『堕天作戦』作者、山本章一の驚きの洗脳力に社会はどう立ち向かうべきか
はじめに
人気漫画『堕天作戦』の作者は、教え子を無理やりスカトロ調教し人生を破滅させた、最悪の性加害者だった――
このニュースが流れた直後、ネットは一斉に沸き立ち、怒りと糾弾で埋め尽くされた。漫画家たちは団結し、被害者に寄り添い、版元の小学館に真摯かつ誠意ある対応を求めた。
しかし、ひと月たった今、話題にする人は少ない。山本章一を社会的に破滅させることには成功したし、もはやこれ以上できることなど何もない、もう終わった話だと考えているのだろう。
だが、その理解は誤っている。世間はどれほど山本章一が危険な人物なのかまったくわかっていない。しかも「社会的に死んだ」というのは裏を返せば、彼が「無敵の人」になったということを意味する。理性のブレーキを外された状態で、彼は今も自由に街を歩ける立場にある。
本稿では、まず私自身の調査をもとに、彼がどれほど強力な洗脳おじさんなのかを明らかにする。そのうえで、現時点でも未だ彼を豚箱にぶち込み、安全に社会から隔離する法的手段が残されていることを確認したい。
洗脳おじさん山本章一
そもそもなぜ、被害者のAさんは卑劣な性加害者にスカトロ調教される羽目に陥ったのだろうか。 ミソジニストの小山(狂)は、「関係が3年以上と長期だから通常の交際関係と見るのが妥当」などと被害者を愚弄するような妄想を書き連ねているが、取材に基づく確かなメディア報道を読めば、こんなものはデマでしかないことがすぐわかる。Aさんは山本章一の強力な洗脳術により、長きにわたり助けを求めることができない状況に追い込まれていたのである。
・洗脳に近いようなことが行われていた。被害が続くにつれ、抵抗する気力はどんどん無くなっていった。当時は「自分のせい」と思い込んでいた。
・高校3年間おとなしくしていれば、全部なかったことになるって思った。
・被告による巧妙なグルーミングを受け、周囲から孤立させられ、性的関係を受け入れざるを得ない心理状態となった(朝日新聞)
・私を家族から孤立させるように仕向けました。自分しか味方がいないように思わせるのがとても巧みでした(週刊文春)
・怖かったと伝えた生徒に対して否定的な反応を示すことで、Aさんが被告に逆らえない心理状態を徐々に作り上げていった(弁護士JP)
Aさんの過去発言の存在
ただこれらのメディア報道で、世間が山本章一の恐ろしさを理解したというと、大いに疑問が残る。事件当時の証言から辿ってはじめて理解できることが多々あるのである。今知られてる事実だけでは、真に山本章一という悪と立ち向かい、新たな犠牲を防ぐことはできない。
ここで事件を深く理解する助けとなるのが、小山(狂)が報じたことでよく知られるようになった、被害者のAさん本人と思われるTwitterアカウントである。
すでに削除されたアカウントであるものの、ネットに相当量のログが残っており、このアカウントの運営者が、Aさんが通っていた北海道芸術高等学校にAさんと同学年で在籍していたこと、2020年2月に児童ポルノで逮捕された高校講師からスカトロ行為含む性加害を受けていたこと、この2点が判明している。Aさん自身のアカウントとみて間違いないだろう。
AさんのSNS記録から見えてくる山本章一の洗脳技術とは――疑似人格の植え付け、認識改変、虚偽記憶の挿入――まるでマンガの世界の洗脳おじさんのようで現実感なく感じられるかもしれないが、これこそが山本章一の恐ろしさである。
以下では、現実の脅威として山本章一を理解するために、アカウント名を伏せる等、Aさんのプライバシーに配慮しつつ、必要範囲でAさんのSNS記録を分析していく。
洗脳術1: 疑似人格の植え付け
山本章一による性行為の強要は2016年の冬から始まったとされる。
当時のSNSの確認から始めよう。まずSNSプロフィールから。
こんにちは。日常と絵と言葉。骨まで焦げるような熱い恋をお届け。アクリルと透明水彩と油絵で、柔らかく刺激的に。裏サンデーの堕天作戦がすき。
この頃のツイートは多くが消えてしまってあまり残ってはいないものの、確認できる中では堕天作戦語りの分量がかなり多いのが印象的である。
ほか、消えてしまって内容は確認できないものの、堕天作戦のファンアートも数多く発表していたようである。
また、未読のフォロワーに対する『堕天作戦』布教活動も熱心に行っていた。
プロフィール文を踏まえると、Aさんは、性加害者の作品『堕天作戦』を通して、「骨まで焦げるような熱い恋をお届け」していたこととなるが…
自分以外の被害者を生みたくないと、身を捨てて裁判を戦い抜いた高潔なAさんが、凶悪な性加害者の漫画を周囲に布教するなどありうるのだろうか。それともすべて宣伝は強要されたものであったのだろうか。
ここでヒントになるのが、性加害の後遺症としての解離性同一性障害、いわゆる二重人格である。弁護士ドットコムの判決詳報を読む限り、札幌地裁の認定事実には含まれなかったようであるが――、かの週刊文春記者は取材中「突然別人格が現れた瞬間」があったと証言している。裁判官が何を言おうが解離性同一性障害の発症は事実と見て間違いない。
Aさんは、性加害の瞬間を生々しくこう語る。
つらすぎて、その最中は、なるべく何も感じないように、自分の意識を遠ざけて感じない状態になろうとしました。自分の心の中から、自分の意識そのものが追い出されてしまうような感覚がありました
山本章一は、卑劣な性加害によって、Aさんの人格を粉々に破壊した――、そしてその空いた隙に、堕天作戦の宣伝活動を自ら進んで行ってくれるよう精巧にプログラミングされた疑似人格を植え付けた。
Aさんの過去発言と現在の証言を矛盾なく解釈するには、こう考えるしかないのではなかろうか。
とすると、「周囲から孤立させられ」「自分しか味方がいないように思わせ」られたとAさんは証言しているにもかかわらず、当時のSNSログを見る限り、友人とアートイベントに出展したり、固定リスナーの前でライブ配信したりと、ある程度の社交関係が伺えることにも説明が付く。
山本章一の巧みな洗脳術によって、外部に向けて話すときは、植え付けられた疑似人格しか表に出せない身体にされていたのだろう。
そして山本章一の洗脳術の何よりも恐ろしいのは、この疑似人格の呪縛の脅威の持続性である。Aさんは、遠く離れた京都の大学に進学した後も、さらに言えば、警察に性被害を相談した後も、山本章一が児童ポルノで有罪になった後も、疑似人格に縛られ続けていたことが過去ツイートから伺えるのだ。
週刊文春の記事によると、Aさんが警察に性被害を相談したのは2019年8月、山本章一が「次の子を見つけた」という恐ろしいメッセージ ――おそらく別れ話であろう――を送った後のこととされる。
しかし堕天作戦のファンアートは、これ以降も複数枚にわたり継続的に、Aさんによって描かれ続けているのである。
そして、2020年2月に山本章一が罰金30万円の略式命令を受け、性犯罪者と公に認定された後も、Aさんは以下のような衝撃的な発言を行っている。
「大好き」「ありがとう」と「死んで」、矛盾する感情の相克。
この1件のツイートは、植え付けられた疑似人格の呪縛が未だ残るなか、それでも山本章一の逮捕により、ようやく自分の真の人格が表に現れようとする瞬間を表したものだと私は考える。
自分の感情が本当に自分のものなのかわからない、そんな状況に長年置かれ続けてきたAさんの心の傷はいかほどのものだろうか。
洗脳術2: 認識改変
さてこれまでは性行為の外、日常生活のAさんを見てきた。Aさんは凶悪な洗脳おじさん山本章一に疑似人格を植え付けられ、思うがまま操られるまま、『堕天作戦』の宣伝に加担させられていた。
しかしまだ謎は残っている。山本章一は、思うがままな疑似人格のAさんとスカトロ含む性行為を行ったのだろうか。山本章一のサディスト性を考慮すれば、これははっきり否であろう。性行為の際は、スイッチを切り替えるように本人格に戻し虐待行為を楽しんでいたはずだ。
実際、札幌地裁も、Aさんはスカトロ行為において「嘔吐が止まらず、ベッドでのたうちまわることもあった」と認定している。山本章一を慕う疑似人格のもとではこのような症状は出ないであろう。
となると、濡れ場において、正気に戻ったAさんが助けを呼んだり逃げ出したりしないよう制御する、「疑似人格の植え付け」とは、別種の洗脳術が必要になったはずだ。
山本章一は何をやったのか。
この追及には、2019年10月、Aさんが高校2年から3年の頃を回想して書いたブログが参考になる。抜粋して紹介しよう。当時、Aさんが「吐き気」をどう認識していたか、生々しく語られている。
ところで私は、暫く前から絵を描くひととして活動しているんですが、これが最悪なことに自分の絵を上手いと思えたことが一度もなくて、余りの成長の見え無さに、常に暗中模索、一進一退、手探りしようにも己の手が見えぬ、擬かしいような気分でいました。周りに同い年のバケモンがワンサカいるんだから、そりゃ焦りに焦りまくります。
なんとか頭ひとつ抜けたい、と私が考えたのが、「めちゃめちゃな苦痛を自分に与える」というものでした。
私が学んだものは「成長には苦痛が伴うこともある」なのに、自分の中でいつのまにか「苦しめば苦しむほど成長する」にすり替わってしまったのです。これがゴミコペルニクス的発想の転換。馬鹿が。
そうと決まれば話は早い。私は絵が上手くなりたいぜ〜と思いながら色んな薬を飲みまくったり、ゲボを吐きまくったり、体をボコボコに傷つけまくったりしてみたんですが、一向に絵が上手くなる気配がない。
当たり前です。絵の練習をしていないんだから。馬鹿すぎる。
自分を痛めつけるにしても、もっと、死ぬほどデッサンをやらせるとか、何かしらやりようあっただろ、と今では思います。
私が考えたのが、「めちゃめちゃな苦痛を自分に与える」というもの
自分の中でいつのまにか「苦しめば苦しむほど成長する」にすり替わってしまった
私は絵が上手くなりたいぜ〜と思いながら色んな薬を飲みまくったり、ゲボを吐きまくったり、体をボコボコに傷つけまくったりしてみた
主語がすべて「私/自分」となっており、自分から被虐を望んでいたというふうにも読み取れるが…。こんな歪んだ思考回路に女子高生が独りでに辿り着くだろうか?
そんなはずはない。やはり、ブログ執筆の2019年10月は、8月に警察に相談して数ヶ月後であるものの、前節で見たように、未だ山本章一が植え付けた疑似人格の制御下にあることを考慮する必要がある。
真相はなにか。私は以下の一節が鍵となると考える。
自分を痛めつけるにしても、もっと、死ぬほどデッサンをやらせるとか
通常、「死ぬほどデッサンをやる」と書くところ、「デッサンをやらせる」という外部からの操作を匂わせる使役形となっている。そして、山本章一の通信制高校での役割はデッサンの講師――、一本の線がここに繋がる。
私が考えるに、山本章一はその卓越した洗脳術を以って、Aさんの認知を歪め、スカトロ行為をデッサンの課外授業と誤認させていたのではないか。そして向上心あふれるAさんを性行為から逃げられないようにして、自身のサディズムを満たすべく、苦痛に喘ぐAさんへ虐待を重ねたのである。
Aさんは、性行為の外でも例えば高校の授業中に、精神科の薬を用いてOD(オーバードーズ)を繰り返していたことを報告しているが、
これも、山本章一に歪められた認知のなかでは、絵を上手くするための内職行為だったのだろう。
山本章一が、卓越した認識改変術を習得していたと仮定すれば、札幌地裁の認定事実「父親のようにふるまいながら」という記述にも納得がいく。
一般に、中年の高校教師が「私は〇〇チャンのパパですよー」と女子高生に近づいても、「援交おじさんか?恐い!キモい!」と反応されるだけだ。
ゆえにこれは、単に振る舞っただけではなく、高度な認識改変術を使用して、自分が父親に相当する存在であると誤認させていた、と読み解くべきなのである。
洗脳術3: 虚偽記憶の挿入
さて、関連して親子関係の話になるが、Aさんの過去発言には、読んだ者は誰もが突き当たるであろう1点の謎が存在する。
小山(狂)がすでに報じているように、Aさんの過去発言には「親による虐待」の証言が多々存在するのだ。
Aさんが過去に述べたように、頭をおかしくさせるような、鬱病にさせるような暴行を両親から受けていたというならば、Aさんの親子関係は、山本章一と出会い洗脳される前から、崩壊していたと考えるのが自然だ。
しかしながらこれは、現在のAさんの主張とは真っ向から対立する。
山本は私の家族や身の回りの話を聞き出して、気に掛ける素振りをしながら私を家族から孤立させるように仕向けました。(週刊文春)
親を批判して原告が孤立するよう仕向け、慕われる存在になった上で、性的な働きかけを開始しました。(東京共同法律事務所)
Aさんと両親の仲を引き裂いたのは山本章一だ、というのである。
小山(狂)の記事の後、SNSに広がる誤情報に対抗するとの趣旨で公開された、弁護士ドットコムによる札幌地裁認定事実の一覧にも、虐待についての記載がない。ただ、両親に対するAさんの葛藤があったと認めているのみである。
この矛盾をどう考えるべきか。
私は、親の虐待はなかった、せいぜい昔気質なしつけの範疇に収まる程度だったと考えるのが妥当だと考える。子供を鬱病に追い込むような虐待親を正義の弁護士や報道機関が隠蔽するはずがない。また、虐待が事実としてあったならば札幌地裁も、例えば「Aさんの被虐待体験に付け込んで」などと、山本章一の賠償額を重くする不利事情として採用したはずである。実際の裁判所が認めたのは、Aさんの主観としての「葛藤」のみなのだから、客観的な意味での親の虐待はなかったとしか考えられない。
では、Aさんの、2021年から2022年にかけての虐待証言はなんなのか。
やはりこれも、山本章一の洗脳と考えるべきだろう。マクマーティン保育園裁判の冤罪が示すように、幼少期の虐待体験という虚偽記憶を植え付けることは可能だ。山本章一も、マクマーティン事件の心理療法士と同じテクニックを用いて、Aさんに「親からの虐待」という存在しない記憶を挿入したのだろう。
実際、報道を読む限り、この推測を裏付けるように、民事訴訟の起点となる訴状では「先生と生徒」という権力関係に争点が置かれており、「親を批判して孤立させた」という主張は後から出てきたように見える。2022年8月の訴訟提起まで事実だと考えていた虐待の記憶が、民事裁判の中で、実は山本章一に作られた虚偽記憶かもしれない、と気づいたのではないか。
そう考えると、各種報道では、山本章一の性加害によって「進学した大学に通うことができなかったことなどから除籍となった(朝日新聞)」とあるのに、Aさんの過去発言では、「親が学費出すの渋ったから」とされている矛盾も、うまく説明することができる。
親が学費を止めた、その原因の親子間の不仲自体が、山本章一の洗脳によって作られたものであるから、結局、山本章一が全部悪いということなのだ。
Aさんによると、Aさんの両親には2,000万円の年収があった。親が裕福な場合、有利子ですら奨学金は受けられない。「1円たりともおれに金使わなくていいんで2度と人生に関わってこないでください」と親に対し宣言した以上、親に頼ることもできない。親にも奨学金にも頼れないならば、自力で学費を稼ぐしかない。
大学は学力試験なしでの推薦入学との話なので私学であろう。となると学費はかさむ。学費の目安として、例えば京都精華大デザイン学部の年間授業料を参照すると、157万9千円である。もちろん、これに加えて家賃や食費等の生活費も必要だ。合計すると切り詰めても年間250万円程度は稼ぐ必要がある。しかも昼には大学の授業があり当然働けない。換金できるスキルもない。必然的に、就ける仕事は限られてくる。
親がAさんの学費支払いを止めた後、性加害の示談金として山本章一が提示した金額はたった150万円ぽっちであった。山本章一が洗脳によって親子の仲を引き裂かなければ、Aさんが学費を工面する必要性などまったくなかったにもかかわらず、残りはAさんが自分で稼げということなのだから、山本章一がAさんを夜職へ誘ったと言っても過言ではない。
突然フラッシュバックの発作が起こるのでバイトも続かない。
夜職のバイトでは、山本章一を彷彿させるような4,50代のおじさんたちとも笑顔で付き合い、性的サービスを提供する必要がある。性加害のフラッシュバックが起きるのも当然だ。「夜職やったりして金稼いでたけどメンタルやられて休学に休学を重ねてて」とAさんが語るように、学費を稼ぐための夜職が、Aさんのメンタルを破壊し、結局、大学に通えない状況まで追い込んだのである。このすべてが元をたどれば山本章一の洗脳及び性加害に起因する。
示談の場において、山本章一が提案すべきだった最低限の金額は、4年分の学費合計に相当する1千万円だったと私は考える。これは奇しくも札幌地裁が下した損害賠償額から弁護士費用100万円を除いた額に等しい。
山本章一を社会から隔離する方法
疑似人格の植え付け、認識改変、虚偽記憶の挿入―—、
断片的な証拠をもとに推測に推測を重ねただけに、どこまで真相に迫れたかはわからない。細部の誤りは確実にあるだろう。
しかしほかにどうやって、Aさんの過去発言と現在の証言に存在する不整合を説明するのか。
まず、嘘や誇張があるという安直な解釈はありえない。
大阪王将ナメクジ騒動を思い出そう。まだ20代前半の未来ある若者であった告発者のおとはP氏に下された実刑判決は「たとえ基礎となる確かな事実が存在したとしても、復讐のため嘘や誇張を用いて社会的制裁を喚起すれば、犯罪者として刑務所行きになりうる」という重大な教訓を我々に残した。
このような現代において、おとはP氏とほぼ同年齢であるAさんが同じ過ちを犯すはずがない。勇気を出して、次なる被害者が生まれることを防ぐため、真実を語ってくれたのだとしか考えられない。
Aさんの善意を確信しつつ、整合性を満たしうる解釈を探るならば、全体の核となる認識そのものは動かしがたい。細部の可能性には幅があろうとも、証拠から浮かび上がるのは――
山本章一は、人気漫画BLEACHのキャラクター月島秀九郎に匹敵するクラスの、洗脳おじさんだという恐るべき真実である。
これは、にわかに信じがたい結論かもしれない。しかし、名探偵シャーロック・ホームズの言葉にあるように、すべての不可能を消去して最後に残ったものは、いかに奇妙なことであっても、真相として受け入れざるを得ない。
この前提に立つと、我々はAさんの決死の訴えに対し、間違った反応で応えてしまったのではないかという強い懸念が沸き起こる。
はじめに述べたように、これ以上の犠牲者を生み出さないというAさんの願いを叶えるには、山本章一への社会的制裁はむしろ逆効果となりかねない。彼が「無敵の人」となり、無差別に洗脳術を使用し始めたら、どれほどの被害が生まれることだろうか。
我々がやるべきだったのは、社会的制裁ではなく、社会から山本章一を隔離することだったのである。
そして、過ちは改めることができる。我々にできることはまだ、ある。
刑事で不起訴なのは、不同意性交等罪がなかったからだというデマ
当時は不同意性交等罪がなく不起訴にするほかなかったし、法の不遡及の原則により、いまできることは何もないのだ――
このような風説が、Aさんの告発当初からまことしやかにささやかれてきた。しかしこれは微塵も事実が含まれないデマである。
まず、山本章一を不同意性交等罪で裁くことは2026年現在でもできない。次に、山本章一を裁く法は戦後直後から存在する。そして今もなお、時効は完成していない。いまだ起訴が行われていないのは、北海道地方検察庁の女性蔑視的な文化のほかに理由は考えられない。
順序だてて、山本章一の洗脳・性加害が、仮に2026年に行われたことだとしても、不同意性交等罪では裁けないことを確認することから始めよう。
現行の不同意性交等罪上の性的同意年齢は2種類あると整理できる。
まず13歳〜15歳、これは、相手方との関係が対等である場合に限り性的同意する能力があるとされる。いわば限定免許である。よって年齢差が5歳以上ある場合、対等な関係はありえないということで同意は成立しない。
次に16歳以上、これは、相手方との関係を問わず、性的同意する能力があるとされる年齢だ。年齢だけに焦点をあてるならば、16歳も25歳も60歳も、同じ性的同意能力を持つ。
山本章一との性的関係が始まったのは、Aさんが16歳の時であるから、年齢を理由に不同意性交等罪を成立させることはできない。
次に、先生と教え子という権力関係を根拠に、不同意性交等罪を成立させることができるか見てみよう。
不同意性交等罪上、権力差ゆえに同意が成立しないのは以下の状況である。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
ここで言う「地位に基づく影響力による不利益の憂慮」とは具体的に何なのかといえば、
代表的なのは、大学教員と学生の関係で、性行為を断ったら教員が担当する必修講義で「不可」をつけられて留年に追い込まれるかもしれないという状況だ。
では、高校の先生であった山本章一は、同様の不利益をAさんに与える地位を有していたのかというと答えは否だ。
Aさんの高校は通信制であり、基本的にはレポートの提出で単位が認定される。生徒の生活リズムを整える目的で、いちおう週5の通学授業が提供されているものの、この出席日数は単位とは関係がなく、いくら休んでもよい。
教員免許を所持していないと思われる山本章一が担当していたのは、この通学授業の1科目である。いわば高校が連携している補習塾の講師的な立場であり、山本章一は成績評価の権限を有していなかった。
このような関係となると、「地位に基づく影響力による不利益の憂慮」の存在を認定するのは困難である。
不同意性交等罪には、他にも様々な構成要件があるものの、どの要件をもってしても、今回の事件にひっかけて、罪を成立させるのは難しい。
山本章一事件の本質はやはり「洗脳」にあり、条文に「洗脳」とない以上、これを不同意性交として裁くことはできないのだ。
では、不同意性交等罪を改正して「洗脳」を構成要件に加えるまで、刑事罰を与える方法がないのか、というとこれも答えは否だ。
こんな場合に備えてか、「先生と未成年の教え子」の性的関係を裁く罪が戦後直後から存在するのである。児童福祉法34条1項6号違反(通称: 児童淫行罪)だ。
まだ時効は成立していない。児童淫行罪で実刑10年を狙おう
第三十四条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
六 児童に淫行をさせる行為
第六十条 第三十四条第一項第六号の規定に違反した者は、十年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
児童福祉法が禁じる「児童に淫行をさせる行為」とはなにか。
1947年の立法当初、この条文が想定していたのは「18歳未満の児童を売春婦として雇い入れて売春させる」という悪質な類型であるとされる。法定刑が10年以下と、他の刑法と比べても重く設定されたのもこれが理由だ。
しかしながら現代では、裁判所の拡張解釈によって、法改正を経ず処罰範囲が大きく広げられたため、もっぱら「先生と未成年の教え子」の性的関係を裁く法として運用されている。
より正確に書くと、2016年の最高裁判決が定めた児童淫行罪の判断枠組みは以下の通りだ。
直接たると間接たるとを問わず事実上の影響力があったか
性行為に、18歳未満の心身の健全な育成を阻害するおそれがあったか
事実上の影響力を及ぼし性行為を助長し促進したか
判例上、教師や塾の講師といった保護責任者的地位に基づく関係性に、「事実上の影響力」があることは争いがなく、札幌地裁の民事訴訟認定事実を読む限り、山本章一に児童淫行罪が成立することは確実だ。
(注釈:なお、児童淫行罪は「淫行させる」行為を罰する法であって、「淫行する」行為そのものを罰しているわけではない。例えば、男子中学生に対する朝日新聞の人生相談で「土下座してでも経験豊富な熟女にセックスを頼み込め」と回答した上野千鶴子は、児童淫行罪に該当したおそれがあるだろう。いや、フェミニズムの権威が勧める性行為だから「児童の心身の健全な育成を阻害するおそれ」がないと言われればそれまでであるが…)
児童淫行罪が成立するとしても、山本章一は児童ポルノ製造罪で一度刑事罰を受けたため、一事不再理の原則により再度処罰することはできないのでは?とお思いになる読者もいるだろうが、問題ない。2009年の最高裁で、児童淫行罪と児童ポルノ製造罪はまとめて1つの犯罪としてはならず、別々の犯罪として処理せよという決定がでているのだ。
被害児童に性交又は性交類似行為をさせて撮影することをもって児童ポルノを製造した場合においては,児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪は,観念的競合の関係にはなく,併合罪の関係にある。
よって、一事不再理を定めた憲法39条「同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない」は適用されない。また検察官が一旦不起訴にした犯罪を後日になって起訴するのも憲法39条違反ではない(これまた別の最高裁判例が存在する)。
時効に関して言えば、2023年6月23日の刑事訴訟法改正により、児童淫行罪含む性犯罪の時効は未成年の間は停止するようになり、また児童淫行罪自体の時効も12年に延長されている。改正前の児童淫行罪の時効は7年であったから、2016年冬から開始されたAさんへの性加害はすべて、時効延長の対象となり、時効が完成するのは2030年である。まだ間に合うのだ。
しかし問題なのは、いまだ時効が完成していないことについて、Aさんも誤解していることである。Aさんは週刊文春の取材のなかで、山本章一を強制性交で起訴できなかった理由として「時効の問題」を挙げていた。もちろんこれは完全に誤りであって、同伴していた弁護士がなぜ訂正できなかったのか、まったく解せないところだ。
時効の問題でないならば、なぜ、山本章一は児童淫行罪で起訴されなかったのか。
もちろん、Aさんが被害届を出した時点でなお洗脳の支配下にあったことが背景にあるのは間違いないが、
それより問題視すべきなのは、Aさんの洗脳を見抜けなかった北海道警察・札幌地検の女性蔑視的な捜査文化、ジェンダー教育の遅れである。
北海道警察と札幌地検が、家父長制に毒された女性蔑視的な捜査を行ったことは、捜査段階の嫌疑が児童淫行罪ではなく北海道青少年健全育成条例違反であったことから明らかだ。
というのも、「先生と未成年の教え子」の不適切な性的関係は、基本的に児童淫行罪に該当するのだが、例外として教え子側が一方的に先生を誘ったことにより性的関係が始まった場合は、より法定刑の軽い「条例上の淫行罪」と整理されるのである。児童淫行罪が「させる」行為を禁じる法であるが故の論理的帰結だ。
つまるところ条例違反を嫌疑とした北海道警察は、
「どうせお前が誘ったんだろぉ」というのを捜査段階から決めつけていた、ということになる。
これを、Aさんへのセカンドレイプと言わずしてなんと言えようか。
(いろいろ省略があるので注意)
我々にできること
警察/検察による不当な捜査は覆されなければならない。今回の炎上事件で、非難の的が小学館や山本章一に集中し、警察/検察が免罪されてしまっているのは、私には理解しがたい。我々は、第一に警察/検察を大きな声で非難し、民意の力で、山本章一を再逮捕させ、起訴まで持ち込まなければならない。
昨今の性犯罪事件では、事件発生から数年後の起訴は珍しくない。民事裁判で十分な事実認定ができるほどの証拠があるのだ、証拠の散逸は理由にならない。仮にもし検察が民意を無視し、再度不起訴としようものならば、検察審議会を動かそう。
次に、起訴に持ち込んだ後、刑事裁判の段階で、なにができるか。
判例データベースを調査する限り、「教え子との性的関係」の場合の児童淫行罪の量刑相場は基本的には執行猶予付き判決だ。
一方、性犯罪厳罰化の流れで、判例には「実刑も考えられる」「今回に限って」といった、昨年の不凍液傷害事件の判決を彷彿とさせるような、ギリギリの判断を表す文言が現れだしており、実刑判決への機運は非常に高まっている。
我々は、強大な洗脳おじさん山本章一を安全に社会から隔離するため、実刑は確実にそれも可能な限り長い刑期を、裁判官から引き出さなければならない。
よって「すでに社会的制裁を受けており」といった、罪の減軽事由を不用意に裁判官に与えないこと、地裁の傍聴席を埋め尽くして山本章一が法曹を洗脳してないか監視することが肝心である。


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