《鳥取県知事の発言が騒動に》「おばさん」と呼ぶことが“大罪”になったのはなぜか? 背景にある“おじさん社会”の呪縛
鳥取県の平井伸治知事が「おばさん」発言をしたことが騒動に。その後、発言を撤回することになった。平井知事は「おじさんがいいなら、おばさんだっていいのではないか」とも語ったが、そもそも年を重ねた女性を「おばさん」と称することは何が問題なのか? コラムニストの石原壮一郎さんが解説する。 * * * たとえば、駅や町中で前を歩いている50代ぐらいの女性が何かを落としたときに、「おばさん、落ちましたよ」と声をかけられる人は、まずいません。高い確率で相手にムッとされるでしょう。何も間違えていないし、そもそも親切な行為なのに。 【写真】会見を開く、鳥取県・平井伸治知事。他、平井知事の「おばさん」発言後、皮肉を言う小池百合子知事なども
今の日本では、身内(伯母や叔母)以外の女性を「おばさん呼ばわり」するのは、かなりの重罪です。たちまち人間性を否定され、職場などで村八分にされるのは必至。いつの間に、こんな恐ろしい状況になってしまったのでしょうか。 先日、鳥取県議会の答弁で、平井伸治知事が「おばさん」という単語を口にしたところ、ある議員から、女性蔑視にあたるとして議事録から発言を削除するように求められるという騒動がありました。 発言が飛び出したのは18日の一般質問でのこと。子ども1人あたり1千万円の現金給付という大胆な提案をした議員に対して、「東京だったらそう言ってすぐにやるおばさんがいらっしゃるかもしれませんが、うちはそういう環境になくて」などと述べました。 この「おばさん」が、東京都の小池百合子知事を指しているのは、誰の目にも耳にも明らかです。小池知事は、19日の定例会見で「知事自らが先頭に立っておじさん発言をしているからこそ、女性がその土地に希望を持てなくなるのではないか」と皮肉をかまします。 平井知事は25日、発言を撤回。「特定の人を指した言葉ではない」とした上で、「議会を混乱させる意図はなく、迷惑がかからないように」と理由を説明しました。さらに「おじさんがいいなら、おばさんだっていいのではないか。おばさんやおじさんは情愛や敬愛の念を込めて使われる言葉で、人を貶めるときに使う言葉ではない」とも述べています。 最後の発言は一理なくもありません。ただ、最初に「特定の人を指した言葉ではない」という無理があり過ぎる言い逃れをしているせいで、説得力がなくなってしまいました。「おばさん」が悪い意味の言葉ではないと信念を持って言い切れるなら、中途半端にごまかす必要はないはずです。
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