「・・・・・・・凜、前から思っていたのだが」
ここは衛宮邸ではない。久しぶりに凜は遠坂邸に戻っている。理由は、夏休みが始まり本格的に衛宮邸に入り浸るつもりで荷物を入れ替えに来たのだ。
ちなみに普段衛宮邸を生活の中心に置いているが、たまに私がこの家に来て手入れはしている。マメに手を入れてやらないと人が不在がちな家はどうしても荒れやすい。
「何よ」
「君は壊滅的に荷造りが下手だな」
ミス・パーフェクトこと凜はうっとカエルの潰れたような声を上げて手を止めた。ベッドの上には入りきる気のしない量の服やら服やら服やら・・・。
「人には得手不得手というものがあるのよ!」
「君が言うかね?ミス・パーフェクト」
「凡ミス・パーフェクトっていつも言うのは誰よ!」
「さぁ?存じ兼ねる」
心当たりはあれど、ここは軽く流す。この程度の応酬をかわせなくてなにがあかいあくまの使い魔か。
「マスターに向かってその言い草、ほんっとヤなヤツ!」
「主人不在の屋敷を乱すことなく管理している優秀な使い魔に何を言うかね。私はバトラーでもハウスキーパーでもないと言うのに」
「あんたの場合、半分趣味入ってるでしょ!そりゃ屋敷を掃除してくれるのはありがたいけど、外のプールまで洗わなくてもいいじゃない!」
確かにそうかとは思う、明らかにここ何年も使わずに水をぬかれたまま枯れ葉の温床になっているプールを洗ったのは私の独断だ。だがランサーをビールで釣って水道代節約のために水のルーンを使わせたので遠坂邸の水道代には全く響いていないはずである。
「ただでさえ幽霊屋敷扱いなのに、廃墟扱いまでされたいのかね?」
「魔術は秘されるものよ、オープンな魔術師の家なんて士郎のところだけで十分だわっ!」
「その意見には同意するが廃墟化とそれとは別問題だろう」
「あんたと話してるとウナギを素手で掴もうとしてる気分になって来るわ・・・・・・」
凜ははぁ、と溜め息を付いてこめかみに手を当てた。暑さのせいもあって消耗はいつもよりひどいらしい。
「ならば私の行動に制限を付けてしまうか、もしくは見て見ぬフりをするのだな。ああ、重い物は鞄の下の方に入れろと何度言えば」
「黙らんか、この小姑っ!!!!!」