Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

氷河期世代の僕から新社会人の皆さんへ(お祝いの言葉)

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新社会人の皆さん、おめでとうございます。怠惰で長すぎる学生生活を終え、いよいよ社会という舞台に立つ皆さんの姿を想像して、僕自身、新しい仲間を迎える喜びと、玉突きで追い出されるのではないかという不安で胸がいっぱいです。

かつてない人手不足、空前の売り手市場をたいした努力もせずに勝ち抜いた皆さんです。自信と期待に満ち溢れ、不安はないでしょう。思い通りにいかないこと、壁にぶつかることがあっても、皆さんは「ここではないどこかへ行けばいい」と気楽に考え、悩むこともせず、壁に登ろうともしないでしょう。だって他にいくらでも行く場所があるのですから。皆さんはそれくらい恵まれた世代なのです。うらやましいかぎりです。嘘でもいい、一度でもいい、失敗を恐れる姿を見せていただきたいものです。

さて、企業は(特に大手一流企業は)新社会人の皆さんを好待遇で迎えています。なかには初任給が40万円以上という人もいるでしょう。就職氷河期世代が10年かけて辿りついた給与水準に初日で辿り着いているのです。入社式を報じたニュースで「高い給与が入社理由でした」「この給料に見合う働きをしないと(笑)」とインタビューに応じる新社会人を目にしました。ここではっきりさせておきましょう。皆さんがその給与に見合っているわけがありません。コスパ最悪です。「優秀な人材確保のために給与設定を高くした」という採用担当者の言葉は建前です。「こんな高い給料は払いたくない。穴を埋めるためには仕方ない」が彼らの本音なのです。皆さんの価値や才能や評価が高いのではなく、社会が沈んでいるのです。難易度がベリーイージーになっているだけなのです。時代が異なれば、到底、超大手企業に入れないレベルの人でも超人材不足の状況ゆえに入ることが出来ているのです。くれぐれも才能や努力ではなくただただ時代と幸運に恵まれたことを忘れないでください。

これからの時代は、変化がますます加速していきます。私たち50代が若い頃には想像もできなかった技術や働き方が、今では当たり前になりました。そんな時代だからこそ、皆さんの柔軟な発想や吸収力が、組織にとって小さな力になります。自我や感情を抑えて、生成AIと対話しながら前に進んでください。

さて、ここまで厳しい話をしてきたのは、恵まれている皆さんに警告をするためです。良い話のあとには必ず悪い話が待っています。僕は子供の頃から絶好調の日本とノリノリの大人と社会を見てきました。自分もバブルでぴょんぴょんダンスする明るい未来を見ていました。

しかしバブルは弾け、就職する前後から就職氷河期がはじまりました。希望の仕事はおろか何十社にエントリーしても面接までたどりつけない時代でした。学生時代に学んだこと、リーダーシップ、積極性、ボランティア、目を引く履歴書の書き方、面接トーク。それらの武器は時代の前ではあまりにも無力でした。僕はたまたま落ちこぼれませんでしたが、当時、うまくいかなかった仲間は今でもその影響を受けています。「失われた30年」は僕の世代の社会人時代とほぼ一致します。何も悪いことはしていないのに「失われた30年」に押し込まれてしまったのです。

ですから、皆さんには警戒してもらいたいのです。最高に良い条件で社会に出た皆さんは、実力以上に高く持ち上げられている状態です。僕には皆さんが、あるきっかけで突き落とされてぐちゃぐちゃにされてしまう危うさを孕んでいるように見えるのです。AIやロボティクスにこれから最も仕事を奪われるのは社会に出たばかりの皆さんでしょう。おそらく想像できない困難が皆さんの前途で待っています。だからこそ「疑うこと」を忘れないでもらいたい。社会、会社、人間関係、仕事について「これは大丈夫なのか」と疑うことが、危険を回避する皆さんの武器になるはずです。皆さんを高く評価している先人を疑うことからまず始めましょう。

厳しいことを言ってしまいましたが、皆さんのこれからの社会人生活が、実り多く、誇りを持てるものになることを心から願っています。皆さんの納税が僕の年金生活を守ることに繋がるかぎりは全力で支えていきます。本当におめでとうございます。(所要時間22分)お仕事エッセイ本を書きました。→