「な、なるほど!善人を闇討ちするとは、まさに悪の鑑!よし、私がやってやろう!」
ドレイクが意気込むと同時に、彼女の特殊なアンテナがピクリと反応した。
「……ん?待て。今、電波を受信したぞ。この館の中で、何らかの『能力』が使われている」
「ほう?」
「対象は……お前だ、陽明。誰かがお前に向かって、何かの能力を行使しているぞ」
ドレイクの電波探知能力が、星による「占い」の対象が陽明であることを偶然にもキャッチしていた。
「……僕に、ですか。それは興味深い。僕の正体を探ろうとしているのか、あるいは……」
陽明は目を細め、静かに笑った。
「だとしたら、明日の朝は少しばかり弁舌を振るう必要がありそうですね。ドレイクさん、あなたは予定通り、ペ・ヨンベさんの処理をお願いします。物理的な力では彼に分があるので、寝込みを確実に、ですね」
「ふはは!任せておけ!悪党らしく、背後からこっそりと近づいてやる!」
- 87◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:52:28
同じ頃、自室のベッドの上で、星は虚空を見つめながら星の力を引き出していた。
「……あの房石陽明って人、どうも胡散臭いんだよね。笑顔が完璧すぎて、逆にゴミ箱の裏側にへばりついたガムみたいな気持ち悪さがある」
占い能力の結果が、彼女の脳裏に直接流れ込んでくる。
「やっぱり。あいつ『人狼』だ。……まあ、明日どうやって伝えようかな。面倒くさいから、ゴミ箱の裏にでも結果を書いて貼っておこうかな」
別の部屋では、ペ・ヨンベが静かに目を閉じ、大地の声に耳を傾けていた。霊媒師としての能力行使である。
「ディアボロ殿……あなたの魂は、あの異様な苦痛に囚われたままだが……その本質は見えた。あなたは、我々を脅かす『人狼』だったのですね」
彼は目を開き、重い事実を受け止めてため息をついた。
そして、洋館の暗い廊下を歩く一つの影があった。ルロイ修道士である。
彼はファニー・ヴァレンタインの部屋の前に立ち、扉をノックした。
「誰だ、こんな夜更けに」
警戒しながら扉を開けたヴァレンタインに対し、ルロイ修道士は無言で、だが有無を言わせぬ圧を放ちながら右手を出した。
「……何だ、握手をしろと言うのか」
- 88◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:54:00
ヴァレンタインが訝しげにその手を握り返した瞬間、ルロイの万力の如き握力が彼の右手を締め上げた。
「痛ッ!?なんだ、この馬鹿げた力は……!」
「夜の徘徊は、悪い子です。大人しくお休みなさい」
言葉以上に伝わる凄まじい圧力により、ヴァレンタインはその夜、一切の行動と思考を封じられ、ベッドに戻ることを余儀なくされた。
それぞれの能力が交錯する中、ドレイクは隠密行動でペ・ヨンベの部屋へと忍び込んでいた。
熟睡しているペ・ヨンベの巨体を前に、彼女は少しだけ躊躇したが、「ヴィランたるもの、ここで情けをかけてはならない!」と自分に言い聞かせ、その凄まじい脚力を用いた一撃で、ペ・ヨンベの息の根を静かに、そして確実に止めた。
「……すまない。お前のことは、立派な格闘家だと思っていたぞ」
小声でそう呟き、ドレイクは足早にその場を立ち去った。
- 89◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:56:57
【三日目 夜】
日が沈み、洋館は再び静まり返った。
図書室の暗がりで、房石陽明とドレイクが向かい合っている。
「さて、ドレイクさん。星さんを排除できたことで、盤面は我々に大きく傾きました。狂人である楠ハナコさんが見事に場を乱してくれていますからね」
陽明は余裕の笑みを浮かべていた。
「今夜の標的ですが、針千鈞さんにしましょう。彼は論理ではなく直感で僕を疑ってきている。こういうタイプは誘導が難しく、早めに退場してもらうのが一番です。ファニー・ヴァレンタインさんは論理に固執する分、偽の証拠さえ提示すれば簡単に踊ってくれますからね」
「ふはは!なるほど、直感頼みの野生児から先に消すということだな。悪党らしい卑劣な作戦だ!よし、私が奴の部屋に忍び込んでやろう!」
ドレイクが意気揚々と立ち上がった。
一方、その頃。
針千鈞は自室のベッドに腰掛け、黒い鉤爪のついた左手を見つめていた。
「どいつもこいつも口先ばっかりだ。俺は俺のやり方で白黒つけさせてもらうぜ」
彼が最も気に食わなかったのは、昼の議論で突然占い師を名乗り出た楠ハナコだった。
「あの女、どう見ても嘘をついてやがった。高みの見物を決め込んでるあの態度、俺の勘が『あいつは黒だ』と告げてるぜ」
- 90◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 10:59:06
彼は無音で廊下に出ると、ハナコの部屋へと向かった。
扉の鍵を無理やり抉じ開け、眠りについているハナコの胸元へ、必殺の術式を宿した黒い鉤爪を振り下ろす。
【インチキ能力発動:黒い鉤爪(針千鈞)】
人狼陣営であれば討伐できる一撃。しかし、楠ハナコの役職は「狂人」。心は人狼陣営に与していても、判定上はれっきとした村人陣営である。
「……は?」
鉤爪がハナコの体をすり抜け、何のダメージも与えることなく黒い霧となって霧散した。術式が不発に終わったのだ。
「ちっ……マジかよ。あの女、人狼じゃねえのか。ただのイカれた性悪女ってことかよ」
針千鈞は舌打ちをし、自身の勘が外れたことに苛立ちながら部屋を後にした。
彼が自室に戻ろうと暗い廊下を歩いていた、その時。
「くらえ!ヴィランの不意打ち!」
曲がり角の死角から、ドレイクが飛び出してきた。
彼女のニケとしての常識外れなパワーとスピードによる体当たりが、無防備だった針千鈞の腹部にまともに命中する。
「ぐはッ……!?てめえ、ドレイク……!?」
「ふはははは!油断したな!私は悪党だからな、背後からの闇討ちなど朝飯前だ!」
ドレイクは悪びれもせず高笑いし、そのまま針千鈞の首根っこを掴んで強烈な一撃を叩き込んだ。
「……クソが……俺の勘も、鈍ったか……」
呪力の乗っていない状態の彼では、ニケの物理的な力に抗うことはできず、針千鈞は暗い廊下で静かに息絶えた。
- 91◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 11:00:37
同じ頃。
房石陽明の自室の扉が、ゆっくりとノックされた。
「……はい。どなたですか?」
陽明が扉を開けると、そこにはルロイ修道士が静かに立っていた。
「夜分遅くに失礼します、陽明殿。少し、お話をよろしいでしょうか」
「ええ、構いませんよ。どうされましたか?」
人当たりの良い笑顔を作って応対しようとした陽明の右手を、ルロイが無言でがっしりと握りしめた。
ミシッ、という嫌な音が陽明の骨から鳴る。
「痛ッ!?る、ルロイさん?これは一体……」
「星殿の最期の言葉……私は、あれが負け惜しみの嘘には聞こえませんでした」
ルロイは静かに、しかし有無を言わせぬ圧力で陽明の手を締め上げた。
「万が一ということがあります。今夜は、あなたがどこへも行かぬよう、私がここでお祈りにお付き合いいたしましょう」
(しまっ……力が、強すぎる……!)
陽明は必死に手を振りほどこうとしたが、万力よりも強いルロイの握力から逃れることは絶対に不可能だった。
(なんてことだ、まさか僕の行動を物理的に封じに来るとは。しかし……襲撃の実行役をドレイクさんに任せておいて正解でしたね。僕が動けなくとも、明日の朝には針さんの死体が転がっているはずだ)
痛みに顔を歪めながらも、陽明の脳内では明日の盤面の計算がすでに始まっていた。
- 92二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 11:02:38
針が謎の強キャラ感を出してて笑ってしまう
- 93◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 11:02:49
【四日目 夜】
カビの異臭が館の廊下に染み付いた、不快な夜だった。
房石陽明は自室の椅子に深く腰掛け、骨が軋むような右手の痛みを感じていた。
ルロイ修道士の万力のような握手は、数時間が経過した今もなお、陽明の自由を奪い続けている。
「……随分と熱心な祈りですね、ルロイさん。僕のようなしがないバイク乗りのために、一晩中付き合ってくださるとは」
陽明は人当たりの良い笑みを浮かべながら言った。
ルロイ修道士は、陽明の右手をがっしりと握ったまま、穏やかな眼差しを崩さない。
「ええ。あなたの魂が、これ以上道を踏み外さぬよう。こうして手を取り合うことも、一つの救いになると信じています」
陽明は内心で舌打ちをした。ルロイの能力によって、今夜も自分は部屋から一歩も動くことができない。
だが、盤面はすでに詰んでいる。
残っているのは、自分とドレイク、そしてヴァレンタイン、ルロイ、愛歌の五人だけだ。
今夜ドレイクが誰か一人を仕留めれば、明日の朝には人狼側と村人側の人数が並ぶ。
そうなれば、このゲームは実質的に自分たちの勝利だ。
「ドレイクさん。……後は、あなたに任せましたよ」
陽明は心の中で、もう一人の仲間に呼びかけた。
- 94◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 11:03:50
一方、そのドレイクは、マントを翻しながら廊下を忍び歩いていた。
彼女の電波探知能力は、この静寂の中に潜む一人一人の存在を正確に捉えている。
「ふははは……!ついにこの私が、決定的な悪行を成し遂げる時が来たようだな!」
ドレイクは自らを鼓舞するように小声で高笑いした。
彼女が狙いを定めたのは、ファニー・ヴァレンタインの部屋だ。
あの冷徹な指導者を排除すれば、村人側は完全に瓦解する。
ドレイクはドアの前に立つと、ニケとしての驚異的な膂力で、鍵のかかった扉を音もなく押し破った。
暗闇の中、ベッドに横たわるヴァレンタインの影が見える。
「悪いな、大統領。これもヴィランとしての宿命だ!」
ドレイクは渾身の力で、その影を粉砕した。
しかし。
「……我が心と行動に一点の曇りなし。すべてが正義だ」
聞き覚えのある声が、ドレイクの背後から響いた。
- 95◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 11:04:43
驚愕して振り向いたドレイクの視界には、砕け散ったベッドの残骸と、そこから這い上がる奇妙な「別の自分」を挟み込みながら、平然とした顔で立つヴァレンタインの姿があった。
インチキ能力発動:D4C(ファニー・ヴァレンタイン)
死亡する判定を受けた瞬間、彼は隣り合う世界の自分と入れ替わることで、その死を無効化した。
「な、なんだ!?今、確かにお前を倒したはずだぞ!」
ドレイクが絶叫する。
「君の攻撃は確かに私を捉えた。だが、この世界には無数の『私』が存在する。一つの死が、私の終わりを意味するわけではない」
ヴァレンタインは冷静に銃を構えた。
ドレイクは本能的な恐怖を感じ、窓を突き破って中庭へと逃走した。
追撃は来なかったが、彼女の襲撃は失敗に終わった。
- 96◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 11:05:52
インチキ…糞
【ペ・ヨンベ】
能力名:シルムの豪腕
効果:ゲーム中1回のみ、昼の処刑投票で自身が処刑されそうになった際、その決定を「物理的に投げ飛ばして」無効化し、その日の処刑者をなしにすることができる。
【房石 陽明】
能力名:盤面操作の弁舌
効果:ゲーム中1回のみ、昼の処刑投票の結果を言葉巧みに誘導したという扱いで、任意の生存者1名に処刑先を変更できる。ただし能力を使用した事実は全員に公開されるため、翌日以降のヘイト管理が極めて難しくなる。
【ドレイク】
能力名:ヴィランの電波探知
効果:毎晩、任意の生存者1名が「何らかの能力の対象になったか(人狼の襲撃や占いの対象など)」を電波で探知できる。対象になったことしかわからず、何の能力かは不明。本人は悪事のための索敵のつもりだが、結果的に村の推理に大いに役立つ。
【チョコラータ】
能力名:グリーン・ディ
効果:自身が昼の投票で処刑された場合、自分に投票した者の中からランダムで1名を「カビによる道連れ」にして共に死亡する。高い位置から相手を見下すことにこだわるため、自身が下(墓地)に落ちる時に発動する。
【ディアボロ】
能力名:終わりがないのが終わり
効果:人狼の襲撃や昼の処刑で死亡した場合、即座に退場せず「無限に死に続ける過程」を味わうため、翌日の夕方までゲームに留まる。その間は発言可能だが、投票権や能力行使権は失われる。ひたすら怯えと苦痛の悲鳴を上げ続けることになる。
【星】
能力名:ゴミ箱漁り
効果:ゲーム中1回のみ、夜の行動時に「墓地(死亡者)」の中から1名を選び、その者の本当の役職を漁って確認することができる。 - 97◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 11:06:57
【針千鈞】
能力名:黒い鉤爪
効果:ゲーム中1回のみ、夜の行動時に任意の1名を攻撃できる。相手が人狼陣営であれば討伐できるが、村人陣営であった場合はなぜか術式が不発に終わり、誰も死なない。(粗暴だが実は無害な不発能力としての調整)
【ルロイ修道士】
能力名:万力の握手
効果:毎晩、任意の1名に握手を求めることができる。握手された対象は、その温かさと強烈な圧力により、その夜の役職能力およびインチキ能力が一切使用できなくなる。
【楠ハナコ】
能力名:セレブの悪趣味
効果:ゲーム中1回のみ、昼の議論開始時に多額の財力を使って「昨日の誰が誰に投票したかの内訳」を全員に公開させることができる。盤面を混乱させ、無様な疑心暗鬼を見物するための能力。
【ファニー・ヴァレンタイン】
能力名:D4C(いともたやすく行われるえげつない行為)
効果:ゲーム中1回のみ、夜間に自分が死亡する判定を受けた際、別次元の自分と入れ替わることでその死を無効化し生存する。
【沙条愛歌】
能力名:退屈な全知
効果:ゲーム開始時点で「全員の役職とインチキ能力」を完全に把握している。しかし本人は致命的にやる気がないため、自分から直接的な正解やヒントを言うことは禁じられている(明確な答えを言うと退屈で自ら消滅し敗北扱いになる)。他者の推理に気だるげに相槌を打つことしかできない。
人狼:房石陽明、ドレイク、ディアボロ
狂人:楠ハナコ
占い師:星
霊媒師:ペ・ヨンベ
騎士:ルロイ修道士
村人:チョコラータ、針千鈞、ファニー・ヴァレンタイン、沙条愛歌 - 98◆3EE6ZOYUh5J126/04/07(火) 11:08:36
- 99二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 11:12:23
今は人が少なそうだからやるにしても夕方安価の方がいいかもしれないね
- 100二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 12:33:09
おもしれーよ
- 101二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 13:51:33
ルロイ修道士強すぎぃ〜〜〜っ
- 102二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 14:16:33
原作が人狼系だから強いっすね房石陽明
- 103二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 16:09:09
なんじゃこのディアボロのクソみたいなインチキ能力は