中国の大学で外国語専攻の廃止相次ぐ “AI翻訳”の機能向上、減少する求人…学生に戸惑い
北京の大学で日本語を専攻する楊さん(21)=仮名=は民間企業で働く知人に進路の相談をすると、こう言い切られた。「語学力だけではいい就職先は見つからない。大学院では金融など別の分野を専攻した方が良い」。楊さんは「突然金融を学べと言われても…」と戸惑いを隠せなかった。 ■中国のデリバリーで届いた「うな丼定食」850円【写真】
中国では近年、語学の専攻を廃止する大学が相次いでいる。中国メディアによると、2023年には中国科学技術大(安徽省合肥)が英語など六つの学部専攻の廃止を発表。24年以降、北京語言大が修士課程から日本語やロシア語の翻訳専攻などの募集を、華東師範大(上海)がドイツ語専攻などの募集をそれぞれ停止した。今年3月には中国伝媒大(北京)が翻訳など16の学部専攻を廃止したと明かし、衝撃を持って伝えられた。 □ □ 「最近の若者は内向きになっている」という声も聞くが、話はそう単純でもないようだ。
人工知能(AI)の機能向上により、翻訳や外国語を話せる一般行政職などの求人が減少。中国メディア「潮新聞」はAIの急速な発展を受け、多くの大学が外国語専攻でも社会科学や工学技術も学ぶ「外国語+」の取り組みを進めていると指摘する。言語を「手段」として他の専門分野と組み合わせることで、競争力が高いグローバル人材を育てる狙いだという。 □ □ さらに中国では過当競争を勝ち抜くため、幼稚園や小学校低学年から英語を学ぶ子どもが多い。高校卒業までに流ちょうな英語を身に付け、大学では別の言語や専門に取り組む学生も珍しくない。潮新聞は、中国で英語への翻訳を手がける女性の「ファンタジー小説などは翻訳が難しく、まだ人間が翻訳しているが、一般的な翻訳はAIで完全に対応可能だ」という話を紹介している。
世界の多くの企業がAIを活用した業務効率化で人員削減を進めている。中国では、それに不景気による採用の抑制が加わり、就職難は深刻だ。中国の大学は積極的に対応しているとも言えるが、学生たちの負担とプレッシャーはますます膨らんでいる。
西日本新聞社