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その仕事は「設計」か「作業」か
制御設計者として仕事をしてきて、ずっと自分に問い続けてきたことがある。
「今やってるこれ、設計か。それとも作業か。」
今思うと、この問いを持ち続けたことが、自分のキャリアの軸になってきた。

「電気図面を書いて、PLCを組む」は設計か?

制御設計の現場でよくある仕事の流れとして、「電気図面を書く → PLCを組む」というものがある。
案件ごとに仕様は違う。使う機器も、要求される動作も毎回異なる。「でも、それって本当に設計なのか?」と、自分はずっと問い直してきた。
よく見ると、過去の設計を引っ張ってきて今の案件に当てはめているだけ、ということが少なくない。判断の中身はほぼ同じで、時間はかかるけど思考はほぼルーティン。
会社としては、これは「儲けパターン」だからむしろ正解だ。再現性があって、品質も安定する。ビジネス的には合理的だと思う。
ただ、個人のスキルという観点では、それをやり続けることに、自分はどうしても作業感が拭えなかった。

自分の中の「設計」の定義

自分の中での設計の定義はシンプルだ。
「未知の条件の中で、トレードオフを考えながら意思決定すること」
逆に言えば、「前と同じようにやれば終わる」は、全部作業だと思っている。過去の正解を正確になぞることは、作業としての完成度を高めることはできる。でも設計力は鍛えられない。自分はそう感じてきた。

だから、意図的に「作業」から抜け出してきた

この定義を持ってから、自分の仕事の選び方が変わった。
作業感を覚えたら、その環境から意図的に抜け出すようにしてきた。具体的には、「今の自分では相当背伸びしないと実現できない仕事」「新しい技術領域」に意識的に身を置くようにしてきた。
会社としては使いづらい場面もあったと思う。そこは正直に認める。
ただ、それを繰り返してきた結果として、さまざまな企業から声をかけてもらえるようになった。もちろんこれだけをもって「正解だった」とは言い切れないが、少なくとも自分の方向性は間違っていなかったと感じている。

生成AIが、この問いをより切実にする

そして今、この話はより切実になりつつある。
生成AIが製造業でも当たり前のように使われる時代が来る。その中で、「図面を書く → PLCを組む」という作業要素の強い工程は、確実に置き換えられていくと思っている。
「過去の正解をなぞる」という行為は、生成AIが代替していくと思う。
設計者が不要になるんじゃない。「設計してるつもりで、ずっと作業をしてきた人」が可視化されるだけだ、と自分は思っている。
作業から意図的に離れてきた選択は、結果としてこの波へ飲まれないようにする防御策になったと思う。

最後に

「設計か、作業か」という問いに、絶対的な答えはない。同じ仕事でも、思考の深さによって設計にも作業にもなりうる。
ただ、この問いを持ち続けること自体が、エンジニアとしての自分を鍛えてきたと感じている。
あなたの今の仕事は「設計」か、それとも「作業」か。
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