インタビュー

第20回キミプリは終わらない、お別れにしない 松岡美里がキミに願うこと

聞き手・照井琢見
写真・図版
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 アニメ「キミとアイドルプリキュア♪」(ABCテレビ・テレビ朝日系)が1月25日、最終回を迎えました。

 キミプリのキャストが思いを語る連載「キミとキラッキランラン」も最終回。キュアアイドルに変身する咲良(さくら)うたを演じてきた松岡美里さんに、1年間にわたる収録を終えての思いを聞きました。

    ◇

「終わらないんだ」と思えた一言

 最終回となった第49話、うたちゃんの最後のせりふは「私とキミのステージ! 今はじまる!」でした。

 第1話「キラッキランラン♪キュアアイドルデビュー!」(2025年2月2日放送)で、キュアアイドルが最初に言ったせりふでもありました。

 第1話のときは、わくわくや、初々しさ。これからアイドルとして頑張る。そんな気持ちを出せたらうれしいと思って演じていました。

 最終話では、それまでから5年が経ち、アイドルになったうたちゃんとしての言葉。プロデューサーの村瀬亜季さんからは、「場数も踏んでいるだろうし、アイドルとしての自覚も芽生えて、心持ちが変わっている」といったことをお伝えいただきました。

 うたちゃんが「はじまる」と言ったら始まるんだ、という説得力。ステージを見に来てくれたキミをキラッキランランにするぞという覚悟。キミに対して、信頼してほしいと思える自信……。

 アイドルとしてのキャリアを積んできて、頼もしさを増した雰囲気が出るといいな、と思いながら演じました。

 最後の場面で「はじまる!」と言ってくれるのも、うれしいですよね。「終わらないんだ!」と。

思い出す「わんぷり」の先輩たち

 前作「わんだふるぷりきゅあ!」(24~25年放送)の最終回の収録にも、キラリンウサギとして参加していました。本編の収録が終わった後、いったんスタジオを出てから、「次回作のキュアアイドルです」という紹介を受けて戻りました。

 そうしたら、わんぷりチームの皆さんが、「わーっ!」と歓迎してくださいました。わんぷりの雰囲気を知っていて、気持ちの分かる人が次のキミプリを演じてくれるのが、わんぷりが引き継がれていくようでうれしい、という言葉もいただきました。

 その時も感動しましたが、キミプリが最終回を迎えるときになって、「先輩方はなんてすごいんだろう」と改めて実感しています。

 終わらないでほしい。寂しい。そんな真っ暗闇な気持ちも、少しはあったかもしれません。なのにわんぷりの皆さんは、キミプリを喜んで迎えてくださった。私も1年後、そんな先輩たちのようでありたいと思ったのを覚えています。

 「名探偵プリキュア!」に携わる皆さんも、すごくドキドキしていると思います。そんな皆さんを、わくわくした気持ちでお迎えしたい。今は心の底から、たんプリを楽しみにしています。

離れてても、ずっといっしょ

 ただ正直なところ、キミプリ最終回の台本を読む前は、本当に寂しかったです。ですが読んでいくと、その気持ちが少し軽くなったような気がしました。

 なぜかと言えば、キラキランドへと帰っていくプリルンやメロロンとお別れする場面で、うたちゃんが泣いていなかったからです。

 寂しそうにしているプリルンに、「離れてても、ずっといっしょ」と声をかけていました。その言葉に「大丈夫なんだ」と思えました。

 物語の中盤で、プリルンが思い出を封印したとき、とてつもなく寂しそうで、とんでもなく泣いていたうたちゃんが、今度のお別れは泣かなかった。

 いろいろな経験を経て、うたちゃんのアイドル性が大きくなったのかなと感じました。寂しさはもちろんあるだろうけど、それを表に出しすぎず、目の前のキミを安心させる。

 そこにアイドルとしての成長と言いますか、うたちゃんの中にある、強さやかっこよさが育ってきたのだと思いました。

挑戦する心をもらった

 作品で役を演じると、その役から「何かをもらっている」と感じることが多いです。

 「こういう考え方があるんだ」とか、「壁にぶち当たったときは、こんな方法で解決していたな」だとか。そうして学んだことが、ずっと私の中にあり、一緒に生きているという感覚があります。

 キミプリの現場で1年間うたちゃんを演じてきて、自分がもらった一番大きなものは、「挑戦する心」でした。思い浮かんだアイデアを、ちゃんとお芝居に出したい。1年間そう思っていました。

 具体的に言うと、「ここにアドリブが入れられる」とか、「このせりふの言い方を、工夫したい」とか……。私が演じるからこそ、出せるお芝居をしたい。

 そういった挑戦する心を、キミプリの現場では皆さんお持ちです。毎回皆さんのアドリブと向き合うのが、本当に面白くて楽しみなポイントでした。

 もしスタッフの皆さんに「ダメ」と言われたら、本番では変えればいい。先輩方の背中を見ていたら、失敗を恐れない気持ちになり、テストの段階から色々なアドリブに挑戦していました。

 キュアアイドルの変身シーンで、アイドルが「ニヒッ」と笑います。本当はその笑い声はありませんでしたし、変身の場面でアドリブはあまり入れるものでもないと分かってもいました。

 でも「やってみるか!」と思い、入れてみました。

 やはり最初の収録では「無しで」と言われたのですが、次の収録では「やっぱり入れていただいて」と言ってくださった。

 この挑戦は忘れたくないと思いました。それからも色々なところで、入れられそうなアドリブがあったら入れようと思って演じてきました。

 挑戦する気持ちがすごく大切で、ずっとこの先もそうでありたい。1年間で、大きく変わった心持ちだと思っています。

1年かけて、ベストフレンドに

 うたちゃんは、「尊敬できる友達が横にいる」という感覚です。

 キャラクターを演じるとき、最初はよく自分と似ている部分を探します。

 「この考え方が分かるな」と思うと、お芝居のとっかかりになり、「じゃあこういうときは私と同じ言い方をするかもな」「じゃあこういう風に演じていこう」と探していけるからです。

 うたちゃんの場合も、私は歌を歌うのが好きで、明るい人間で、声も大きくて……、もしかしたら、うたちゃんもそういうことがあるかもな、と考えながら、最初は「同じになれる努力」をしていました。

 時間をかけて向き合っていると、私には無い部分というのも、見つけられるようになりました。

 悩んだときは、すぐに解決策を出す。今すぐに実行できないことであれば、いったん寝る。そんな精神がすごく好きです。

 第7話「心おどる♪キュアキュンキュンデビュー!」(25年3月23日放送)で、アイドルプリキュアにはなれないと去っていった、紫雨(しぐれ)こころちゃんのことを考えるうたちゃんが、そうでした。

 「こころちゃんと話してみよう」。そう決めたら、「まずは寝よう!」と心を切り替えてすやすや寝る。その場面に感動しました。

 私は今まで悩んで考え尽くしてから、疲れて寝ることが多かったんです。疲れる前に寝ていい。そう教えてもらった気がして、悩んだときもいったん寝るようにすると、自分の心持ちが変わりました。

 朝起きてから物事を考えると、前向きに解決できるんですね。すぐに前向きになれるうたちゃんに、私も前向きにしてもらえました。

 私も見習って、うたちゃんのような人でありたい。そう思える、うたちゃんと私の関係性は、やっぱり「友達」という言葉が一番近いですね。

 一緒にいる時間が長いと、見えてくるものも多いですし、尊敬の気持ちも増していきます。1年をかけて、ベストフレンドになりました。

お別れにはなりません

 キュアアイドルのピンク色も、好きになったんです。私がプライベートで使うジュエリーボックスも、今までなら黒や白のボックスを選んでいたのが「ピンクだな」と選んだり、かわいいスカートやフリフリの服を買った後に、うたちゃんみたいだと気づいたり……。

 「しまむら」から毎年、プリキュアのなりきりワンピースが出ていますよね。

 あのワンピース、大人用を出してほしいです。おうちの中で着て、変身したい。それぐらい「なりたい欲」も募っているところです。

 幼い頃、テレビでプリキュアを見て、コスチュームを着ていたころの気持ちがよみがえっているのかもしれません。

 忘れていたようでも、SNSでプリキュアのグッズについての投稿を見かけると、「あんなことがあったな、こんなことがあったな」と、すごく新鮮な気持ちで思いだせる。頭の片隅の「思い出フォルダー」に残っているのだと思います。

 そういうとき、幼い頃に見ていたプリキュアも、私の中では「終わっていなかったんだ」と思えます。

 「離れてても、ずっといっしょ」。うたちゃんがプリルンにかけたこの言葉は、うたちゃんが「覚えていることが大切」だと思えるようになったから出た言葉なのかな、と私は解釈しています。

 思い出があれば、たとえどこにいても一緒だよ。そんなメッセージを感じ取りました。

 だから、キミプリを、キュアアイドルを忘れないで覚えていてくれたら、心の中に宝物としてしまっておいてくれたら、きっとそれはお別れにはなりません。

 これから始まる「名探偵プリキュア!」も楽しんでほしい。キミの中に、素敵な思い出を増やしていってくれたら、うれしいです。

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 次回から「名探偵プリキュア!」(ABCテレビ・テレビ朝日系、2月1日スタート)のキャストが登場し、思いを語ります。

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