蔵人が仕込みタンクに転落して死亡=繰り返される悲劇を食い止める手立てを | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

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 数日前の話になります。
 1月20日(火)の夜、島根県松江市にある國暉酒造さんの酒蔵内で蔵人の兼折忠明さん(65歳)が仕込み用タンクに転落して亡くなるという事故が起きました。

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 高さ2メートル、直径1.1メートルの仕込みタンクの中の醪(もろみ)の様子を一人で見に行って遭難されました。
 酵母はアルコールを醗酵させる際に大量の二酸化炭素も発生させます。
 二酸化炭素は酸素よりも比重が重いので、醗酵中のタンクの醪水面からタンクの最上部までの空間はほぼ100%が無酸素状態です。
 ですから、誤って醪の中に転落すれば、溺死ではなく、完璧な窒息死が待っています。
 落ちた時に息を止めたまま水面上に浮き上がり、そのままタンク上部の端につかまるなり、仲間に引き上げてもらう(息を止めている間に)という幸運(たまにそういうこともあるそうです)がなければ、助かる術はありません。

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 転落にも「滑ってしまって」というハプニングもありますが、むしろ、タンクに顔を近づけすぎて、タンクからあふれかえっている二酸化炭素を吸って、一瞬、目の前が眩んで落ちるということもあるようです。
 空太郎も、以前、親しい酒蔵さんの仕込みタンク見学の時、醗酵の香りに誘われて、顔を近づけすぎたことがありました。
 その時の衝撃はすごかったのです。
 目と鼻をガツンと殴られるような衝撃を受け、次に猛烈に咳き込み、鼻は曲がり、目からは大量の涙が放出され、回復するのに優に数分がかかったのを覚えています。
 ほんのわずか高濃度の二酸化炭素を吸っただけでこの有様です。
 (蔵元さまにはめちゃくちゃ怒られました)

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 物を作る「工場」という場所はどんな業種であれ、危ない場所はあります。
 酒造工場においては間違いなく、一番危険なのは仕込みタンクの上、ということになると思います。
 一年間に日本全国で何人もの方がかけがえのない命を失っているのです。
 空太郎の大好きな「一白水成」を醸す秋田の福禄寿酒造さんの蔵元兄弟の弟であった渡辺良衛さんが、昨年2月弱冠24歳にして命を落とされたことは以前ブログで書かせていただきました。

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 こんな痛ましい事故が頻発すると、大企業であれば、必ず「同じ事故が起きないような安全対策」を講じます。
 ところが中小の酒蔵さんはいかがでしょうか。
 すべての蔵を見学したわけではありませんので、なんともいえませんが、同じ悲劇が後を絶たないということは、業界全体で同じ事故を防ぐ手立てが確立されていないことの証です。

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 タンクの上部に転落防止のネットをはり、櫂入れや泡消し、上槽などの作業の時だけネットをはずすというような対策を立てるのは無理なのでしょうか。
 現場に詳しくない空太郎があれこれほざくよりも、是非、酒蔵で働いている方々が知恵を出し合って、不幸の連鎖を断ち切ってほしいのです。

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 春の皆造(季節の酒造りが完了すること)の時、蔵で働く方々が全員元気で、ニコニコしながら醸された美酒に酔う。
 すべての酒蔵でそういう光景を見たいと心より願います。

*写真は國暉酒造さんの蔵のではなく、他の複数の酒蔵さんのタンクの写真を使いました。記事とはまったく関係ありません。
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