20歳になったキミ
お酒とタバコは20歳になってから!
そう言って皆からのお誘いを断り続け、あっという間に20歳の誕生日を迎えた。
だがしかし、ここで懸念事項が浮上した。
果たして…自分はお酒に強いのだろうか?
ウィスキーボンボンくらいは普通に食べられる。
…あれ、お菓子…だよね?
うん。きっとそう。
レイシフト先でも非常食として持ってたし…
でも、お酒その物を飲むとなれば量も違うし、どうなんだろう…?
と思ったが為に、大変な事になっていた…
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マスターが20歳になっても、それ以降もカルデアに所属してたらいいなって妄想の産物です。
時系列等無視していますので、何でも大丈夫!寧ろ大好物!!というお優しい同士の方は、しばしお付き合い下されば幸いですm(_ _)m
そして、モリアーティ、大好きです。
いつまでもいつまでも、ずーっと大好きです。
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「誰だ!!!!!!!マスターに酒を飲ませたサーヴァントは!!!!!」
ほわほわと笑っているマスターの隣で、エミヤは悲鳴にも似た叫び声を上げた。
明らかに酔っ払っている立香に「ママー」と抱きつかれながら、エミヤは眉間に手を当て天を仰いでいる。
腰あたりに抱きついたまま、エミヤを見上げて「んふふ」と笑う立香に「ヴッ」と小さく唸った。
食堂にてその一部始終を見ていたであろう、各々過ごしていたサーヴァント達はぎらりと目を光らせて周囲を見回した。
一部、殺気立っている者までいる始末。
「なんや、旦那はんのいけず。お酒飲めるようなったら、うちの酒一番に飲んでくれる約束やったやろ?」
酒呑童子の言葉に火蓋が切って落とされた。
それもそのはず、クソが付くほど変なところ真面目なマスターは、サーヴァント達の誘惑にも屈せず、【20歳になる迄、お酒絶対禁止】を貫き通していたのだ。
それならばと、20歳になったマスターと初めてのお酒を酌み交わすことを、サーヴァント達はそれぞれ水面下で狙っていたのだった。
ある者は幻の酒を手に入れ、またある者は秘蔵の酒を仕込んだ。
そして更にある者は最高の酒の肴を準備し、他には何やら怪しげな薬?を混ぜた自家製の酒にうっすらとほくそ笑む清姫などなど様々だった。
それを、気が付けば何者かに奪われていたのだ!
エミヤとしては、初めて飲酒をするマスターに
へべれけになる様な、なんちゅうもん飲ませてんだ!
という叫びだったのだが、同じ事を考えてた他一同からすれば、「エミヤ、お前もか」だった。
「マスターちゃん、いいモノ飲んでるねぇ?」
最初に切り出したのは、斎藤一だった。
「はじめちゃんだ!」
立香は、近寄った斎藤一にほわほわのまま、嬉しそうにニンマリと笑う。
斎藤一は一瞬にっこり笑ったまま停止する。
しかし、それに気が付かない立香は、椅子に座ったまま、隣に立つ斎藤一を見上げて「うーーーん」と首を傾げた。
そしてトドメの一言を告げた。
「はじめちゃん。はじめちゃんっていっっっつもかっくいいねぇ」
斎藤一の鍛え抜かれた腹辺りをぽんぽんと叩きながら、えへぇと笑う立香。
斎藤一は胸を押え、ぐしゃっとその場に沈んだ。
その余波は、他のサーヴァントにまで及び、一部、狡いと唇をぎりりと噛んで机に突っ伏していた。
それを、立香は「面白いねぇ」とけらけら笑いながら見ている。
これは危険だ。
だが、その危うさや良し!
次に立ち向かった勇者はインドラだった。
最近来たばかりであるが、マスターの危険度を知らないが由の蛮勇かと、周囲は固唾を飲んだ。
「おい、マスター。貴様、その体たらくは何だ」
インドラはどかっと立香の隣の席に座る。
怒られたと勘違いしているだろう立香は、少ししゅんとした。
そして頬杖をついてじとっと自分を見るインドラの裾辺りを指先で摘むと、くいくいと引く。
来るっ!!!!
インドラ以外の全サーヴァントがそう直感し、身構える。
それに気が付かない新参インドラは、「何だ」と姿勢を変えずに問う。
「ごめん…なさい。パパンドラ」
ぶふっ、と複数のサーヴァントが立香の意味不明な「パパンドラ」に撃沈。
何とか耐えた者は、それでも肩を上下に震わせている。
「不敬だな」
何故か満更でもないインドラ。
謎である。
「どうして怒られてるか分からないけど、でも、ありがとう。久しぶりにお父さんに叱ってもらえたみたいで…ちょっと、嬉しかった」
へへへ、と笑って立香はインドラの手を取ると、自分の頬にそっと寄せた。
さらに複数のサーヴァントが撃沈し、インドラはと言えば、凍り付いたままヴァジュラ2名に「インドラさまー、立香にやられてるー。不敬ー」と何処かに運ばれて行った。
「例え神とて、マスターには勝てない…と。これは今年のサバフェスのネタ案件ですぞ!」
と黒ひげはにやぁと汚い笑みを浮かべた。
「おい、雑種。いい加減その腑抜けた顔をどうにかせぬか」
賢王と呼ばれるギルガメッシュが水を片手に立香へと近づいた。
「あれぇ?王様が2人いる。へへへ、きらきらですねぇ」
「貴様に酒は早すぎだ」
ギルガメッシュは、立香の手から酒の入った杯を取り上げると、ぐっと飲み干した。
少し甘めだが、なかなか悪くない果実酒だ。
「王様もジュース飲みたかったんですか?まだ有りますよ」
そう言った立香はテーブルの下からドンッと酒瓶を持ち上げテーブルに載せた。
「…………はぁ」
ギルガメッシュは手に持っていた水を立香に押し付けると、酒瓶を持ち上げる。
残りは5分の1程だった。
「おい雑種。これは一人で飲んだのか?」
「んーー?たぶん?」
「たわけ!!初めての飲酒でこれ程の量を飲むやつがあるか!」
これまたギルガメッシュは瓶の蓋を開けると、全て飲み干した。
所謂ラッパ飲みと言うやつ。
それを見た立香は「流石王様ー」と手を叩いてけらけら笑っていた。
そしてここで浮上する案件。
一体この酒は誰から貰ったのか
である。
「これは誰からの贈り物だ」
ド直球な質問に、周りのサーヴァント達の喉がゴクリと鳴る。
聴覚の優れたロボにとって煩かったのか、食堂の壁側で寝ていた彼は、目も開けることなく「ゔぅぅ」と小さく不機嫌そうに唸った。
立香はと言えば、ギルガメッシュにじっと見られているがキョトンとした顔のまま首を傾げた。
「みんな……の?」
ぱちくりと瞬きをしている立香。
本当に酔いは回っていても、頭は回っていないようだった。
これは埒が明かないと、キャスター陣営が何やら魔術を練り始めた頃、ぱんっと音が1つ食堂に響いた。
音の方に一斉に目を向けると、胡散臭い髭に、胡散臭い笑顔をしたアラフィフがワイングラスを指に挟めたまま手を叩いていた。
「マイボーイ。イケない子だ。私が来るまで飲んではいけないとあれ程言ったではないかね」
やれやれと態とらしくため息を吐きながら立香へと歩み寄る。
周りのサーヴァント達は、急なアラフィフに驚きつつも、「お前か???」とぎらりとした目で凝視している。
それに対しては、「おぉ、怖い」とこれまた態とらしく両手をあげて見せた。
「きょうじゅー、思ったより美味しくできててぇ。つい飲んじゃった」
えへーとにんまり笑う。
「自分の飲酒量が分からないんだから、一人で飲んではダメだと言っただろう?明日は二日酔いコースだね」
モリアーティはそう言うと、手に持っていたグラスをテーブルに置き、立香を横抱きに抱えあげた。
「きょうじゅ、子供扱いしないでってば」
「はいはい。20歳は立派な大人だとも。だがね、まだ寝る時間だ」
「ふぁ、うん」
立香はモリアーティに抱えられながらうつらうつらとしだす。
それもそのはずで、現在は立香が誕生日を迎えた午前3時だった。
流石に酔いも眠気も限界だったのだろう。
モリアーティは周りのサーヴァントの目も気にせず、涼しい顔で食堂から立香を運び出す。
しかし、扉の前で態とらしく、ふと思い出したかのように食堂を振り返った。
「あぁ、そういえば先程のマイボーイが飲んでいた酒だが……私がこのカルデアに召喚されてからすぐに果実酒の漬け方を聞かれてね。マスターがこの日のために数年前から漬け込んでいた果実酒さ。何種類かあるが、どれもなかなか美味でねぇ?探せばまだあるかもネ☆」
そう言って、出ていった。
マスターが去った後の食堂は、まるで全カルデアサーヴァント達による聖杯戦争だった。
先に飲んだギルガメッシュと言えば、勝者の笑みを浮かべ、高笑いをあげたのだった。
「あーーーーー頭痛い」
誕生日の昼、漸く目を覚ました立香は、なんとも言えない頭痛と気分の悪さに苛まれていた。
「これが……二日酔い……うぷ」
「ハハハ、これに懲りたらお酒は適量にするんだね、マイボーイ。さて」
立香が起きるまで見守っていたモリアーティは、水の入ったグラスに二日酔いに効く薬草を1枚浮かべて手渡す。
「成人おめでとう、マイボーイ」
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自分で何年もかけて作った物って、出来上がり気になるよネ!
それが禁止されているものなら尚更。
こうなる事は予想済みだとも。
だからちょっと利用させてもらったよ、マイボーイ。
誰よりも先に、君の成人を祝いたかったからね!
おめでとう。
これからも、健やかに。