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鶏が先か、卵が先か/Novel by ときは

鶏が先か、卵が先か

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エミヤーズ、のただの会話。

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『鶏が先か、卵が先か』
 この解けない問いの代表格のような存在だった疑問は、悲しいかな半ば屁理屈のような解法により『卵が先』と言うことが確定してしまったらしい。今や宇宙の色だって実はベージュに近い色という夢のない研究結果が出ているので、しょうがないことではある。
 それとは関係なく、衛宮士郎は10個入り特売88円の卵を見つめながら考えていた。みんみんとうるさくセミの鳴く真夏の台所で。
「どうした、衛宮士郎。その卵は無精卵だからこんな暖かい所に置こうが孵化はせんぞ」
「そんなことは期待してない。なあ、アーチャー」
「何だ」
 腕を組んで顎に手を当てるという、誰かさんそっくりのポーズで考え込んでいた士郎が右斜め上、身長差にして20センチの所にある顔を見上げた。
「鶏と卵って、卵が先だよなぁ?」
「・・・・お前は私となんについて論じたいのだ、生物学か?発生学か?それとも哲学か?」
「別にそんなものを論じたいわけじゃないんだけど、ちょっと疑問があって」
 本当に孵化してしまいそうな、まあ無精卵ならそれは叶わないことではあるが、そんな気温の中でどこか似ている、全く正反対の2人は見つめあっていた。そんな表現をすれば片方はただ見上げていただけだと言うだろうし、もう片方は言葉の続きを待っていただけだと言ってくれるだろう。色気やらその当たり云々とは全く縁遠い2人である。
「アーチャーは、俺の未来の可能性なんだよな?」
「そういうことになるな」
「ということは未来から来た英霊って事だよな」
「今更何の確認がしたいのだ」
「じゃあさ、遠坂はどの時点の『座』にいたお前を呼び出したんだ?」
 この世界の時間軸の『えみやしろう』はまだ高校生で英雄のえの字にもかすりそうにもない存在だ。それにアーチャーとして呼び出された『エミヤシロウ』に深く関わり過ぎて、このまま成長した所で、このアーチャーとして呼び出された存在になることはまずないだろう。
 じゃあこのアーチャーとして呼び出された『エミヤシロウ』はどこから出てきたのか?平行世界とは全て違った時間軸で動いているのか?この世界での今は隣の世界では100年後でその隣の世界では1000年前なのだろうか。士郎はどうにもその辺りがずっと腑に落ちないでいた。
「・・・・・・・・・・・そうやって答えを出すのに途方もない時間が無駄に過ぎそうな疑問を思うより、さっさと親子丼を作ってしまえ」
 そうだ、この士郎の疑問は今夜の衛宮家の夕飯メニューが親子丼な所から発生した。鶏が先か、卵が先か。その答えは卵が先。じゃあアーチャーと士郎では、どちらが卵でどちらが鶏なのだろうか?そもそもどの時点までを卵というのだろうか?
 何気なく話題をそらしたアーチャーは親子丼に添える吸い物の具をあたるために冷蔵庫を開いた。これはもうアーチャーを呼び出した本人であるゼルレッチの宿題を遠坂の名にかけて当代で解いてみせると息巻いている遠坂凛その人に聞いてみるのが1番早いだろうが、一方で凡ミス・パーフェクトの名を不本意ながら戴いているここ一番でうっかりをやらかす家系なので本当にただのうっかりで第二魔法の何かに触れてしまったのかもしれない。
 とにかく、『えみやしろう』は相変わらず強化と投影以外の魔術についてからきしだという事だけは確認できたある夏の夕方であった。

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