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昼寝してたらドリームジャーニーがめっちゃ見てくる/Novel by ニトログリセリン

昼寝してたらドリームジャーニーがめっちゃ見てくる

2,085 character(s)4 mins

こういうキザっぽいのはイケメンが言うから良いんですよ。

こっち見んな

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「………………」


「………………………」


 雨が強く打ち付ける昼頃、いつものように俺は眠りについていた。


 一言で言うと、過眠症だ。


 学生時代から授業中も爆睡し、トレーナーになってからも満足に寝たのにウトウトしてしまう事がある。


 そんな事を避ける為に、何も無い昼休みの30分を必ず昼寝時間として使うようにした。ソファーに仰向けに寝転がり、少し目を閉じるだけで意識が闇へと落ちていく。


 本当は昼休みも色々したい事があるのだが、この昼寝を欠かすと、他者に迷惑を掛けてしまう。だからこそ、苦肉の策なのだ。


「…………………………」


 気付いたのは、ふと目を覚ました時だった。


 瞼の裏からでも分かる蛍光灯の光が何かに阻まれ暗くなる。覗き込まれているようだ。



 不意に芳醇な濃い香りが届く。



「……じゃーにー?」


 鼻腔をくすぐるこの香りは、彼女のトレーナーになってから幾度となく傍で感じた物だ。


「……おや、起きてしまわれましたか」


 そう言うとジャーニーは曲げていた腰を伸ばし、覗き込むのを辞めた。


「…ぅん、今起きふぁ……」


 ジャーニーの前で大きく欠伸をしてしまった。はしたないなど思われてしまっただろうか。


 
「あ、ごめん…」


「いえ、


 欠伸で零れた涙が伝った頬を、不意にジャーニーが触れてきた。零れた雫を掬うように、指でスリっと目尻を撫でられる。


 驚き固まっていると、ジャーニーが口を開く。


「……先程まで眠っていた様ですが、よく私だと分かりましたね、…もしかして狸寝入り…ですか?」


「いや、普通に寝てたよ、それはもうぐっすり」


「では、何故私だと?」


 ジャーニーに嘘は通じない。言葉を飾るのも偽るのも誇張するのも、ジャーニーには見破られてしまう。


 だから、ハッキリ、自分の言葉で。



「…俺の好きな、君の匂いがしたから」



「…そうですか」


「うん」


「……そろそろ昼休みが終わりそうなので、失礼します」


 するとジャーニーはくるりと後ろを振り向き、そのままトレーナー室を出て行ってしまう。


「……何か用事があったんじゃ無いのかな」









「…………」


 昼休み、私はトレーナー室へと足を運ぶ。特に何か用がある訳では無いが、たまにはトレーナー室で過ごしたい……言わば、気分転換。


 扉をひらくと、ソファー上に寝転んでいるトレーナーさんが見える。どうやら寝ているようですね。


「…トレーナーさん」


 呼びかけてみるも返答は無し、本当に眠っているようですね。


「……トレーナーさん」


 ぐい、と顔を近づけてみる。普段は見上げなければいけないものが、私より下にある。


 それは、情け深い、素直な人。


 それは、私にとって望ましい人。


 それは、私の───





「……じゃーにー?」


 不意にトレーナーさんが私の名前を呼ぶ。いつもより柔らかい、可愛らしい声。


「……おや、起きてしまわれましたか」


 トレーナーさんが起きて下さった嬉しさと、ほんの少しの残念が入り交じる。


「…ぅん、今起きふぁ……」


 ふぁ、と無防備に欠伸をするトレーナーさんに、ほんの少しの劣情が募る。えぇ、ほんの少しだけ。


 自らの意思を制する様に他へ意識を向けると、目尻から頬を流れるきらやかな水滴に吸い寄せられてしまった。


「あ、ごめん…」


「いえ、構いませんよ」


 トレーナーさんの頬に手を添え、目尻の水滴を拾う。こんなただの水分が、トレーナーさんが関わるだけでこんなにも美しく見える。


 やはり貴方は、凄いお方だ。


「……先程まで眠っていた様ですが、よく私だと分かりましたね、…もしかして狸寝入り…ですか?」


「いや、普通に寝てたよ、それはもうぐっすり」


「では、何故私だと?」


 苦し紛れに、即興の質問をトレーナーさんへ投げかける。トレーナー室に来る人なんて、大方担当に決まっている。


 トレーナーさんも、例によって例のごとく───




「…俺の好きな、君の匂いがしたから」




「…そうですか」


「うん」


「……そろそろ昼休みが終わりそうなので、失礼します」


 そう言って私は足早にトレーナー室を後にした。今となってはほんの少し…いえ、とても後悔をしています。


 もしもあの時、無意識に上がる口角を隠そうとせず、トレーナーさんに、私の言葉で伝えられていたら…。





「やはり貴方は…」


 扉を背に、顔を覆いながら言葉を零す。


 幾度となく共にした、トレーナーさんと同じ匂いを胸に秘めながら───。

Comments

  • ああああ

    良馬場すぎる。大好き💕

    July 15, 2024
  • レイヴンもどき

    式場の建設地はここか?

    July 14, 2024
  • ROXA

    あっあっあっ

    July 11, 2024
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