倭国の女王・卑弥呼が中国の皇帝から下賜された鏡ともいわれる三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)。魏志倭人伝に「汝(なんじ)の国中に示せ」と記された「銅鏡百枚」に相当するとの説があり、邪馬台国(やまたいこく)やヤマト王権の実態解明へ重要な鍵を握る。三角縁神獣鏡の研究は、長年にわたって神像など文様が中心だったが、「鋳バリ」という鏡に残るわずかな傷を追求する新たなアプローチが注目されている。研究の詳細は奈良県立橿原考古学研究所(橿原市)のアトリウム展で今月12日まで紹介されている。
三角縁神獣鏡は、文様を彫った鋳型に青銅を流しこんで作る。鋳型にひび割れがあれば、そこにも青銅が流れるため、鏡を鋳型から取り出した際に「バリ」として残る。三角縁神獣鏡を観察すると、文様とともに高さ1ミリにも満たない筋状の鋳バリがしばしばみられる。