ぐだ男とサーヴァント達のいちゃラブ生活 1(仮)
初めてFGOの小説を書きました。
タイトルは暫定で、とりあえず試験的な投稿です。
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異星の神との戦いに勝利してから一年。
人理焼却に続く人類滅亡の危機をなんとか乗り越えたカルデアはそれまでの日常を取り戻した。
所長を始め、スタッフたちのほとんどがカルデアに留まることを選択する中、人類最後のマスターだった俺は生まれ育った日本へ戻ることに決めた。といっても、戻ってきたのはつい最近で、それまではカルデアで魔術協会のお偉いさんたちから事情聴取という名の尋問を一年近く受けていた。
しかしそれもようやくひと段落付き、晴れて自由の身になった俺はカルデアへ招かれる前の、ただの学生へと戻った。
ただカルデアとは今でも通信越しにではあるがやり取りを行っている。なにせ俺は大した実力があるわけでもないのに二度、人理を救っている。それが己だけの功績だとはまったく思わないが、それでも部外者からすればやはりマスターが特別だったのではないか、と勘繰ってしまうのは仕方がないとのこと。もし魔術協会の過激派が俺に手を出してきたら、ということを考慮して、定期的に近況報告などをしていたりする。
「あ~、疲れた……」
凝り固まった首を回しながら足は止めずに帰宅を急ぐ。
そして高校から歩いて三十分ほど。目的地にたどり着いた俺は思わず顔を上げた。
「うーん、相変わらず立派な建物だな」
カルデアに行く前と今で大きく変わったことが2つある。
1つ目が住んでいる場所だ。
目の前には新しくできた大きなマンション。
現在俺はここの中層階に住んでいる。
以前は実家から通っていたのだが、カルデアから渡されたお給料(実際には謝礼金の意味合いが強い)があまりに莫大だったため、せっかくだからと実家を出てマンション暮らしをすることにしたのだ。
両親にはその大金のことはもちろん話していないのだが、それでも俺の意思を尊重してくれた。ただ流石にこんな高級マンションに住めるだけのお金を仕送りで貰っているわけではないので、住んでいる場所は誤魔化している。
そして2つ目の違い。それは──
「あら、おかえりなさい、マスター」
エレベーターで上に上がり、部屋の鍵を開けて中に入る。
そこで出迎えてくれたのはかつて共に戦ってくれたサーヴァントの一人、セイバークラスの両儀式である。
優美な着物でその身を飾り、滑らかな黒髪を足元まで伸ばした超絶美人。
何故彼女がここにいるのかというと、それは俺と式さんが──同棲しているからだ。
実は俺がカルデアを去る際、式さんは一緒に付いていきたいと言ってくれた。
元々俺たちの想いは通じ合っていた。式さんは初めて会ったときから素直な好意を示してくれたし、俺もこんな美人から好きと言われれば自然とそういう気持ちになる。それに彼女が纏う、どこか危うい雰囲気が放っておけなかったというのもある。
だがカルデアとしてはやはりOKを出すわけにはいかなかったようで、ダヴィンチちゃんもそればっかりは難しいと言っていた。しかし最終的に式さんがダヴィンチちゃんとホームズと話し合った結果、すんなりと了承を得ることができた。
まるでそれまでの渋り様が嘘だったかと思うほどにあっさりと許可が出たため、不思議に思ってダヴィンチちゃんに理由を聞くと、
「……藤丸君、彼女には逆らわないほうがいいと思うよ」
とだけ言われた。
あの時どんな会話がなされたのか、気にならないといえば嘘になるが、それ以上に首を突っ込まないほうがいいという直感が俺の好奇心を押しとどめた。
「うん、ただいま」
首元のネクタイを緩めながら部屋の真ん中にあるソファーに座る。式さんは俺の湯飲みにお茶を入れて持ってきてくれた。ありがとう、とお礼を言って湯飲みに口を付ける。
「ふぅ、今日も疲れたなー。早く夏休みになってほしい……」
「人理を二度も救ったマスターがそこまで疲労困憊になるなんて。今の高校生はどんなお勉強をしているのかしら」
「いや、それとこれとは話が別というか」
そう。あのときは泣き言を言っている暇などなかった。そんなことをしている場合ではなかった。だからただひたすらに突っ走れた。
だが今は良い意味でも悪い意味でも心に余裕がある。だからこんな当たり前の生活の中でも愚痴に似た弱音を吐いてしまう。あとは……うん。机に座って先生の話を聞いているだけというのが逆に疲れる。
「そういうものかしら。それじゃあサーヴァントとして、そんなマスターを癒してあげないといけないわね」
隣に座った式さんは自分の膝をぽんぽんと叩く。それの意味を瞬時に理解した俺は、式さんの膝に頭を乗せる。
「どう、マスター。気持ちいい?」
頭を白魚のような手で撫でてくれる式さんを仰向けになりながら眺める。その整った顔立ちはいつ見ても綺麗だ。
「うん、すごくいい」
そう返事をしながら、彼女の長い黒髪を弄る。これだけ長いのに枝毛は一本もなく、手触りも最高に心地よい。
「式さんの髪、相変わらず綺麗だね」
「ありがとう。趣味に走りすぎたかもと思ってたけど、貴方が喜んでくれるのならその甲斐もあったわ」
彼女に頭を撫でられる時間が続く。その心地良さと後頭部に感じられる腿の柔らかさに次第に気持ちが昂ってくる。
体勢はそのままに指で手招きをすると、式さんは不思議そうにしながらも顔を近づけてくる。俺は頭を上げて、下りてきた彼女の唇を奪う。そのぷるぷるした唇の感触を味わいながらも数秒後、唇を離した。
式さんは普段の余裕ある表情から一変、頬を赤く染めている。そんな顔を見せられてはもう我慢などできようはずもなく。俺は身体を起こし、そして彼女を優しくソファーに押し倒した。
「式さん、いい?」
「……そろそろ夕食の材料を買いに行かないといけないのだけれど」
「そっか。それじゃあ”これ”が終わったら一緒に行こう」
有無を言わさないこちらの言動に、式さんはクスッと笑う。
「いったい何がスイッチになったのかしら、マスター?」
「そうだね。強いて言うなら……式さんの存在かな」
そんなキザっぽい台詞を吐きながら、俺は再び式さんの唇を奪った。