8月23-24日に開催された日経IR・個人投資家フェアは、2万3302人が参加した。その中でアンケートに回答してくれた1160名の結果をベースに、個人投資家のDUKE。氏に、個人投資家がIRに何を求めているのかを聞いた。(聞き手は、経済キャスターの鈴木ともみ氏)
参加者の来場後の行動についてアンケート結果では、64.5%の方が「興味を持った参加企業の株式を新たに購入した」と回答した。また、投資を検討しようと思った企業の有無については、「すぐに投資してみたい企業がある」が29.7%、「これから具体的に投資を検討してみたい企業がある」が39.8%で、合計69.5%が前向きに投資したい企業があると回答している。
―それでは、投資家に購入してもらう、もしくは長期保有してもらうためにはどうすればいいのか。
DUKE。:株価のボラティリティを抑えられるような情報開示が必要です。企業によっては、自社に対してより高いロイヤリティを持ってもらえるよう、株主優待の魅力を高めようとするケースもありますが、やはり個人投資家が株式に投資する最大の動機はキャピタルゲインにあります。
株価のボラティリティが高ければ、大きな利益を上げるチャンスに恵まれますが、それを超える損失を被るリスクも背中合わせになります。人の心は弱いので、どうしても大きく下げた時のダメージの方が、大きな利益を上げた時の喜びよりも、心理的に強い影響を及ぼしてしまいます。すると株価が大きく下げて損失を被った時、投資した企業を信じ続けられなくなり、結局売ってしまう。個人の長期投資家を増やすためには、株価のボラティリティを抑制できるような情報開示を、IRを通じて行うべきです。
―では、IRで株価のボラティリティを抑えることが可能なのだろうか。
DUKE。:株価のボラティリティを抑えるためには、業績の見せ方を工夫する必要があります。たとえば第1四半期の業績が悪いとします。でも、第2四半期に十分リカバリーできることが分かっていれば、第1四半期の業績が発表された時に株式が売り浴びせられるようなことにはなりません。翌四半期の業績回復が明らかな時は、その見通しも同時に発表して欲しい。これはIRのやり方を工夫すれば出来るはずだと思います。
また情報開示に際しては、経営トップが直接、投資家にメッセージを出すことも肝心です。特に成長ステージにある企業ほど、そうするべきだと思います。どの事業を伸ばして、将来的にこういう会社にするという、未来図が見えるようなメッセージを、個人投資家は求めているのです。
もっと言うと、機関投資家向け決算説明会をライブ配信して、個人も機関投資家と時差なく情報が得られる環境を整えてもらいたいです。それが無理ならテキストベースでも良いので、機関投資家との質疑応答の内容を、その日のうちに個人が読めるようにして欲しい。そうすれば不透明要因が無くなり、さらに株価のボラティリティが抑制され、結果的に長期投資する個人投資家を増やすことにつながるはずです。
個人投資家 DUKE。氏
個人投資家、経営者。投資歴21年。米国ワシントン州公認会計士。プライム市場上場企業に20年勤務。主に管理会計部門において、収益分析、業績予想、中期経営計画策定等に携わる。
会社員時代の2003年に株式投資を始め、手痛い大失敗を繰り返すも約10年で億り人に。個人投資家として、2016年に東洋経済新報社より「新高値ブレイク投資術」を出版。現在は「新高値ブレイク投資塾」も運営。次世代を担う個人投資家の育成にも取り組む。