中国、VPN使用の男性2人が処分 事実上黙認の当局、規制強化か

上海=里見稔
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 欧米の主要ウェブサービスへのアクセスが遮断されている中国で、VPN(仮想専用線)を使った違法アクセスに対する摘発が相次いでいる。これまで事実上黙認されてきたVPNの利用だが、ネット空間の締め付けが強まっているとみられる。

 明らかになったのは2件。いずれも湖北省の公安当局が11日、VPNを使って違法に海外のウェブサイトにアクセスしたとして、同省の男性2人に処分を科したと発表した。

 発表や香港メディアによると、1人は8日、自宅で「Clash」と呼ばれるVPNサービスを使い、スマートフォンで動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」とSNS「X(旧ツイッター)」を閲覧したとされる。もう1人の詳細は明らかにされていないが、1月28日に警官10人以上が自宅に踏み込んで摘発したという。

 それぞれ警告および、200元(約4600円)と500元(約1万1500円)の罰金が科せられたほか、インターネットへの接続停止が命じられた。いずれも根拠となっているのはネットワークの国際接続を規制する同じ法律だった。

 中国では「グレート・ファイアウォール(ネットの万里の長城)」と呼ばれる検閲システムが海外からの情報流入を厳しく制限しており、グーグルインスタグラムなど欧米系の主要サービスも通常はアクセスできない。多くの外国人や中国人が規制をかいくぐる「壁越え」のためにVPNを使っているのが実情で、当局も事実上黙認してきた。

 昨年8月にも湖北省武漢市の男性が摘発されるなど、まれに事案が公表されることはあったが、一度に2件が明らかになるのは異例だ。

 一方、3月8日の事案に関する発表は公安のウェブサイトからすでに削除され、閲覧できない状態となっている。中国国内の主要メディアはこれらの件の報道を控えている。

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この記事を書いた人
里見稔
上海支局長
専門・関心分野
中国社会、日中外交、安全保障
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    倉田徹
    (立教大学教授=中国・香港政治)
    2026年3月20日10時37分 投稿
    【解説】

    VPNがなければ、中国大陸からは「朝日新聞」を含む日本メディアのサイトの大部分などにもアクセス不能ですので、中国に滞在する日本人にとっても大きな支障となり得ます。  他方、「改革・開放」の中国が、完璧な情報鎖国を目指すことはできないでしょう

    …続きを読む

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