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どんどん弾かれていく主人公 +α

先日その場の流れで登録したU-NEXTの無料キャンペーン期間がうっかり過ぎてしまい、有料にぬるっと移行していました。
見事私は、キャンペーンの狙い通りに課金する良きユーザとなりました。

↓U-NEXTの無料キャンペーンに登録した経緯はこちら

知らないおじさんがU-NEXTの無料キャンペーンに登録してしまうまでのイキサツをわざわざ参照しに行く人なんか、いるのか?

そういうわけで引き続きU-NEXTを愉しんでおります。

U-NEXTには、通常の動画サブスクと同じく大量の映画やドラマを観れるというサービスのほかに、「U-NEXTポイント」という仕組みがあります。
月額プランに加入していると毎月自動で1,200ポイントがもらえます。何に使うかというと、要は追加課金の代わりに使えるポイントです。月額プランでは観れない映画が観れたり、マンガサービスもやってるのでそこで使えたり。
ポイントを使わなくても全然楽しめるので、毎月ポイントを使うのを忘れて失効してしまうんですがそれを勿体ないと感じることすらありません。個人的にはオマケみたいな位置づけのポイントだと思っていました。最初は。

が、このポイント、「NHKまるごと見放題パック」の代金としても使うことができるんです。
これに気付いてからがもうヤバい。
NHKオンデマンド料金が月額990円で、それをポイントで全額負担できるので、U-NEXTのサービスの中に「NHKの過去作品がめちゃくちゃいっぱい観れる」というサービスが実質含まれていることになります。

↓観れる作品リスト

ヤバい。ヤバすぎる。
歴代の大河ドラマも朝ドラも観れる。映像の世紀も100分de名著もNHKスペシャルも観れる。鶴瓶の家族に乾杯も観れる。
これはヤバいです。

そういうわけで最近はもっぱら、U-NEXTで大河ドラマを観ています。
今観ているのはこちら↓

『新選組!』です。
2004年放映。主演香取慎吾。多感な12歳の時に毎週リアタイ視聴していたので、思い出補正も相まって最上位クラスに好きな大河です。
全50話中、いま25話まで観ました。45分×25話=18.75時間。もっとずっと観てると思ってたけど、積み上げてみると意外とそうでもない。すべてを捨てれば2日で全話観れちゃう。

一旦、史実(と私の認識)ベースの「新選組」について、一応説明します。

新選組とは、江戸時代の末期に京都で将軍警護に当たることになった浪士(≒フリーター)たちの集団です。
将軍警護とは名ばかりで、実際は、京都にのさばりつつあった尊王攘夷派(≒反幕府勢力)の浪士を鎮圧するために、幕府側の一部勢力が身分の壁を超えてあちこちから浪士を集めまくって結成された集団だそうです。
つまりは寄せ集めのチンピラ集団。上昇志向は強いし、個々人も剣士としては強いんだけど、組織の一員として動けるタイプの人たちではない。そういうわけで、鎮圧も多少は成功するんだけど、それ以上に組織内部を律することに随分苦労したそう。
倒幕・新政府樹立の動きが加速していく一方で、組織がまとまらない新選組内部は分裂・粛清に明け暮れ、どんどん時代に置いていかれる。
時代に取り残されて、文明開化の花咲く時代の裏で、最期は儚く散っていく。

新選組のボスである局長・近藤勇の最期は、河原での斬首です。当時の身分社会におけるメンタリティは絶妙なものがあり、「武士は切腹して死ぬことができる」、つまり「切腹で死ぬことは誇り」的な価値観があったそうです。ということは、「武士じゃないなら切腹で死ぬことができない」んですね。
そして斬首は武士ではなく庶民に対する処罰なので、近藤勇は武士として死ぬことができなかった、ということになります。志高く、武士であろうとした(が武士出身ではない)近藤は、無念の死を遂げたということになります。
この一連のギャップが実に切なく、歯痒く、面白い。新選組を題材とした創作がやたらいっぱいある背景には、後世からのこういった眼差しがあるものと思われます(多分)。

『新選組!』は、こういった史実(と後世の代表的な創作)を掛け合わせつつ、登場人物同士の掛け合いや、展開の盛り上げ方を現代っぽくアレンジした、当時としてはかなり挑戦的な大河ドラマです。脚本は三谷幸喜。

先ほど説明した通り、新選組はあちこちのチンピラを寄せ集めて作った集団です。
一匹狼のチンピラもいますが、徒党を組んで京都に乗り出してきた「集団チンピラ」もいます。同じ高校の仲良しメンバー同士で上京してケンカで名を上げようとする、みたいな感じです。ざっくり。

そして、主人公・近藤勇ご一行も、徒党を組んで乗り出した集団の1つです。
その徒党の名前は「試衛館」。近藤勇の父(厳密には養父)が経営していた天然理心流という剣術の道場です。近藤は地元のヤカラから慕われていて、単に道場の生徒にとどまらない食客(居候みたいなもの)を7-8人抱えていました。
劇中では、黒船来航に始まり激動していく世の中で、何かを成し遂げたいと立志した近藤が、幕府による「将軍を護衛したい浪士、集まれ~~!」の案内を知る。
「よし!将軍をお守りしながら新しい時代作りに参加しよう!」的な志で、近藤が仲間を引き連れて京都を目指す、という流れになっています。

最終的にこの7-8人が新選組のコアメンバーになるので、少年漫画の立志編みたいで非常にアツい。
新選組の前半って、少年漫画っぽいんですよね。物語のスタートが地元の仲間で、仲間同士で志を胸に大都会へ足を踏み入れる。地元で強かった初期メンがちゃんと京都でも通用するのか、視聴者としてもハラハラしながら活躍を見守る、みたいな感情移入をしやすい。
しかも『新選組!』では、近藤の「日本を憂い、新しい時代を築く意志」がものすごく濃く描かれているので、めちゃくちゃ応援したい気持ちになりやすい。実際の近藤がそういう感じの人だったかというのは置いといて、作劇としてサクセスストーリーの主人公感がすごく濃いので、自然と近藤視点に立って物語を追いかけることになりやすいです。

実際のところ、武家社会においてはえげつない上意下達構造があるので、個々人の「日本をこうしたい」という意志なんて何の意味もないんです。主君の命令が絶対であり、その主君はまたその主君である藩主の命令が絶対で、藩主は将軍の命令が絶対。つまり将軍(やそのブレーンである大老/老中)の意志が結局はすべて。
でもそれをまっすぐ描いても何も面白くないので、時代劇によってこの論点をごまかしたり、避けたり、葛藤させたりしています。
『新選組!』では少し葛藤のエッセンスを入れつつ、近藤が主君への忠義と憂国の間をじょうずに行き来しているので、そんなに違和感なく主体性がありそうな武士として描かれているのが、面白い。

ちなみに個人的見解ですが、同じ幕末の重要人物である坂本龍馬は、脱藩して完全フリーランスで動いている(とされる)人なので、武士特有の上下社会から逸脱して「志オンリー」で動いている人として描きやすいんじゃないかと思います。そりゃ人気出やすいよなって思うところもあります。史実じゃなくて作劇としての話です。
『新選組!』では、坂本龍馬とか、桂小五郎(新選組が一番取り締まってた倒幕派の急先鋒)と近藤が旧知の仲であるという描かれ方をしています(さすがに創作)。新しい時代を作っていきたいという志は近藤も龍馬も桂も同じで、でも方法論の違いで袂を分かち、そして闘い、うち2人(龍馬・近藤)は死ぬことになる、っていう作劇。ここもね、筆乗りそうですよね。

物語後半では、新選組がいよいよ本格的に時代に置いていかれる流れになります。

大河ドラマの中でもだいぶ特殊なんじゃないでしょうか。後半へ行くにつれてどんどん歴史の中心から弾かれていく主人公。普通、逆ですよね。
しかも『新選組!』は、前半戦だけ見るとどう考えても近藤が天下取りそうな雰囲気なんです。仲間と夢を追いかけ、同時代の超偉人(龍馬とか)と青き志を語り合い、強いライバルと闘って勝利する。もう完全に、天下人の若手時代なんです。それなのに、実際は転落していく。最後は斬首。もう落差がすごすぎて、これがまた面白い。

後半戦を観るのが楽しみです。

===

聞きました!
聞いてますよ!全部ずっとではないけど!
先週出た特集記事についても喋ってくれてますね。ありがたし。

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