渚side
「集合!」
暖かくなってきた初夏の日。女子たちが日焼けすると騒いでいる校庭に、僕たちの教官─烏間先生の、凛とした声が響いた。その声に導かれ、E組のみんなは慣れた様子で綺麗に整列する。この集団行動の素早さで言ったら、どのクラスにだって劣りはしないだろう。
「本日は、ピストルの個人射撃テストを実施する!五分後、出席番号順にそこの射撃場でテストをする。チャンスは一度だけ。本番のつもりで挑め!」
出席番号順ということは、カルマくんが一番だ。クルクルと指先でピストルを器用に回す彼に近づき、話しかけた。
「また一番だね。カルマくん」
「······そうだね。ま、さっさと終わらせちゃおっかな」
「···?」
少し、ほんの少しだが、いつもより反応が遅い気がする。気がするだけだから、僕の勘違いだろうと思って彼を見送り、僕もピストルの準備を始めた。
「頑張ってね」
「···うん」
千葉くんや速水さんにはカルマくんだって敵わないけれど、それでも彼の射撃は僕らよりもレベルが高い。それでいて一番最初にやるから、みんなも練習の横目で注目している。そんな目線がいくつあったって、カルマくんはいつでも冷静沈着、堂々と銃を構え、黄色く丸い的を的確に撃ち抜く。
けれど、今日は違った。
「外すなんて、珍しいな。では次、磯貝!」
「あーぁ···」
苛立ちを隠さずに帰ってきたカルマくんにも、みんなは注目してしまう。烏間先生が言うように、その事が珍しくて、申し訳ないが、ちょっと驚いたし、見つめてしまった。
「本当に、珍しいね。カルマくんが外すなんて」
「······ま、こんな日もあるよね」
やっぱり、反応が遅いな。銃の調子も悪いみたいだし、彼が言っているように、こんな日もあるというものならいいけれど、と思いつつ、その顔を見上げると、太陽に照らされたその汗がやけに目に入った。
「カルマくん?」
名前を呼んでも返事がないまま、その目は虚空を見つめていた。そんなことをしているうちに、烏間先生から名前を呼ばれてしまった為、行くね、と一言言って、射撃場に向かおうとした瞬間だった。
「······なぎ、さ···っ」
「え···?」
体調不良系の話がとても好きなんですが、その中でも特に好きな作品でした…!! ありがとうございます!、