トリシールの業務

Public 1277views 2 23 601
2021-05-28 23:51:19

ドッタ・ルズラスという男の行動を管理するのは、とてつもなく困難な仕事だ。
時に不毛ではないかと思わされるときもある。

トリシールが雇われている目的は、ドッタ・ルズラスの盗癖を制御するということだ。
おそらくそれは不可能ではないかと思う。
あの男が盗んできたものを探り、その品目リストを作り、返済または原因追及または叱責しているだけで一日が終わる。

(この考えがよくないな)
トリシールは書きかけの報告書を前にして思う。
文字の読み書きは得意な方ではない――傭兵団をやっていた頃は、元神官の事務屋に任せていた。この点については屈辱的なことに、ドッタ・ルズラスからいくつかの文字や語法を指摘されたこともある。

(先手を打たねば。やつの行動を徹底管理する必要がある)
自分にはそこにいない相手を見る《聖痕》があるが、それも後手に回ることが多い。
(次から手錠で確保を試みるか)
トリシールは手錠を取り出してみせる。これで手首を拘束しておくのは悪くない考えだ。ドッタの休暇中の行動には常に随行する必要があるものの、仕方がない。
(外出時には、次から常にこれだ)

彼女はまだ理解していない。
おそらく世界最高峰の盗人であるドッタにとって、手錠など単なるアクセサリーの一種にしかすぎないということを。
そして普段、彼が手錠と監禁でおとなしくしているのは、単に外に出るのが億劫な気分であるだけだということを。


Press the Nice button to this post.


© 2026 Privatter All Rights Reserved.