【特集・里山WEEK②】 枯れるアカマツ「松枯れ」全国ワースト1位の被害 拡大する被害 対策が追い付かない… 伐採された木がギターに 再利用の動きも【長野】
里山について考え、理解を深めるテレビ信州「里山WEEK」。
「77分の53」、何の数字だと思いますか?
実はこの数字、長野県内77市町村のうち53の市町村で「ある被害」が確認されているという数字。
その被害というのが、松くい虫による「松枯れ被害」なんです。
松枯れの現状と伐採された木の再利用を考えます。
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北アルプスを望みながら、雄大な自然を満喫できるのは信州人の自慢のひとつ。
その一方で、現実を突きつけられる場所があります。
ディレクター
「長野自動車道筑北パーキングの近くです。高速道路からアカマツでしょうか。枯れた様子が山全体に広がっています」
長野県筑北村から麻績村にかけて、高速道路から見える山々ではアカマツが枯れ、山肌が見えています。
「松枯れ」。松くい虫によってアカマツが枯れてしまう被害が、信州に広がっています。
県内で初めて被害が確認されたのは1981年、旧木曽郡山口村(現在の岐阜県中津川市)でのことでした。40年以上が経ったいま、松枯れは県内53市町村に広がっています。そのほとんどが民有林で発生、被害量は5.5万立方メートルで全国ワースト1位、国内被害の約20%が長野県です(2023年度・民有林)。
中でも、麻績村や筑北村、塩尻市などを含む松本地域が県内における被害の4割近くを占めています(2024年度・県被害動向報告)。
塩尻市 農林部 耕地林務課 飯田直希係長
「年間でいきますと(塩尻市内で)昨年は1800本の被害を確認しております。年々1.5倍ペースで被害が拡大しているような状況になります」
塩尻市で初めて松くい虫の被害が見つかったのは2015年度。当初11本だった被害は、約10年間でおよそ173倍の1899本、市内ほぼ全域に広がっています。
市では、この現状を市民にも知ってほしいと、去年4月から被害状況を地図に落とし込み、情報の「見える化」に取り組んでいます。
塩尻市長畝の前山公園(標高732メートル)。人々の暮らしの中にある“小さな山”です。この日、市の職員が松枯れの調査に入りました。
パトロールする職員
「前回調査したのが10本でその後、8本ぐらい出てますね。このエリア」
付近には松枯れによって伐採された後の切り株が。管理するための番号が書かれています。
パトロールする職員
「これはAの711。これAの711のふた山目です かね」
被害を受けて伐採されたアカマツは、薬剤が入ったシートで密封されています。マツノマダラカミキリ、いわゆる松くい虫と呼ばれている虫を駆除するためです。(松枯れの直接の原因となるマツノザイセンチュウが体内に入ったマツノマダラカミキリが、周囲に被害を拡大させる)
松枯れを食い止めるには原因となる虫を駆除する、この地道な対策しかありません。
パトロールする職員
「(被害は)増えてますね。本当にあちこちで増えてるなっていうふうに感じてます。庭木の立派な松も枯れてるところを見 ると非常に悲しいですよね」
手にしているのは位置を測定するGPSの受信機。被害地点を登録し「見える化」された“あの地図”に反映させていきます。
被害は山の中だけではありません。松くい虫に蝕まれたマツは私たちの身近なところにも…。
県内での被害の拡大は、温暖化によって松くい虫の適応範囲が広がったことが原因とも言われています。
対策が追いつかない現状…。それでも、何とか食い止めたい。
塩尻市 耕地林務課 飯田直希係長
「県内で最先端の被害地である本市(塩尻市)の役目として、他の市町村、未被害の市町村の方に(被害を)行かせないという役割がありますので、そういった防除ラインのところを優先的に切って、少しでも他の所に広げないという意識で、今後もやっていきたい」
塩尻市では、近くで松枯れの心配がある場合は市(耕地林務課)に相談してほしいと呼び掛けています。