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昨日、ランサーと別れた/Novel by 赤木

昨日、ランサーと別れた

18,365 character(s)36 mins

すでにくっついている槍弓の弓が別れ話をする話です。
でも、ラブな感じです。

黒弓(オルタ)、赤弓(アーチャー)、影弓(シャドウ)の三兄弟で、クー・フーリンのキャスター、ランサー、オルタの三兄弟設定です。
狂王黒弓、槍弓、キャス影弓でそれぞれ出来てます。

エミヤ兄弟が仲良しな話になりました。

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昨日の夜から降り出した雨は、朝になっても止むことなく降り続けていた。
平日の夕方にも関わらず、三つ離れた兄は数コールで電話に出た。
『どうした?』
「……今から、行ってもいいだろうか?」
馴染みのある低く落ち着いた声にどうしようもなくなり、自分でもひどく静かで平坦な口調になったことがわかった。
『行くも何も、ここはお前の家だ』
「……うん」
返した頷きは幼い子供のようだった。
『帰ってこい』
「うん」
それだけ言って、電話を切る。
兄はひどく現実主義でいっそ冷酷なほどに研ぎ澄まされた考え方をしている。感情があまり顔に出ないことと、肌の色から顔色すら伺えないこともあって冷血漢と言われ、本人もそれを認めている。しかし、知る者は少ないがそれは二人の弟たちには適応されないことが多い。
兄のオルタは、弟に甘いところがある。
弟たちはそれをよく知っていて、誰にも甘えることが出来ないから何かあれば兄に頼るのだ。


オルタは、玄関で迎えたすぐ下の弟であるアーチャーの顔を見て顔を顰めた。よほど酷い顔をしているのだと、自嘲するように少し笑う。
「仕事は?」
「しばらく休暇を取らされた。ご覧の有様でね、仕事は出来ていたつもりだが押し切られてしまった」
「……」
オルタはそれ以上何も言わず、ついと顎を部屋の中に向けてその中に入っていった。玄関で話していても仕方ない。アーチャーもそれに倣って靴を脱ぐ。
久しぶりに帰っても、部屋は変わりないように見えた。末の弟と三人で暮らしていたままだ。
「飯は?」
「……まだ」
「先に風呂に入ってこい」
傘を差してはいたが歩いてきたアーチャーは少し濡れていて、それに体は冷え切っていた。目ざとい兄はそれに気付いているのだろう。冷えているのは体だけではないことも。
「その間に飯を作ってやる」
「うん」
子供のように頷くアーチャーにオルタが短く息を吐く。
もしかしたら、子供の時分にだってしっかり者のアーチャーがこんなに頼りない返事をしたことはなかったかもしれない。
動かない弟にオルタは近づき、そのうっすらと濡れた白髪の頭をぐしゃぐしゃと乱暴に撫でまわした。上げていた前髪が下りて、一気に幼くなる。そうして前髪で顔が隠れたアーチャーは小さく兄の名を呼んだ。
「……オルタ」
「何だ?」
「昨日、ランサーと別れた」
アーチャーの口から出た言葉は、短いわりに重く沈んで聞こえた。静かな口調だったが、昨日からその一言を吐き出すためにこの弟が見えない心の中でどれだけ苦しんだが、また苦しんでいるのか、オルタにはよくわかった。
「そうか」
だから、その一言だけで答えてアーチャーを再び風呂へと促した。

Comments

  • 羊たん
    July 23, 2021
  • メヒカリ

    好きでーーーす!

    February 14, 2021
  • バンバン
    January 3, 2021
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