《減税つぶしに動き出す“増税マフィア”》財務省が自民党税調に提出した内部資料を独自入手 減税を協議すべき場で「消費税増税礼賛」のオンパレード
減税を協議すべき会議の資料に列挙された「増税の効用」
「積極財政派の高市首相は就任にあたって自民党税調の人事に大鉈を振るった。増税派のラスボスと呼ばれた宮沢洋一・税調会長を更迭し、財務省寄りの議員ばかりだった税調インナーの顔触れを大きく入れ替えた。税制の議論は非常に複雑で高い専門性が必要だが、首相の人事刷新によって今の税調の顔触れはインナーを含めて税制に詳しくない議員が増えた」(自民党政調スタッフ) とはいえ、財務省サイドにとって都合の悪い状況では決してない。 現在の税調会長は旧岸田派の小野寺五典氏、小委員長は麻生派の山際大志郎氏、小委員会の司会・進行役は新インナーでやはり麻生派の井林辰徳氏が務める。井林氏は財政規律派の自民党財政健全化推進本部のメンバーだった人物で、インナーの交代後も、税調の中枢は積極財政派ではなく、財政再建派の麻生派、旧岸田派が占めている。 そこで財務省はじめ各省は小委員会の会合に増税派のエリート官僚たちを送り込んだ。新顔の税調メンバーを「減税つぶし」の尖兵とするための布陣と見ていい。 そのことがはっきりわかるのが、主税局が税調に提出した文書だ。 〈資料(消費税)〉と題された文書の内容は増税礼賛のオンパレード。 〈消費税の社会保障財源化〉の項目では、野田佳彦内閣が消費税10%への引き上げ方針を決めた2012年の閣議決定の中から、〈消費税は、高い財源調達力を有し、税収が経済の動向や人口構成の変化に左右されにくく安定していることに加え、勤労世代など特定の者へ負担が集中せず、経済活動に与える歪みが小さいという特徴を持っている。社会保険料など勤労世代の負担が既に年々高まりつつある中で、こうした特徴を持ち、幅広い国民が負担する消費税は、高齢化社会における社会保障の安定財源としてふさわしいと考えられる〉の文言を抜き出し、太字で下線まで引いて強調している。 続く〈消費税率引上げ時の社会保障の充実等〉の項目には、〈(税率)5%→8%の増収分の使途〉として〈保育の受け皿整備(約50万人分増加)〉〈介護職員の給与を月1.2万円増加〉〈年金受給資格期間の短縮(25年→10年)〉などが列挙され、さらに〈8%→10%の増収分の使途〉として、〈低所得者の介護保険料(1号)を軽減(完全実施)(一人当たり約月1千円軽減)〉〈低所得高齢者の暮らしを支援(一人当たり月5千円等の給付金を支給)〉〈高等教育の無償化〉〈幼児教育の無償化〉〈保育士・介護職員の処遇改善〉などがズラリと並ぶ。 そのうえで〈消費税収は、全世代型社会保障を支える重要な財源として社会保障給付等に充当〉と書かれている。 自民党は総選挙で「食料品の税率ゼロ」を公約し、国民会議の議論もスタートしている。自民党税調も当然、消費税減税を話し合う場のはずだが、主税局資料には「増税の効用」が強調され、食料品の税率ゼロに関する言及は全くない。 「消費税増税はこんなところに役立っている」という内容は、議員が読めば、“税率ゼロにすればバラマキができなくなる”と危機感を煽られる。 なぜ財務省は減税を協議すべき税調の会議に「減税すべきでない」というような資料を提出したのか。財務省に問うと、「ご指摘の資料は、消費税に関する基本的な仕組みやこれまでの経緯等を説明する一般的な内容です」(広報室)と回答した。 関連記事《【独占公開】財務省が自民党税調に差し出した高市減税つぶしの「消費税増税礼賛」内部資料を入手 国民会議で「減税慎重論」が強まる理由が明らかに》では財務省が自民党税調に差し出した高市減税つぶしの「消費税増税礼賛」内部資料と、国民会議での「減税慎重論」の裏側を詳報している。 ※週刊ポスト2026年4月10日号
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