「よっしゃ!」
オレは渾身の勢いでカードを叩きつけた。
サイコロの目は最高だった。これしかないという出目を、やつらに叩きつけてやった。
「オレの勝ちっスよね? おら、さっさと金をよこしな。そうじゃないとウチの兄貴が黙ってないっスよ」
いつもの脅迫。軍票をかき集める。
時間は深夜を回っている。同室のドッタさんはすでに眠っているだろう。かわいそうに。
オレに言わせれば、時間とは寿命だ。寿命を眠ることで消費するなんて正気の沙汰じゃない。寿命と睡眠を交換できるとすれば、死の間際の爺さん婆さんは喜んで寿命を選ぶだろう。
それなのに、進んで眠りに時間を費やすとは――どうかしているとしか思えない。
「どうっスか? みなさんもう一勝負。いますぐじゃなくてもいいっスよ。金借りてきても」
オレはサイコロを右手で転がし、カードを左手で弄ぶ。
「オレ、確実な勝ち目のないゲームが好きなんスよね」
いま怖いのは、ただ一つ。
帰り道でジェイスに遭遇すること。あの男がニーリィを連れていた場合、容赦なく金が巻き上げられることになる。すべてはニーリィの食費や、装飾品に変えられてしまうだろう。
密かに兵営に帰還する方法を、オレは頭の中で練り始めた。