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「公益通報」を問う

警笛を鳴らし、組織の不正を暴く公益通報。通報者が「裏切り者」として報復されるケースが相次いでいます。その実態に迫り、制度のあり方を考えます。

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「闇をあばいてください」内容は警察不祥事 届いた内部告発文書

 「闇をあばいてください」

 そう記された差出人不明の内部告発文書が職場に届いたのは、2年前の4月3日のことだった。

 「タレコミ」を受けるのは日常茶飯事だが、この日は特別な印象があってすぐに開封した。

 差出人が貼った84円切手では送料が足りず、「せっかくだから」と不足分の10円を配達員に手渡して受け取ったからだ。

 中身は盗撮やストーカーなど、鹿児島県警職員の不祥事を告発する文書計10枚だった。

 「重みがあったんですね」

 札幌市のジャーナリスト、小笠原淳さん(57)は含みのある言葉で振り返る。

 単に重量超過していただけでなく、内容もずしりと訴えかけてくる――。

 その文書が届いた約2カ月後の2024年5月31日、送り主の鹿児島県警元生活安全部長は内部情報を第三者に漏らしたとして、国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕され、その後同罪で起訴された。

 24年6月5日の勾留理由開示手続きで「野川明輝本部長(当時)が県警職員の犯罪行為を隠蔽(いんぺい)しようとしたことが許せなかった」と動機を明かすと、多くの市民は「犯罪ではなく、公益通報なのでは」と疑問視した。

 野川前本部長は「隠蔽を指示した事実はない」と否定した。

 だが、小笠原さんは「どう考えても県警がきちっと捜査していないことや、隠蔽された不祥事を暴いてほしいという内容だった」と指摘。情報提供者への配慮から2枚目以降の中身は公表していないが、「公益通報にほかならない」と憤りを隠さない。

 逮捕から2年近くがたつが、いまだに元生安部長の公判は始まっていない。

 「何を打ち合わせているんですかね。捜査側としては、つじつまを合わせるのに時間がかかっているのかな」。皮肉交じりに不思議がる。

狙いは「警察官の萎縮」?

 鹿児島県警は23年3月以降に現職の警察官5人が相次いで逮捕された事態を受け、…

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