米大学でAIで課題作成を見直し タイプライターで教訓を教える
イサカ、ニューヨーク、3月31日 (AP) ー 学生たちが手動式タイプライターをカチカチと打ち込み、行の終わりに機械がチリンと鳴る光景は、まるで1950年代そのものだ。 ニューヨーク州中部イサカにあるアイビーリーグの名門校コーネル大学のドイツ語講師、グリット・マティアス・フェルプス教授は学期に一度、学生たちにオンラインの助けを借りずにタイプする素朴な感覚を体験させている。マニュアルタイプライターには画面も、オンライン辞書も、スペルチェックも、削除キーもない。 この取り組みは2023年春に始まった。フェルプス教授は、学生たちが生成AIやオンライン翻訳プラットフォームを使って、文法的に完璧な課題を量産している現実に苛立ちを覚えていたからだ。 「どうせ最初から正しいし、自分で書いたわけでもないのに、私がそれを読む意味があるだろうか? パソコンなしで書けるか?」とフェルプス教授は語った。 教授は、すべてがデジタル化する前の執筆や思考、そして教室がどのようなものだったかを学生たちに理解させたかった。そこで、リサイクルショップやオンラインマーケットで数十台の古い手動式タイプライターを見つけ、授業計画で単に「アナログ」課題と呼ぶものを考案した。 タイプライターがコーネル大学のキャンパスを超えて復活しつつあると断言するのは時期尚早かもしれない。しかし、この復活は、ノートパソコンを使った課題でのAI利用を防ぐため、教室での筆記試験や口頭試験といった昔ながらの試験方法への全国的な傾向の一部だ。 先日、アナログデーの授業に学生たちが教室に入ると、机の上にタイプライターが置かれていた。ドイツ語配列のものもあれば、QWERTY配列のものもあった。 「すごく戸惑った。何が起きているのかさっぱりわからなかった。映画でタイプライターを見たことはあったけど、タイプライターの仕組みなんて教えてくれないからね」と、フェルプス教授の『ドイツ語入門』クラスに通う19歳の1年生は語った。「タイプライターを使うのには、それなりのコツがあるなんて知らなかった」 ダイヤル式電話機と同様、手動式タイプライターは単純に見えるが、スマートフォン世代にとっては直感的に理解できるものではない。フェルプス教授は、紙を手動で送り、文字がにじまないように適度な力でキーを打つ方法を実演した。彼女は、チリンというベルの音が行の終わりを告げ、次の行を始めるために手動でキャリッジを戻す必要があることを説明した。(「ああ」と一人の学生が言った。「だから『リターン』って呼ばれるんだね」) 「すべてがゆっくり進む。まるで昔のように、本当に一度に一つのことしかできない。そして、そこに喜びがあった」とフェルプス教授は語った。教授は7歳と9歳の二人の子供を「テクニカルサポート」として連れてきており、誰もスマホを取り出さないように見張らせている。 この課題には、単にタイプライターの使い方を学ぶ以上の教訓が含まれており、それこそが本筋だ。 「タイプライターで打つことの違いは、単にタイプライターとの関わり方だけでなく、周囲の世界との関わり方にあると気づいた」と語るのは、コンピュータサイエンス専攻の2年生、ラチャポン・レルトダムロンウォンだ。彼のクラスでは、観たドイツ映画の批評を書く課題があった。 画面がないため、執筆中に通知に気を取られることもなく、指先ですぐに答えが得られる環境でもないため、彼はクラスメートに助けを求めた。フェルプス教授はこれを大いに奨励した。 削除キーがなく、誤りをすぐに修正できないため、彼は執筆についてより意図的に考えるために一呼吸置くようになった。 ほとんどの学生は、小指の力が足りずタッチタイピングができなかったため、人差し指でキーボードをポチポチと叩くようにして、よりゆっくりとしたペースで打っていた。 新入生のモンは、最近手首を骨折したため片手しか使えず、さらなる困難に直面していた。自らを「完璧主義者」と称する彼女は、特定の文字間の間隔が不自然だったり、スペルミスがあったりしてページが乱雑に見えることに、当初は苛立ちを覚えた。(フェルプス教授は生徒たちに、バックスペースを押して間違いの上に「X」を打ち込むよう指示した。) 「私が提出したこの原稿には鉛筆の跡が至る所に残っていて、決してきれいで完成されたものには見えなかった。でも、間違いを犯すのも学習プロセスの一部なのだ」と、詩をタイプするという課題を「楽しくてやりがいがある」と感じたモンは語った。 彼女は不規則なスペースを積極的に取り入れ、詩人E.E.カミングスのスタイルにならって、行をインデントしたり断片化したりすることで、ページの視覚的な境界線を遊び心たっぷりに操った。数枚の紙と多くの失敗を重ねたが、モンはそれらすべてを保存していた。 「たぶん壁に飾るつもりだ」とモンは言った。「タイプライターにはなんだか魅了されているんだ。友達全員に『ドイツ語のテストをタイプライターでやったんだ!』って話したよ!」 (日本語翻訳・編集 アフロ)